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詰将棋おもちゃ箱くるくるおもちゃ箱
くるくる展示室 No.52 駒谷秀彦さん
くるくるおもちゃ箱
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出題時のコメント:

詰パラ発表作「リサイクルT」のくるくるバージョン。41手。


「リサイクルT」は、駒谷秀彦さんが詰将棋パラダイスの2005年6月号でデパートに発表した作品。 73手のちょっと難しい作品ですが、今回駒谷さんがそのくるくるバージョンを作成してくれました。 高度な作品も、本質だけを抽出すれば、誰でも鑑賞できる作品になる可能性があります。 くるくるおもちゃ箱では、そのようにしていろいろな趣向を紹介しています。 その意味で、作者自らくるくるバージョンを作成していただいたことはとても嬉しく、ほかの作家の方も駒谷さんに続くことを期待します。 既発表作のくるくるバージョンの場合は、解説時にオリジナルの作品も紹介しますので、投稿時にオリジナル作品も記述してください。

本作、初手は47馬しかなさそうですが、それに対する受け手が難関で、これが本作のテーマになっています。

1) 普通に85香とか合駒するのは、同飛、同歩、16香まで。
 何の合駒でも同じように詰むし、75合でも65合でも同じことです。
2) 25の合駒ならどうでしょう?
 25香合なら同馬、同歩、16歩、24玉、36桂まで。 ほかの合駒でもこれで詰みです。
 25歩上と移動合でも、同じように16歩、24玉、36桂まで詰み。
3) 36桂のとき逃げ道を作るために35歩と突き捨てたら?
 同飛、25合、同馬、同歩、16歩、24玉、33飛成まで

あれれ、全部簡単に詰んでしまいました。 なにを間違えたのでしょうか。
実は7歩全部突き捨てるという驚愕の受け手があるのです。

  47馬、85歩、同飛、75歩、同飛、65歩、同飛、55歩、同飛、45歩、同飛、35歩、同飛、25歩

この意味は、94飛の利きを24まで通すことにより、16歩を打歩詰にしようというもの。
こうなると16歩が打てないので、25同飛、同香、同馬と清算するしかありません(同馬、同香、同飛でも同じ)。

  25同飛、同香、同馬、同玉、

ここからは、回収した歩を再利用して打っていきます。 これが原図の題名の「リサイクルI」の意味。 ちなみに駒谷さんには「リサイクルII」という角に連歩突き捨てする作品もあります。

  26歩、35玉、36歩、45玉、46歩、55玉、56歩、65玉、66歩、75玉、76歩、85玉、

続けて86歩と打ちたいところですが、ここは94飛が取られることを見越して86香が正解。 以下手順に収束します。

  86香、94玉、95歩、同玉、96歩、94玉、93と、同玉、83と、94玉、84と まで41手

7歩突き捨てという高度な構想を、くるくるレベルで鑑賞できるようにした作者には感謝あるのみ。 オリジナルの作品では突き捨てるのが5歩だったのが本作では7歩になり、リサイクルの意味も歩打ち趣向で明確になるなど、やさしくしたというだけではなく、より洗練された作品になっているのではないでしょうか。

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
真Tさん:
打歩誘導の7連歩移動合。収束で打歩の筋が再び出てくるのが面白く感じました。
中澤照夫さん:
打歩詰に誘導する連続移動捨合が笑える。くるくるにピッタリの作品。
護堂浩之さん:
気持ちは分からないではないけど、でも、本当にこういう仕上げをする必要はあるのだろうか―。

原図の73手では解ける人が限定されてしまうので、「くるくるバージョン」は普及の意味で有意義だと思います。

S.Kimuraさん:
玉方が歩を連続して突き捨てる仕掛けも凄いですが,その後に歩を連続して打つのは気分が良いですね.
もっとも,7枚目の歩も続けて打ったため詰まなくなって困りましたが.
鈴木康夫さん:
連続歩突きとその歩を消費する手順がいかにもくるくるですね。
解答発表時には原図が見られるでしょうから、楽しみです。
原図もご鑑賞ください。
隅の老人Bさん:
貰った歩の使い方の上手いこと。
くる展向きの巧みなアレンジに感心。
コマンさん:
ゴミ歩を上手くリサイクルしましたネ。
長谷繁蔵さん:
もしも将棋に打歩詰禁がなかったら・・・どのくらい数が減るのかな
東海さん:
9四飛の使い道を考えると、作意(玉方が逆用)が見えてきました。
どんどん歩を突いて捨てていくのは爽快。
小峰耕希さん:
究極の打歩誘致!
たくぼんさん:
さすがに狙いがしっかりしているので納得できる。高級くるくると言った感じ。

くるくる展示室No.52 解答:11名 全員正解(下記)

  S.Kimuraさん  護堂浩之さん  コマンさん  小峰耕希さん  鈴木康夫さん
  隅の老人Bさん  たくぼんさん  東海さん  中澤照夫さん  長谷繁蔵さん
  真Tさん

当選者は、展示室で発表しています。