ヤマハ船外機40HEM フロートレベル調整の仕方
キャブレターのオーバーホールの仕方は30Gのページを参照して下さい。


エアークリーナー(写真右の黒いカバー)正面のプラスネジ4本を緩めエアークリーナーを外します。
写真中央にあるキャブレターのチョークリンク(コの字型に曲がった丸棒)2個を外します。(写真では取り外し済みです)
写真中央少し左にある3個のキャブレターの開度の同調を取る為のリンクをラジオペンチ等で取り外します。
写真では一番上のキャブをラジオペンチでテコの応用を利用して取り外し中です。
尚、写真の中心少し左上にある上から締めこんであるバネ付きのネジがアイドリング回転調整用のネジで
締め込めば3つのキャブレターがリンク棒により同じ様に開きアイドリング回転数が上がります。



円柱形の黒い大きいのがフロートです。
キャブレターを引っくり返した場合、通常はこのフロートがキャブの上面(上の写真の場合で)と
平行になっているかキャブの上面とフロート上面との高さ(フロート高さ)がメーカーの
整備基準値でなければいけません。この写真ではフロートが下がり過ぎてる為、
調整が必要です。(キャブをエンジン装着時は上の写真と上下反対になりますので
上記写真ではフロートが通常より下になっている状態となります)


フロート高さが正常な状態です。

フロート高さが高い場合=1枚上の写真の状態=燃料油面が低い(燃料が少ししか溜まらない)
始動性が悪く、燃料の流れが悪い為エンスト(エンジンストップ)しやすい。加速も不調になりやすい。

フロート高さが低い場合=燃料油面が高い(燃料が多く溜まり過ぎる)
初期始動性は良いがかぶりやすなる。始動に失敗する燃料が行き過ぎてかぶってしまい、
逆に始動困難となる。燃料が多く流れ過ぎてしまう。排気の煙が多くなり、アイドリングが長続きしない。


フロート全体がプラスチックの場合は調整がまず出来ないのですが、
写真のように一部金属を使ってる場合、ドライバー等で上にこじれば
フロート高さは低くなります。今回のような場合は、こちらの方法になります。
ただし、無理な力を加えるとプラスチック部から割れてしまいますので
作業は慎重に行って下さい。


逆にフロートを少し浮かした状態にして金属部分を押し込むとフロート高さは高くなります。
写真では分からないのですが実際はフロートの下に指を挟み、少し浮かしています。
浮かさないでやるとこの下にあるニードルバルブ(燃料停止弁)の当たり面を傷めてしまいます。


作業が完了したらキャブレターオーバーホール中にも言えることですが
燃料が溜まった時にニードルバルブ(燃料停止弁・正式な日本読みではありません)が
完全に閉じるかを確認します。この状態で燃料の入り口である左側にある砲金のパイプ
に適当に合うホースを付け、口で吹いて吹けなければOKです。
少しでも吹けるようならニードルバルブとバルブシート(相手の当たり面)との当たりが悪い為、
再度その箇所の清掃か部品交換が必要となります。

私の場合は面倒なのでホースを使わず直接口を当ててますが、真似はしないで下さい。



キャブを引っくり返し、エンジン装着状態と同じ向きにした場合、フロートが自重で写真のように
下がります。下がらない場合はどこかで引っ掛かってますので修理が必要です。
この写真の状態で先程のように右にある金色の燃料入り口を吹いて見て
今度は少し抵抗がありながらも吹ければ正常です。吹けないようでしたら、
ここからニードルバルブシートの間で何かが詰まっています。