初形から16と、17とをはがして18成銀を取るのだな、となんとなく予想できますね。
173手という長手数なので、取り掛かる前にじっくり考えましょう。
1)24桂の回りの正方形の中を金(と金)で追い回せる
2)正方形なので左回りも右回りも可能
3)25金(と金)、23玉の形から左回り、右回りが切り替えられる
4)歩は1筋しか打てないので、歩打〜歩成で追うときは最初左回り
わりと自由に回転できることがわかります。
5)15にと金を呼ぶのは14玉型で15歩、同と、とすればよいが、このとき
・右回りだと23金(と金)を捨てるしかないので1歩損。
・左回りだと35金(と金)でそのまま追える。
6)15とを取るには、25金(と金)13玉の形で、14で清算すればよい
7)16にと金を呼ぶのは15玉型で16歩、同と、とすればよいが、このとき
・右回りだと13と金でそのまま追える
・左回りだと35と金では25と金と捨てるしかなく王手が続かない。
ここまで整理すれば、大丈夫。 そろそろ手順を進めましょう。
歩が最小限しかないので、できるだけ節約することがポイントです。
目標1 16とを取る
5)のことから歩の節約には左回りにしなければなりません。
13歩成、同玉、14歩、同玉、25金とすればすぐに左回りになりますが、ここで1歩使うのはもったいない。
13歩成、33玉、23と、同玉、
14歩を消去すれば、右回りに追えるようになります。 ということは3)により左回りにもできるということ。
(右回り)
34金、13玉、23金、14玉、13金、15玉、14金、25玉、15金、34玉、25金、23玉、
(左回り)
14金、33玉、23金、34玉、33金、35玉、34金、25玉、35金、14玉、
(16と→15→14で奪取)
15歩、同と、25金、13玉、14歩、同と、同金、同玉、
目標2 17とを取る
この局面は4)により左回りですが、7)のことから右回りに切り替えることが必要です。
(左回り)
15歩、13玉、14歩、23玉、13歩成、33玉、
23と、34玉、33と、35玉、34と、25玉、35と、14玉、25と、23玉、
(右回り)
34と、13玉、23と、14玉、13と、15玉、
(17と→16)
16歩、同と、
16との形になれば、あとはさっきと同じように15、14と呼んで取ることができます。
(右回り)
14と、25玉、15と、34玉、25と、23玉、
(左回り)
14と、33玉、23と、34玉、33と、35玉、34と、25玉、35と、14玉、
(16と→15→14で奪取)
15歩、同と、25と、13玉、14歩、同と、同と、同玉、
目標3 18成銀を取る
まずは18の成銀を17に呼びましょう。
(左回り)
15歩、13玉、14歩、23玉、13歩成、33玉、
23と、34玉、33と、35玉、34と、25玉、35と、15玉、
(18成銀→17)
25と、16玉、17歩、同成銀、15と、同玉、
あとは目標2の17とを取った手順と同じように成銀を取ることができますね。
(左回り)
16歩、14玉、15歩、13玉、14歩、23玉、13歩成、33玉、
23と、34玉、33と、35玉、34と、25玉、35と、14玉、25と、23玉、
(右回り)
34と、13玉、23と、14玉、13と、15玉、
(17と→16)
16歩、同成銀、
(右回り)
14と、25玉、15と、34玉、25と、23玉、
(左回り)
14と、33玉、23と、34玉、33と、35玉、34と、25玉、35と、14玉、
(16と→15→14で奪取)
15歩、同成銀、25と、13玉、14歩、同成銀、同と、同玉、
目標4 銀を使って詰める(収束)
ここまで間違えてなければ、持駒は銀1枚だけ。
1枚だけでは詰みませんが、26歩が取れるので、銀と歩で詰み形を探します。
15銀、25玉、26銀、14玉、15歩、13玉、14歩、23玉、13歩成、34玉、
35銀、25玉、26銀、16玉、17銀、15玉、14と、25玉、26銀、16玉、15と まで173手
と金はがしは協力詰では昔から作られてきた趣向ですが、本作では毎回左回り、右回りの変換が必要になるのが新工夫。 そのため、わずか3枚をはがすだけなのに173手という長手数になりました。
ちょっと夏向きとしてはボリュームたっぷりですが、形もすっきりしていて、手順も論理的に明快で、お楽しみいただけたのではないでしょうか。
密室型協力詰など、フェアリー詰将棋で活躍されている小林さんから、改良案が届きました。
- 小林看空さん:
- 天津さんのばか詰、もったいない。
次のような図にすればだいぶ手数が延びますね。
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