木目1

次ヘ
次ヘ
第7章 ノコギリ趣向(5)
馬ノコ その5
表紙に戻る
表紙に戻る

全詰連の柳田明会長の作品。 普通の馬ノコのような形をしていますが、馬が2枚あります。 仲良く一緒に近づいていきましょう。 12×5+15。

くるくる No.195

棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)

くるくるNo.195馬が遠いのでわかりにくいですね。 99馬は33・22・11の筋に、また、89馬は34・23・12の筋に利いています。 21玉に王手するには98馬とすれば43・32・21の筋に効きますが、さて、どちらの馬で王手しましょうか。

98馬直と99の馬で王手してみましょう。 32歩と合駒されると同馬と取るしかありませんが、同玉で続きそうにありません。 98馬右と89の馬で王手するのはどうでしょう。 32歩合なら同馬、同玉、33と、31玉、22とまで。 つまり、馬が33・22・11の筋に利いているときには32に合駒はできないわけです。 31玉と逃げても32馬と捨てれば同じですから、98馬右には12玉と逃げる一手。

  98馬右、12玉、

89馬引では元に戻ってしまうので89馬寄。 11玉にまたどちらの馬でも88馬と王手できます。 ここでも、88馬上は22歩合で困りそう。 88馬寄なら22歩合には同馬、同玉、23と以下、つまり馬が34・23・12の筋に利いているときは22に合駒することはできないので、21玉と逃げる一手です。

  89馬寄、11玉、88馬寄、21玉、

要は、合駒されないように、元に戻らないように王手すればいいわけです。

  98馬上、12玉、78馬、11玉、88馬左、21玉

これで、2枚の馬が揃って一つ斜めに進みました。 あとはこの12手を繰り返せばどんどん近寄れるわけです。

  87馬右、12玉、78馬寄、11玉、77馬寄、21玉、87馬上、12玉、67馬、11玉、77馬左、21玉
  76馬右、12玉、67馬寄、11玉、66馬寄、21玉、76馬上、12玉、56馬、11玉、66馬左、21玉
  65馬右、12玉、56馬寄、11玉、55馬寄、21玉、65馬上、12玉、45馬、11玉、55馬左、21玉
  54馬右、12玉、45馬寄、11玉、44馬寄、21玉、54馬上、12玉、34馬、11玉、44馬左、21玉
  43馬右、12玉、34馬寄、11玉、33馬寄

ここで今までと同じように21玉とすると、43馬上、12玉、23とまで。 これが馬を近づけた狙いでした。 22歩合の方が長くなるので、こちらが正解です。

  22歩合、同馬、同玉、23と、31玉、32歩、21玉、22歩、11玉、12と まで75手

2枚の馬がペアで移動していくので、双馬ノコと呼ばれます。 本作はその中で最もシンプルな作品です。

kamuさん:
確かこの作品は、99の馬は近づいていく必要がなかったように思います。
双馬鋸の例としては若干不適格なのではないでしょうか?

確かに、34・23・12に馬の利きがある状態で33馬とすれば22歩合とせざるを得ないので、馬は1枚だけ近づけばいいわけですね。

双馬鋸の例としては少し不適格だったかも。ご指摘ありがとうございました。

ただ、くるくるは作品そのものよりも趣向手順の紹介が目的なので、作意手順をみて「こういう馬ノコもあるんだ」ということを知ってもらえたらいいかと思います。

ほかに双馬ノコのくるくる向けの例題になりそうな作品をご存じでしたら教えてください。

木目1