八段目の歩の並び、九段目の香飛を見れば、歩を順に突いていく手順が思い浮かびます。
まずは17歩、これには26玉の一手。
続いて27歩、これには35玉・36玉・15玉と3通りの逃げ方があります。
35玉は44馬から45馬。36玉だと、もう2筋に戻れないので3、4筋の歩を突いていけば簡単。
ということで、15玉と逃げるのが正解です。
16歩、14玉、15歩と追撃。25玉には続いて26歩、36玉(35玉は44馬)、37歩、46玉。
ふと気がつくと、横に並んでいた4枚の歩が、いつのまにかきれいに斜めに並んでいるではありませんか!
47歩、35玉、36歩、24玉、25歩、13玉、14歩まで19手。
最後は一挙に斜めに追いかけて収束。馬と角がよく利いて、逃げられません。
全着手歩突き、そして横から斜めにフォーメーションを変換するところが面白い。
詰上りも飛角香歩だけで美しいですね。
初形の歩香の並びは、第1回看寿賞受賞作、北村研一さんの「槍襖」の雰囲気。
「槍襖」はひたすら横に追う趣向ですが、本局の横から斜めに移行する手順も、データベースで検索したら、墨江酔人(七條兼三)「新槍襖」(近代将棋1980年11月、早詰あり)が見つかりました。
本局と同じような手順で始まり、更に第二趣向で歩を全部消してしまう41手の作品です。
本局は全着手歩突きでシンプルにまとめたことで、くるくる的に十分存在価値があります。
作者の小峰さんはもちろんこの作品を知らずに創作したわけですが、まだ創作を始めて間もないのに、大作家七條さんと同じ構想を抱いたところ、大物の素質十分。衝突はあまり気にせず、どんどん作りましょう。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- コマンさん:
- ミニ槍襖で斜めに並ぶ歩がキレイ。 毎月楽しませて頂きありがとうございます。
「槍襖」は詰将棋博物館で鑑賞できるので(象戯九十九谷集第87番)、未見の方はぜひごらんください。
- ひろびろさん:
- 階段状に動く玉の動きが面白い作品。
19手粘るのにはこの逃げ方しかないのがさらにいい。
ひろびろさんのホームページには、小峰さんの作品が紹介されています。
- 中澤照夫さん:
- 突き歩の趣向が徹底している。
余分な手順をはさまず全着手歩突きでまとめたのが成功してますね。
- 荒川さん:
- 解いてみたい気持ちになります。
2五香の配置は桂じゃだめですか。
その香を1九に配置したら1段目がきれいですが、ポイントが違っていますか。
19も香にできるときれいですね。19香25桂でも作意手順は成立しますが、
・4手目36玉の変化が難しくなる ・7手目13桂成も成立(迂回手順?) ということで、悩ましいところ。
- 隅の老人Bさん:
- 目で追っかける、4手目でストップ。あとはくるくる。
4手目が斜めか横かの分岐点。ここさえ乗り切れば・・・
- 吉川浩二さん:
- ここまで徹底しているとなんだかうれしい。
徹底するのが、くるくるの秘訣(^^)
- 涼秋さん:
- 何とか攻め方の駒を取りながら逃げ回ったけれどとうとう串刺し。
途中2手抜けてました。今回はあまく見て正解扱い。お気をつけください。
- 小峰耕希さん:
- 趣向手順の占有率100%なのが唯一の取柄。
類似作があるらしいですが、そちらは余詰のようなので、新作と言っても辛うじてセーフ…かな?
最近はフェアリー創作に凝っているので、次はカピタン展示室初入選をと思っています。
お待ちしています。フェアリー版くるくるなんていかがですか。
- 長谷繁蔵さん:
- 9手詰と思いヒントで再考長い順を発見、面白い作品でした。いつも面白いのを有難とう。
最初は4手目36玉と逃げたのかな。9手で終わってはさすがにちょっと寂しい。
- どかん5号さん:
- 詰めてみれば動くのは歩と玉だけ。階段状でアート的ですね。
美術館は形のアート、くるくるは手順のアートですね。
- S.Kimuraさん:
- 玉が左右に動くことを予想していたので,歩が階段状に迫り上がっていったのには驚かされた.
この初形なら誰でも左右に動くと思いますよね。
- 諏訪冬葉さん:
- 適当に見えてうまく手順を限定している駒配置が絶妙でした。
真ん中の5枚の駒でうまく限定してます。ちょっと多いけど全部消えるので気にならない?
- 井上順一さん:
- 全着手歩、全応手玉。歩を突く順、玉の軌跡も完璧。すばらしい槍襖。
手順の統一と完全限定が気持ちいいですね。
- 岡村孝雄さん:
- 横一線から斜一線へと並びを変えていくのが、ちょっと目新しい。
陰の主役は攻方58歩だったりして。
58歩は57玉を防ぐ配置ですが、初形の横一線と詰上りの斜一線のどちらにもぴったりして、ちょっとびっくり。 |