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詰将棋おもちゃ箱パズル詰将棋
パズル展示室 No.33
本間晨一さん 「粟津の晴嵐II」
パズル詰将棋
パズル詰将棋
棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)
出題時のコメント:
60手台。パズル詰将棋ではパズル的な作品を出題

パズル展示室No.33 本間晨一 パズル的な詰将棋といってもいろいろなタイプがあります。 その一つに二枚の飛(龍)あるいは二枚の角(馬)で追う構成の作品群があり、この展示室でもよく出題されています。

本作は、初手95飛成とすればわかるように、龍と飛で横に追う作品。 初形からは一筋おきに三段目が空いていること、6段目で歩が入手できることが目に付きますね。

このタイプの作品は、飛の王手に対し右にも左にも逃げられることが多く、どちらが長手数になるか読んで最長手順を発見するパズルになっています。 誤った逃げ方をしても作意のような手順で詰むことも多いので、本作でも誤解者が続出しました。

パズル展 No.33 原図 本作、最初の投稿図は左の図でした。

作者「飛と龍による追い趣向で、最長手数探しのパズルです。 紛れと変化、特に変化が多く最長手順を見つけるには何回か試行錯誤することになると思います。 詰棋めいと24号(平成10年)に発表した拙作の「粟津の晴嵐」(65手詰)と同じく飛と龍による追い趣向ですが、 邪魔駒の増加と右辺付近の折衝を複雑化し長手順化(65手詰→83手詰)した発展型です。
盤面の桂4枚と七段目にある歩2枚は邪魔駒で、手数かせぎに必要な配置になっています。
本作は持駒歩10で83手詰ですが、6七歩がなければ79手詰に、4七歩がなければ持駒歩9で71手詰に、6七歩と4七歩の両方がなければ持駒歩9で67手詰になり、 それぞれ本作よりも短手数になります。」

本間晨一「粟津の晴嵐」 詰棋めいと発表の「粟津の晴嵐」は右図。 投稿図は長手数化と複雑化を目指して発展させたものですが、もともと歩打ちへの応接や右左の逃げ方など変化読みが多い構造なので、 できるだけシンプルにした方が解後感が良くなるのではないかということで作者に検討いただき、今回の図で出題することとなりました。 今回の図では物足りなかった方は、是非投稿原図(83手)にご挑戦ください。

それでは、実際に手順を見ていきましょう。

  95飛成、73玉、74歩、同玉、76飛、64玉、66飛、73玉
  74歩、同玉、76飛、64玉、

95飛成、74玉、76飛、64玉、75龍、54玉、56飛、44玉 と進めば単純な飛龍送り。 実際には、飛の移動を歩が邪魔をしているので、これを先に取る必要があります。 また三段目に穴が空いているので、歩をたたくことも必要です。

3手目の74歩を64玉とかわすのは、66飛、74玉、76飛、64玉で4手短く歩も1枚節約できるので、同玉と取ります。

問題は66飛のとき、53玉・73玉どちらに逃げるか。 すぐに53玉では、「73玉、74歩、同玉、76飛、64玉、75龍、」53玉とくらべ「」の6手と持駒1歩が省略できるので、いったん73玉が正解です。 龍の位置が違いますが、33手目35龍で合流します。

  75龍、53玉、54歩、同玉、56飛、44玉、46飛、33玉、
  34歩、同玉、36飛、24玉、26飛、33玉、34歩、44玉、
  46飛、34玉、36飛、44玉、

先ほどと同じように進んで46飛のとき、53玉とすれば6手+1歩稼げるのですが、 龍が55に来ると後に44玉と逃げられなくなるので、そのまま右辺に追い詰められて早く詰んでしまいます。 そこで、46飛には33玉と逃げるのが正解です。

26飛のときも33玉か13玉で悩ましいところ。 13玉でも、14歩、同玉、16飛、24玉、25歩、33玉で、以下同じように進むのですが、 ここで33玉としておけば、あとでもう一度26飛とすることになり、その分2手長くなるのです。

34歩に44玉とかわすのも2手延ばすテクニック。

  35龍、53玉、54歩、64玉、66飛、73玉、74歩、84玉、
  86飛、93玉、94歩、同玉、96飛、84玉、

54歩に同玉は、56飛、64玉、55龍以下。 左右対称なので55に龍が来ると左側でも同様に早く詰んでしまいます。
74歩に同玉は、76飛、64玉、75龍で作意順に直結して早い。
ということで9筋まで逃げ回るのが最長です。

  95龍、74玉、76飛、64玉、75龍、54玉、56飛、44玉、

ほっと一息、快適な飛龍送りで再び右辺へ。 95龍で85歩と打ってしまうと1歩足りなくなるので注意。

  55龍、33玉、34歩、24玉、26飛、13玉、14歩、同玉、
  16飛、24玉、25歩、34玉、36飛 まで67手

34歩を同玉は36飛、24玉、35龍、13玉、14歩、同玉、16飛まで65手。

55龍と据えられると右でも左でも早いので、それをなんとか遅らせるように逃げるのがポイント。 分岐点の多い難解なパズル作品でした。

それでは、みなさんの感想を。 まずは惜しくも2手早く詰めてしまった方々。

Aさん:  (16飛まで65手)
単調な手順の様で、却って玉の逃げ方に迷わされる。
Bさん:  (76飛まで65手)
モグラ叩きのようで面白い。
Cさん:  (96飛まで65手)
協力詰のつもりで60手台になりましたので送ります。題意はわかりません。

ほか76飛まで65手解がもうお一人。

以下、正解のみなさん。 解答到着順です。

はむきちさん:
玉と飛車が球技のオフェンスとディフェンスのようなやりとりで面白く思いました。
小山邦明さん:
26手目の13玉と58手目の34同玉の手が、いづれも2手早詰と、きれいに割り切れたすばらしいパズルだと思いました。
占魚亭さん:
玉の逃げ方と飛・龍を動かすタイミングに試行錯誤。
おかもとさん:
本間さんの近江八景シリーズ、本作はけっこう難解。
池田俊哉さん:
頭の15手と同じように進めてしまうと右辺に追い込まれて早いので、 折り返しても良いように75に龍を置いておくのがカギ
同様に左に追うときも35に置いたままとする。
最長手順探しと言っても理屈がシンプルなのが良い
S.Kimuraさん:
玉が右へ左へ動き回るのが嵐なのでしょうか. 玉で歩を取るのか,それとも逃げるのかを確認するのが大変でした.

パズル展示室No.33 解答:11名 正解7名

  池田俊哉さん  inokosatoshiさん  S.Kimuraさん  おかもとさん
  小山邦明さん  占魚亭さん  はむきちさん

当選者は、全題の解答発表のあと、展示室で発表します。