デトニの部屋特別分室

憧れの欧州鉄路・2

【終着駅】の街から

C:客車編

「客車編」は、諸元等の知識は皆無です。簡単な説明のみで失礼いたします。


当時、イタリア国鉄最新型の特急〜国際直通特急クラスの標準客車と思われます。従来の標準であった「下窓固定・上窓下降の空調無し」から進歩した、UIC(ヨーロッパ鉄道連合)標準規格の全長26.4mの堂々たる空調付き車体と大きな窓は西ヨーロッパの新しい標準になりつつありました。

屋根の深いカーブと密着型の幌(というより『ゴムパッキング』という方が適切)とは、ヨーロッパ客車の象徴です。伝統的な、引っ掛けフックとネジによる連結器とバッファーによりあたかも、隣の車輌と一体化したような安定した乗心地を示します。元々の軌道状態の良さやオーバーハングの短かさ(台車中心間距離が長い)も、大きく影響していると思われますが・・・当時の、我が日本国鉄では貫通路の渡り板が音をたててぶつかり合っていた悲惨な状況からすると・・・ピタリの合わさって独特の「カーッ・・・」というロングレールの走行音をバックに快走する様は、本当に印象深いものでした。

この客車の台車もこれまた、ヨーロッパの標準となりつつあった(フランス国鉄Corail型Y32系台車に端を発する)ボルスタレス・コイルバネによる軸梁式台車です。この乗心地のよさも特筆に価します。台車枠の形状や、軸箱支持の様子から・・・日本で一番似ているのは、小田急2600系あたりでしょうか?台車枠の下部に電磁吸着式のレールブレーキを取り付ければ(前頁「ETR400」参照)、当然200キロ走行が可能です(この車輌は160キロ対応)。

行き先表示は差し替え式のサボではなく、手動式の方向幕になっています。手前の車の車軸に、速度計発電機の引き出しが見えます。これは、半自動式のドアの作動用でしょうか?左奥の前の車輌とは切り離されています。ローマテルミニ駅は行き止まり式ですが、列車としては中間駅扱いになるものもあります。アチラでは、こまめに増解結を繰り返すのが常識です。この列車も、手前側のクルマはローマ止まり(又は逆?)だった可能性があります。

始発駅を出るときは、堂々たる編成で・・・朝、目が醒めたら短い(地元の)通勤列車の最後尾に1両だけぶら下がっていた・・・なんてことがあるのも客車列車の旅の醍醐味です(^^)♪ちなみに、この客車の塗色は、独特のグリーンとベージュだったと思います。


こちらは夕方、ローマを出発する夜行寝台列車の最後尾に連結された「セルフサービス式」食堂車。「self ervice」と白文字表記されています。食堂要員の確保&人件費問題は、どこも同じ。それを解決する決定版として、各国で次第に増えつつありました。本場?おふらんすでは「Griii Express」という愛称が与えられていました。駅の食堂もそうですが・・・我々外国人には、誠に都合の良い設備です。料金もはっきりして、しっかりと好きなものを食べて・・・食糧不足を一気に解消させてくれました。このころはまだ、社会的認知度が低くかったようです。はじめてお世話になったおふらんす(ボルドー〜パリ一般特急列車Rapid)では、ヨソ者で言葉も判らない私に、利用の仕方を尋ねるフランス人が居ました(汗;;;!)。

↓この列車では、最後尾に連結されて・・・食事時間が終わる頃には途中で切り離されるのではないかと思います。こういう合理的な運用が泣かせますね!場合によっては、翌朝もまた連結される場合もあります。「ゼブラマーク」は、やはりテールサインですね。「密着式貫通ゴム」の様子が良く判ります。ヨーロッパでも、食堂車を巡る事情は苦しいと聞きます。現在は、どんな状況でしょうか?


こちらは、近郊通勤用のプッシュプル運転用の「運転台付き客車」です。客車から機関車をリモートコントロールする方式は、古くから通勤列車では一般的でした。最近では、長距離高速列車でも普及しています。わが国では・・・連結部分の構造の違い(座屈現象の危険性)や構内曲線の違いなど・・・で未だに実現していません。

一見「ダブルデッカー」に見えますが・・・台車間の床を低くして乗降性を改善した合理的な設計です。日本でもつい最近、カタチを変えて名鉄美濃町線モ800形で実現した方式です。側方視界無視の、「広幅貫通ゴム」が目立ちます。


まだ、こんなのが居ました!まるで、ムッソリーニが乗っていそうな古典1等車です。他も同系車で編成されていますね。どんな列車に使われていたか、牽引機がなんであったか・・・思い出せません。車端部分は、オープンデッキであった名残が感じられます。鋼体化車輌かも知れません。貫通路は意外に広く、ふつうの「幌」です。妻面の狭い窓が泣かせます。これは、完全な手動ドアです。この部分の窓も自由に開けられそうです。塗色は、古典的「緑」です。テルミニ駅は、晴れてくると・・・モロにこのような光線状態になります。

ちょっと、ムラが出ましたがphotoshopの「覆い焼き」を、はじめて使ったら、見事に台車が浮き出てきました!見事な長いホイールベースと、極端に短いオーバーハングが印象的です。◆形のグリルが入った「飾り窓」は、なんでしょうか?窓2個分がコンパートメント1組(4名)分ですね。窓上の小さな「穴」は、ベンチレータです。単純かつ、デザインも優れていますね。


番外編

(この鉄道の解説は、次の「客車編」の最後にあります)

これは、新市街へ行く地下鉄が地上部分に顔を出したところに突然現れた列車!右の線路は地下鉄です。イタリア国鉄のマークが無いので、私鉄か公営ですね。簡単なローマの地図では、市南部の「LIDO」のターミナルまで行く線だと思います。一見、「日本の私鉄電車風」の面構えのプッシュプル用客車ですね!最前部のELも気になります。「電気機関車編」をお楽しみに!

一見、近代的そうな客車も・・・実は、この通りです!明らかに、木造車の鋼体化ですね。堂々とした?トラス棒と、剥き出しの台枠に不似合いな「4枚折り戸」が泣かせます。キャンバス張り?の屋根はスッキリ・・・ベンチレータらしいモノは見当たりません。軌道、架線も前近代的・・・南ヨーロッパの雰囲気が漂います。

↑上の2枚は、EUR Maglianaにて

1980年3月10日〜11日撮影

アサヒペンタックスSPF SMCタクマー35、55、85ミリ  プラスX(Microdol-X 1:3 21℃ 11min.)


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