木目1

次ヘ
次ヘ

龍鋸趣向作品全集 木挽唄集
はじめに

表紙に戻る
表紙に戻る

今までに発表された馬ノコ全作品の整理・紹介を目指した「新・馬子唄集」に続いて、 龍ノコ作品についても同様の整理・紹介を行うことになった。

馬ノコの場合と同じく、龍ノコについても、大塚播州氏が収集・論考を行っておられたと思われるが (大塚氏自身の龍ノコ三部作「龍騎兵」「龍宮城の伝説」「おとぎ詰」を鑑賞すると、 龍ノコ趣向に対する論理だった研究が生み出した作品であることが推測できるため)、 「将棋馬子唄集」のように正式な形でまとめられたものがないので、ゼロに近い状態から私が始めることとなった。 このため、戦後の作品群については、詰パラや近将をあたることによって大半の作品を集めることが出来たつもりであるが (収集にあたっては、森田銀杏氏と湯村光造氏の協力を得ました。感謝します)、 いくつかの作品(特に、戦前のもの)については、漏れがある可能性もある。 このうち戦前分については大塚氏や門脇芳雄氏の研究稿によって(他の作品の存在の有無に関しては) 多少の保証を得たつもりであるが、脱落に気付いた方は、ご連絡頂ければ幸いである。

本稿の構成については、「新・馬子唄集」の形式を踏襲することとした。 つまり、作品の内容に応じて作品群をいくつかに分類し、各々別の章を立てて紹介していく、というものである。 その分類に際しても、馬ノコのそれを踏まえたが、その作業の中で気付いたのは、 現在までの作品の数は圧倒的に馬ノコの方が多い(龍ノコ作品の数は、馬ノコの約1/3である。 これだけ見れば、案外多いと思われそうだが、龍ノコ作品の3/4は昭和50年代に入ってから生まれており、 そのためにこれだけの比率で済んでいる、という見方もできよう)にもかかわらず、 分類項目は馬ノコとほぼ同数必要である、ということだった。 項目毎の絶対数は少ないが、バリエーションは色々考えられる、と言えるだろう。 こういった辺りに龍ノコの面白さが潜んでいるのかも知れないし、 最近の作品の急増は、このことに作家諸氏が気付いた結果なのかも知れない。

どういうタイトルにするか迷った末、「馬子唄集」に準じて、龍ノコ作品の命名群の中から“唄”の文字がつくものを選んだ (但し、実際の作品タイトルにある「日向木挽唄」とは少し違う。念のため)。 それなりのイメージは感じられ、悪くない響きだと思ったのだが、如何だろうか?

今回は、余り長期連載にならないようにしたい。ご愛読をお願いしておく。

木目1