100手超えという手数を見ただけで、解けるわけがないと思いがちですが、そこはくるくる、手が狭いので、とりあえず追っていけばなんとかなることも多いのです。
初形は上辺がすごい配置。 これは穴ふさぎと合駒制限っぽいので、あまり気にしなくて良さそうです。 実際、並べて受方の持駒を見ると、飛車しかない!
つまり、飛車で離れて王手すれば、飛合するか逃げるかしかないということ。 注意しなければいけないのは、飛車の王手だけでは続かないということ。 例えば、初手17飛だと、96玉、16飛、97玉で千日手。
盤上の駒との連携が必要です。
17飛がダメとなれば初手は95飛しかありません。 これに対し逃げるか飛合か。
86玉と逃げれば、87歩と歩の突出しが利きます。
96飛合は、同飛、同玉、95飛、86玉で、あれ、同じ形になりましたね。 こちらの方が手数が長いので飛合しましょう。
95飛、96飛合、同飛、同玉、95飛、86玉、87歩、77玉、
最後76玉もありますが、77玉に75飛、76飛合、同飛、同玉で同じ形。 ここも手数稼ぎで77玉が正解です。
8手で初形から二筋ずれました。 同様に進めていきましょう。
75飛、76飛合、同飛、同玉、75飛、66玉、67歩、57玉、
55飛、56飛合、同飛、同玉、55飛、46玉、47歩、37玉、
35飛、36飛合、同飛、同玉、35飛、26玉、27歩、16玉、17歩、同玉、
1筋まで追い詰めて、これで終わりかというと、14とがないので、そう簡単には終わりません。
15飛、16飛合、同飛、同玉、18飛、25玉、
16同玉のとき、18飛とこれまでと逆側から迫るのがいい手。 17飛合は同飛、同玉、18飛までなので、逃げるしかありません。
また気持ちのいい歩の突出しが実現しました。
26歩、34玉、38飛、35飛合、同飛、同玉、37飛、36飛合、同飛、同玉、38飛、45玉、
途中逃げる手もありますが、例によって、これが最長の逃げ方。 できるだけ飛合を繰り返してから逃げるのが延命策になります。
46歩、54玉、58飛、55飛合、同飛、同玉、57飛、56飛合、同飛、同玉、58飛、65玉、
66歩、74玉、78飛、75飛合、同飛、同玉、77飛、76飛合、同飛、同玉、78飛、85玉、
86歩、94玉、98飛、95飛合、同飛、同玉、97飛、84玉、
最後まで行ってしまうと、98飛まででとどめを刺されてしまうので、97飛に84玉と逃げだします。
かくして3度目の歩の突出しが実現します。
85歩、73玉、77飛、74飛合、同飛、同玉、77飛、75飛合、同飛、同玉、77飛、64玉、
65歩、53玉、57飛、54飛合、同飛、同玉、57飛、55飛合、同飛、同玉、57飛、44玉、
45歩、33玉、37飛、34飛合、同飛、同玉、37飛、35飛合、同飛、同玉、37飛、24玉、
25歩、13玉、17飛、14飛合、同飛、同玉、16飛、15飛合、同飛、同玉、18飛 まで139手
飛打ち飛合を繰り返しながら、3度の歩突出しで1往復半。 盤面を三段目から七段目までフルに使った雄大な趣向詰。 歩の突出し趣向は第1回看寿賞受賞作、北村研一さんの「槍襖」が有名ですが、本作はまさに現代版「槍襖」ともいうべきすばらしい作品でした。
なお、縦の飛打飛合の繰り返しで横に追う趣向は、相馬康幸さんのCollection No.18、Anthology No.61、TETSUのおもちゃ箱No.32、そして昨年看寿賞を受賞した井上徹也さんの「シンメトリー」などおもしろい作品がたくさん作られています。 是非あわせてご鑑賞ください。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 市橋宗士さん:
- 飛追いで、歩を突いて・・・と大まかな構想はわかるんですが。
まだ絡まった紐が解けません。しかし、この配置は何んと形容してよいのか?
くるくる作品は解けなくても並べれば楽しめるので、ご鑑賞ください。
- ronさん:
- 宇宙横断の作品名から察するに、玉が左右にいったりきたりするのかな・・・と思いきや、合駒の連続。最近の人工衛星が落下した時事とかけているのかななんて考えてしまいました。飛車と飛車を引き合わせてドッキング、収束は下段(大気圏)に落下で。
- 凡骨生さん:
- 飛合いを有効に用いた新槍襖だ。
- きたさん:
- 一段ずつ上がって完璧に同じことを繰り返すのが素晴らしい。これもばか詰の感じ。
- 長谷繁蔵さん:
- 考えないと損をする所でした。三筋へ逃げるのを忘れて123手にする所でした。
持駒指定でないので詰パラの何処かへ出題して、もっと多くの人に見て貰いたい作です。
- 池田俊哉さん:
- 構成は相馬さんの「曼荼羅」を思わせる初形-手順だが、突き歩が入って新味が出ている。突きっぱなしの歩がユーモラス
- ほいさん:
- まさかの1往復半!
なんだか100手越えに挑戦したくなります。
- 鈴木康夫さん:
- 復路で飛合をしなかったので手数が合わず誤りに気付きました。
玉方持駒制限をすれば上部を折り返しに使えるのでさらに長手数にできそうですね。
- やよいさん:
- 1筋の折り返しのところで悩みました。100手越えを暗算で(とは言え
kifuで手数を数えながらですが)解ける機会はなかなかありません。
- S.Kimuraさん:
- 飛車打ち飛車合を繰り返し,何とか玉を1筋まで動かしたのですが,その後が分かりませんでした.
18飛と逆から打つのが盲点だったかも。 惜しい。
- 隅の老人Bさん:
- 飛打飛合の間隙をぬって香先の歩で突きまくる。
雄大な構想、表題は「ACROSS THE UNIVERSE」、納得です。
- DD++さん:
- 手数的に2往復するかと思ったら、各片道が思ったより長かった。
- 井上順一さん:
- 実戦的には意味がない飛合の連続で、手数が倍くらいになっている。
- やきのりさん:
- 折り返しのところが難しかったです。きれいな配置ですね。
- 嵐田保夫さん:
- もはや笑うしかない。
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