【作者解説】
攻方は龍により4ケ所で合駒を出すことができ、桂を貰えば▲27銀から詰ませられます。
但し玉方は3回香で合駒することができ、守備にも利いてくるため、取った香を使った空王手でそれらを撤去していかないといけません。以上のルールで合駒を出す順序を問うパズルになっています。
まず、左を先に埋めてから右を出すのは、必ず22のと金を動かされて21の香の利きを通されて詰みません。
次に、右を先に埋めてから左を出すのは、△73桂合から△65香合!の好防により桂を跳ねさせられて金ベルトが動けなくなります。
よって、最初に73で香合を強制させ、次に右を埋め、最後に64で桂合を出し73の香を取る、この順が唯一の正解になります。
作者解説で分かった方には蛇足となりますが、TETSUは理解するのが大変だったので、もう少し詳しく説明しながら手順を並べていきます。
本作も金ベルトで玉を左右に動かせる形。
そして、玉が78・68・48・38にいるときは51の龍で王手をかけられます。
後手の持駒は桂と香3枚のあわせて4枚あるので、4回王手されても合駒は間に合いますね。
でも、4つの筋の龍の王手、どの順でしていけばいいのでしょう。
順番は4×3×2×1=24通りありますが、もちろん正解はそのうちのただ一つです。
試しに6筋、7筋と進めてみましょう。
57金左、68玉、61龍、63香合、
67金左、78玉(同香は同龍まで)、71龍、73香合、
ここまでは順調。
さて、次は4筋か3筋ということで、77金、68玉、67金右とすると、あれ、同香成と取られてしまいました。
龍は71に移動しているので、同龍とは取れず、これは失敗です。
実は24通りのうち17通りは、香合を繰り返されると、このように途中で金寄りを香で取られて失敗。
正解は残りの7通りの中にあるということですね。
ちなみに例えば63香合のところで63桂合とすると、同龍と取って玉を右に送り、27銀、同玉、37金、17玉、29桂まで。
作意でも最終的にはこの詰上りを目指すことになります。
7通りのどの順が正解なのか、まだ漠然としているので、ここは先に正解を見て、ほかの順だとなぜダメかをチェックします。
57金左、68玉、67金左、78玉、71龍、73香合、
77金、68玉、67金右、58玉、57金右、48玉、47金右、38玉、31龍、33香合、
37金、48玉、42龍、44香合、
47金左、58玉、57金左、68玉、62龍、64桂合、
合駒の位置は71龍には72と73というように常に2か所あって、非限定ですが、
72香合だとあとの42龍のところで41龍でもよいという非限定が生じたりするので、作意では玉に近い方に合駒しています。
4回目の合駒で桂が登場。
しかし、単にこれを取ってしまうと右に送るのを4筋、3筋の香が邪魔をしています。
そこで、73龍と香の方を取って、香を使って香桂3枚を取っていくのが巧妙な手順。
67金左、78玉、73龍、同と、
77金、68玉、67金右、58玉、57金右、48玉、49香、39玉、44香、48玉、
47金右、38玉、39香、29玉、33香成、38玉、
37金、48玉、47金左、58玉、57金左、68玉、69香、59玉、64香、68玉
桂が取れて、邪魔な香もいないので、あとはゴールに向けて一直線。
67金右、58玉、57金右、48玉、47金右、38玉、
27銀、同玉、37金、17玉、29桂 まで67手
7筋、3筋、4筋、6筋(7346)の順に合駒させるのが正解だったわけですが、ほかの順がなぜ成立しないのでしょうか。
前述の通り、17通りは金送りを同香と取られて失敗で、更に
・最後に6筋の龍が7筋の香を取る
・対称手順は2筋の香が利いてきて失敗
という事情から、3476、3746、7346の3通りに絞られます。
・3476は香合香合73桂合65香合で逃れ
・3746は61龍型になるので73香合のとき失敗
で、7346の作意順が唯一の正解になるわけです。
作意に限定するための巧妙なロジックをシンプルな構図で実現した、素敵なパズル詰将棋でした。
作者 「金ベルト+香空王手プロットを使ったパズル趣向です。
もちろんロジックから作ったのですが、結果的にこれほどシンプルな形で完成したのは自分でも驚きです。
もはや将棋ではありませんが、盤と駒を使った純粋なパズルとしては良く出来たと思っています。」
それでは、みなさんの感想を。
- 山下誠さん:
- 桂合を強要したところで終わった気分だったが、それからが本番だった。
- 松崎一郎さん:
- 王様は愛嬌(合香)が無くなり、悲哀(飛合)に満ちて、吊るし刑(桂)。
- 池田俊哉さん:
- 金のベルトコンベアを使って受方の持駒、桂香三を消費させる。
香の効きが発生するのでそれを順に取っていき最後に桂を取るにはどの順番に龍を使っていくか、
というパズルで、あまり類例のない作品と思う
香と桂合の位置は非限定ということで良いんでしょうか
はい、非限定です。
- おかもとさん:
- 初形と後手の持駒から最後は見当がつくが、解錠は非常に難解。
詰上りが見えるとがんばって解く気になりますよね。
- 占魚亭さん:
- 桂入手までの遠い道のり。前半・後半、ともに面白い手順でした。
- S.Kimuraさん:
- 龍で王手する順番がこうなる理由が理解できていません.
正解発表を楽しみにしています.
上記解説でおわかりになられたでしょうか。 不明点があったら聞いてください。
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