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詰将棋おもちゃ箱くるくるおもちゃ箱

くるくる展示室 No.450 金少桂さん

くるくるおもちゃ箱
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棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)

出題時のコメント:
ぐるぐる回る 130手台

くるくる展示室No.450 金少桂

初形から37龍、26龍と追いかける龍追いが見えています。 龍追いの作品は江戸時代からたくさんある中で、はたして本作の狙いは? まずは進めてみましょう。

  「 37龍、25玉、26龍、34玉、24龍、43玉、33龍、52玉、
  42龍、61玉、51龍、72玉、71龍、83玉、73龍、94玉、
  93龍、85玉、95龍、76玉、75龍、67玉、78龍、56玉、 」

ぐるっと回って、ここがちょっと考えどころ。

1)57歩、47玉、48龍、36玉、
2)57歩、同玉、68龍、56玉、57歩、47玉、48龍、36玉、

3)57歩、同玉、68龍、47玉、48龍、36玉、
4)57歩、同玉、68龍、47玉、48龍、56玉、57歩、67玉、
  78龍、57玉、69桂、56玉、57歩、47玉、48龍、36玉、
5)57歩、同玉、68龍、47玉、48龍、56玉、57歩、67玉、
  78龍、57玉、69桂、47玉、48龍、36玉、

後手の逃げ方によりこの5通りが考えられます。 1)2)4)は57歩が残り、4)5)は69桂が残ります。 結論からいうと何も残さない3)が正解。 後手は簡単には57歩や69桂を置かせたくないのです。

  57歩、同玉、68龍、47玉、48龍、36玉、
  「 37龍、25玉、26龍、34玉、24龍、43玉、33龍、52玉、
  42龍、61玉、51龍、72玉、71龍、83玉、73龍、94玉、
  93龍、85玉、95龍、76玉、75龍、67玉、78龍、56玉、 」

また1周してきました。 今度は最初から桂が持駒にあるので、57歩を同玉だと69桂を打たれてしまいます。 それを避けるには57歩に47玉と逃げる1)の手順しかなく、これで57歩が残ります。

  57歩、47玉、48龍、36玉、
  「 37龍、25玉、26龍、34玉、24龍、43玉、33龍、52玉、
  42龍、61玉、51龍、72玉、71龍、83玉、73龍、94玉、
  93龍、85玉、95龍、76玉、75龍、67玉、78龍、57玉、 」

もう1周すると、57歩の効果で78龍には57玉と歩をとるしかありません。 そこで、やっと69桂を打つことができます。 69桂に56玉では57歩を置かれてしまうので、69桂には47玉と逃げます。

  69桂、47玉、48龍、36玉、
  「 37龍、25玉、26龍、34玉、24龍、43玉、33龍、52玉、
  42龍、61玉、51龍、72玉、71龍、83玉、73龍、94玉、
  93龍、85玉、95龍、76玉、75龍、67玉、78龍、56玉、 」

69桂があるので57歩を取ることはできず、ついに69桂、57歩の2枚を残すことに成功します。

  57歩、47玉、48龍、36玉、
  「 37龍、25玉、26龍、34玉、24龍、43玉、33龍、52玉、
  42龍、61玉、51龍、72玉、71龍、83玉、73龍、94玉、
  93龍、85玉、95龍、76玉、75龍、67玉、78龍、 」
  まで137手

作者「回転型龍追い5回転ですが、回転のキーに再帰(といっても二段階分ですが)的な仕組みを入れてみました。
48成桂を取る⇒57歩設置⇒69桂設置(57歩は消える)⇒57歩再設置⇒69桂と57歩で退路がなくなり詰み。
57歩と69桂のオンオフが2進法2桁分みたいな仕組みになっています。
これの究極形には田島秀男作345手詰がありますがあれは凄すぎますので、こちらはシンプルでわかりやすい手順の2号局ということでいかがでしょうか。」

田島秀男さんの345手は、「古今の詰将棋で唯一「寿限無」型の再帰手順を実現した奇跡の作品」。 詰将棋メモの田島秀男さんの詰将棋で解説しているので、ぜひごらんください。
本作は二段階だけなので、再帰になっていることに気が付きにくいのが難点ですが、2号局の登場で今後の発展につながることが期待されます。
再帰的手順については、全詰連HPに近藤真一さんの 『再帰的手順』についての考察 がありますので、興味のある方はこちらもごらんください。

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。

松崎一郎さん:
何周回るのかと思いきや5周も回り目が回りました。 また、駒を動かしながら、あたかも詰将棋を創作しているような不思議な感覚を覚えました。
山下誠さん:
この素朴な仕組みで龍追い5サイクルの実現は価値がある。
ひろぽんさん:
龍と玉がぐるぐる。
蛇塚の坂本さん:
5回転も回ると攻め方も玉もお疲れ様でした。
S.Kimuraさん:
次の周に行く前に,玉は幾つかの逃げ方がありますが,余計なことをせずに次の周に行った方が手数が延びるのですね.
おかもとさん:
シンプルな龍追いだが、いろいろとうまく出来ている。
池田俊哉さん:
最初の57歩は取らないと早く、次の57歩は取ると早い。 この57歩が69桂に変わり最後の57歩がクサビとなって詰む、この表現が狙いだろうからこれ以上の手数はいらないかも
inokosatoshiさん:
分かり易く、楽しく解けました。

くるくる展示室No.450 解答:8名 全員正解

  池田俊哉さん  inokosatoshiさん  S.Kimuraさん  おかもとさん
  ひろぽんさん  蛇塚の坂本さん  松ア一郎さん  山下誠さん

当選者は、展示室で発表しています。