Sweet darling, Sweet honey


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【初体験】


最初から「閲覧注意」ですのでご注意ください。






 アキの手は優しくて、アキの唇は気持ちがよくて。わたしはアキによってもたらされる気持ちよさに我慢できず、思わず口から声が漏れる。
「ちぃ、もっと声を聞かせて」
 アキの熱い吐息が耳にかかり、ぞくりと気持ちよさが全身に駆け巡る。
「ああ、アキっ!」
 アキは終始、わたしの嫌がることはしなかった。どこまでも優しかった。ただ、指を入れられた時は痛すぎてちょっとアキを叩いてしまったけど。
「アキッ! い、痛いっ!」
 思わずばしっとアキを叩いてしまったけど、アキはその時だけはやめてくれなかった。
「ごめん。痛いとは思うけど……ちょっと我慢して」
 少しずつ慣らすように指をゆっくりと入れられるのがわかった。痛くて痛くて……泣きそうになった。だけどしばらくそうやって我慢していると、少しずつ気持ちよくなってきた。
「あきっ」
 アキはわたしから指を抜き、ごそごそとなにかを探してからズボンを脱いでいた。
「ちぃ、さっきよりものすごく痛いと思うけど……俺にしがみついて、我慢してくれる?」
 その一言にとうとうなんだ、と思ったらわたしは緊張してきた。こくり、としかうなずけなかった。アキはわたしの足を開かせて、ゆっくりとあてがってきた。
 わたし、アキとひとつになるんだ……。ぼんやりと思っていたら、今まで感じたことのない痛みが股を襲った。
「いっ……!」
 声を出せないほどの痛みに、アキの広い背中を掴んで耐える。だけどそれはそんなものでは耐えられず、アキの背中に思わず爪を立ててしまった。
「ちぃ、がんばれ」
 わたしが背中に爪を立てていることでアキも相当痛いはずで、痛そうにアキは顔をゆがめている。アキはゆっくりと腰をすすめてくれたようで、最初の衝撃がすごかったくらいで、あとはもう大丈夫のようだった。
「アキ……」
「ちぃ……。気持ちいいよ」
 アキの言葉にカーッと顔が赤くなる。アキはそのままの体勢でわたしにキスをする。
「よくがんばったね」
 その甘い笑顔にわたしは胸がとくん、と鳴る。
「痛いのがすぎ去ったら、気持ちよくなるから」
 そういってアキはゆっくりと動き始めた。アキの動きに合わせて、今まで知らなかった感覚がわたしに波のように押し寄せてくる。
「あき……! なにかが来るよ?」
 わたしの言葉にアキは微笑む。
「大丈夫、俺が捕まえているから……それに身を委ねてごらん?」
 アキにそう言われたけれど、怖くてアキにギュッとしがみつく。
「大丈夫。怖かったら俺にしがみついていて。俺も離さないから」
 アキはそういってわたしをしっかりとつかんでいてくれる。アキの動きに合わせるようにそれはわたしに押し寄せてくる。
「アキ、わたし……怖い!」
「大丈夫、俺ならここにいるから」
 アキの動きがだんだん早くなる。アキの呼吸がどんどん荒くなり、わたしもどんどん苦しくなってくる。
「嫌だ、アキ、流されちゃう……!」
 その感覚がなんなのかわからず、怖くなる。流されたら帰ってこられないような、どこに連れて行かれるのかわからない、感覚。
「大丈夫。俺がきちんと捕まえてるから。心配しないで」
 アキが苦しそうな呼吸の下、微笑んでくれている。アキの表情を信じることにして、その波にゆだねてみる。初めての感覚に、意識をさらわれそうになる。
「や、アキ……!」
 アキのせつなそうな表情を最後に、わたしの意識がそこで途切れた。



 ふと気がつくと、アキが優しくわたしのことを抱きしめて髪をなでてくれていた。それがとても気持ちよくて、わたしはアキをぎゅっと抱きしめた。
「ちぃ、気がついた?」
 自分もアキもまだ裸のままなのに気がつき、わたしは急に恥ずかしくなってうつむく。
「ちぃ、ありがとう」
 ふんわりとアキに微笑まれ、わたしもその笑顔につられて微笑む。
「ああ、やっぱり俺の負けだな……」
「負け?」
「自分の中でちぃと勝負してたんだ。ちぃが十八になるまで俺がなにもしなかったら俺の勝ち。ま、初めから負けが決まっていた勝負なんだけど」
 アキってやっぱりよくわからない。アキはわたしにキスを落とし、起き上った。鍛えられたその身体を見て、わたしは自分の顔が真っ赤になるのがわかった。
「シャワー、浴びようか」
「う……あ。い、一緒に?」
「うん、そう」
 満面の笑みでそう言われても……。
「アキ、ひとりで入ってきてよ」
「えー、なんで? 俺、ちぃと一緒に入りたいの」
 とかわいく言われても……。
「それにちぃ、たぶんひとりで立ち上がれないぜ」
 アキはにやにやしながらわたしを見ている。
「た、立てるよ!」
 アキにそう言われて初めて、自分の下半身の感覚がおかしいことに気がついた。下半身は甘いしびれを感じていて、力が入らない。
「ほら、立てるのか?」
 アキはわたしに手を差し伸べている。
 その手を握って立ち上がろうとするけど、上半身を起こすのも一苦労。アキは仕方がないな、という表情で裸のままのわたしを抱きかかえる。
「や、アキ! 服!」
「シャワー浴びるんだから、いらないよ。それにここは俺とちぃだけしかいないんだから」
「いや! だから余計に服がいるの!」
 わたしの言葉にアキはにやにやとした顔をする。
「恥ずかしいの? なにをいまさら。さっきはすっごいかわいかったぜ?」
 わたしは顔から火をふきそうになる。今のわたしの顔は、ものすごく真っ赤だ。アキはわたしのその反応を面白がって、さらにギュッと抱きしめてくる。なにも着ていない素肌にアキの熱い身体を感じて、それだけでわたしは気持ちがよくなる。
「ん……」
 思わず甘い吐息が漏れる。
 アキに強引にお風呂場に連れてこられた。わたしは髪をタオルで包み、濡れないようにする。すでにお風呂に入っているから、シャワーで流すだけでいい。
 初めて入るアキの部屋のお風呂場は、わたしのところより広かった。湯船も広くて、ヒノキでできているらしく、お風呂場にヒノキのいいにおいが広がっている。こっちのお風呂の方がいいな……。
 アキは湯船の湯加減を見て、ゆっくりとわたしの身体にお湯をかける。少しぬるめでちょうどよい湯加減だ。アキもお湯を身体にかけて、少し軽めに身体を流して湯船につかっている。
「入っておいでよ」
 アキに言われ、少し躊躇しつつもわたしも湯船に入る。ふたりが入ってもそれでもまだ充分なスペースがあるこの湯船のすごさにわたしが驚いていると、アキがギュッと抱きしめてきた。そしてさっきもあんなにたくさんキスをしたのに、それでも足りないとばかりにキスをしてくる。
「んん……アキ……」
 それだけでわたしは気持ち良くなる。
「実はちょっと、今日は頭が痛かったんだ」
 アキの言葉にわたしは驚く。
「頭が痛いって……あの、例のアレ?」
 試写会の時に見た、あの苦しそうな表情を思い出した。
「ああ。会社に呼び戻されただろう? あれでちょっとね」
 それなのに、わたしのことを気にかけてくれていたの……?
「アキ……ごめんなさい」
「ちぃが謝ることじゃないよ。それに、ちぃのおかげでもう治ったし」
 アキはもう一度わたしにキスをして、
「ちぃと気持ちよくなれたから」
 そう言われて、わたしはいろいろ思いだして恥ずかしくなった。
「アキっ!」
 わたしはアキのたくましい胸をどん、とひとつ叩いた。
「恥ずかしがることないだろう? ちぃ、きれいだったよ」
 歯が浮くようなセリフを平気な顔をして吐いて……!
 だけどそれが妙にさまになっているから、余計に腹ただしい。
「もう一度、ちぃを食べちゃお」
 そういってアキはわたしにキスをしてくる。
「え、い……」
 拒否の言葉を言う前にアキはもうわたしのことはお構いなくはじめてしまった。疲れていたし、足腰もがくがくだったから気持ち的にはもうかんべん、と思っていたのに……身体は違ったようで。アキに加えられる快楽の刺激にわたしの気持ちとは違って身体は素直に答える。明日があるのがわかっていたけど、この中途半端な状態で終わられるのは気持ちが悪いので、わたしは覚悟を決めた。
 アキは本当にずっと我慢していたんだな、と思うほどわたしのことを求める。とにかく気持ちよくて、心も身体もアキにとろとろにされてしまった。
 わたしはぐったりとしつつ、それでも幸福感に包まれながら、アキに抱かれたまま、その日は眠った。






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