’さよなら100号’のヘッドマークを付け、ファンに別れを告げる1000形100号。
     そして同時期に引退していった750号である。
     コトデンのファーストナンバー100号の引退は、古豪達の終焉を印象づけるものであった。
     同系列は、1988年に鉄道友の会よりエバーグリーン賞を授与された名車輛であり、
     その価値を顧みることなく解体されたのは、非常に残念なことであった。
     
     100号の引退は、各報道機関に大きく取り上げられ、
     1999年6月27日のさよなら運転では、多くの鉄道ファンや高松市民に見送られていった。
     以下の文章は、6月20日の四国新聞より抜粋した記事である。
     
     琴電″最古″の車両引退
     「七十三年間、おつかれさま」琴電が運行する電車の中で最も古い車両が十九日、
     最後の営業運転を終え、現役生活にピリオドを打った。
     新型車両を導入し、車内冷房化を図るためにお役御免になった。
     引退した車両は二十七日に行う「さよなら運転」の後、解体される予定。

     引退したのは「1000型100号」と「750型750号」の二車両。
     なかでも100号は大正15年の琴平線開通に合わせ、同社が製造を依頼した
     オリジナル車両で、近年は長尾線の増結車両として活躍していた。
     総走行距離は589万2290キロ、地球を約150周した計算になる。
   
     100号を運転したことがある同社社員は、「長い間、第一線で活躍してきただけに
     寂しい気持ちだが、冷房化は時代の流れでもあり、利用客の立場で考えると仕方がない。」
     と複雑な面持ちで話していた。

11999.6.27 仏生山工場