木目1

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第4章 お供を連れて (1)
手順の構成
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3章で移動趣向をたくさん紹介しましたが、いずれも玉は一人ぼっちでした。 本章では、玉と共に玉方の駒(G駒)も移動する移動趣向を取り上げます。

玉方の駒を動かすには、捨駒をするのが一般的です。 また、それ以外に、飛び駒で王手してそれに対する移動合の形で動かすこともできます。 パターンを整理すると、表のようになります。

捨駒G移動ユニット 捨駒によるG駒の移動 L−同G
L打−同G
合駒G移動ユニット 移動合でのG駒の移動 Ga−Gb
L−G
L打−G

本章の趣向はいずれも、3章のはじめに説明した「追い・送りユニット」と 上記のG移動ユニットの組み合わせで構成されています。

例えばこの作品。 すぐ86銀とすると98玉ともぐられてしまいます。 そこで、先に98歩、同金として塞いでから86銀とすればOKですね。 この「98歩、同金」が「L打−同G」の捨駒G移動ユニット、「86銀、96玉」が「G−玉」の追いユニットです。

お供を連れていく目的は、本局は玉の退路封鎖ですが、ほかにも、お供が強いので利きをそらす、とか、 変化に備えてお供を質駒にする、とか、いろいろな目的が考えられます。

くるくる No.112

オリジナルの作品を鑑賞する

この趣向は江戸時代からたくさん作られていて、「銀歩送り」趣向と呼ばれています。 元祖は二代伊藤宗印の勇略35番。 宗印は「不成百番」(将棋精妙)で有名ですが、将棋勇略もすべての作品が中段玉か入玉という意欲的な作品集で、 このような趣向詰にも才を見せてくれます。

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