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詰将棋おもちゃ箱カピタンリバイバル
カピタン展示室 No.16 天津包子さん
協力詰 173手
カピタンリバイバル
カピタンリバイバル
出題時のコメント:

右に左にくるくると。

協力詰(ばか詰) 先手後手協力して、最短手順で後手玉を詰ます。


初形から16と、17とをはがして18成銀を取るのだな、となんとなく予想できますね。
173手という長手数なので、取り掛かる前にじっくり考えましょう。

1)24桂の回りの正方形の中を金(と金)で追い回せる
2)正方形なので左回りも右回りも可能
3)25金(と金)、23玉の形から左回り、右回りが切り替えられる
4)歩は1筋しか打てないので、歩打〜歩成で追うときは最初左回り

わりと自由に回転できることがわかります。

5)15にと金を呼ぶのは14玉型で15歩、同と、とすればよいが、このとき
 ・右回りだと23金(と金)を捨てるしかないので1歩損。
 ・左回りだと35金(と金)でそのまま追える。
6)15とを取るには、25金(と金)13玉の形で、14で清算すればよい
7)16にと金を呼ぶのは15玉型で16歩、同と、とすればよいが、このとき
 ・右回りだと13と金でそのまま追える
 ・左回りだと35と金では25と金と捨てるしかなく王手が続かない。

ここまで整理すれば、大丈夫。 そろそろ手順を進めましょう。
歩が最小限しかないので、できるだけ節約することがポイントです。

目標1 16とを取る

5)のことから歩の節約には左回りにしなければなりません。
13歩成、同玉、14歩、同玉、25金とすればすぐに左回りになりますが、ここで1歩使うのはもったいない。

  13歩成、33玉、23と、同玉、

14歩を消去すれば、右回りに追えるようになります。 ということは3)により左回りにもできるということ。

(右回り)
  34金、13玉、23金、14玉、13金、15玉、14金、25玉、15金、34玉、25金、23玉、
(左回り)
  14金、33玉、23金、34玉、33金、35玉、34金、25玉、35金、14玉、
(16と→15→14で奪取)
  15歩、同と、25金、13玉、14歩、同と、同金、同玉、

目標2 17とを取る

この局面は4)により左回りですが、7)のことから右回りに切り替えることが必要です。

(左回り)
  15歩、13玉、14歩、23玉、13歩成、33玉、
  23と、34玉、33と、35玉、34と、25玉、35と、14玉、25と、23玉、

(右回り)
  34と、13玉、23と、14玉、13と、15玉、
(17と→16)
  16歩、同と、

16との形になれば、あとはさっきと同じように15、14と呼んで取ることができます。

(右回り)
  14と、25玉、15と、34玉、25と、23玉、
(左回り)
  14と、33玉、23と、34玉、33と、35玉、34と、25玉、35と、14玉、
(16と→15→14で奪取)
  15歩、同と、25と、13玉、14歩、同と、同と、同玉、

目標3 18成銀を取る

まずは18の成銀を17に呼びましょう。

(左回り)
  15歩、13玉、14歩、23玉、13歩成、33玉、
  23と、34玉、33と、35玉、34と、25玉、35と、15玉、

(18成銀→17)
  25と、16玉、17歩、同成銀、15と、同玉、

あとは目標2の17とを取った手順と同じように成銀を取ることができますね。

(左回り)
  16歩、14玉、15歩、13玉、14歩、23玉、13歩成、33玉、
  23と、34玉、33と、35玉、34と、25玉、35と、14玉、25と、23玉、

(右回り)
  34と、13玉、23と、14玉、13と、15玉、
(17と→16)
  16歩、同成銀、
(右回り)
  14と、25玉、15と、34玉、25と、23玉、
(左回り)
  14と、33玉、23と、34玉、33と、35玉、34と、25玉、35と、14玉、
(16と→15→14で奪取)
  15歩、同成銀、25と、13玉、14歩、同成銀、同と、同玉、

目標4 銀を使って詰める(収束)

ここまで間違えてなければ、持駒は銀1枚だけ。
1枚だけでは詰みませんが、26歩が取れるので、銀と歩で詰み形を探します。

  15銀、25玉、26銀、14玉、15歩、13玉、14歩、23玉、13歩成、34玉、
  35銀、25玉、26銀、16玉、17銀、15玉、14と、25玉、26銀、16玉、15と まで173手

と金はがしは協力詰では昔から作られてきた趣向ですが、本作では毎回左回り、右回りの変換が必要になるのが新工夫。 そのため、わずか3枚をはがすだけなのに173手という長手数になりました。

ちょっと夏向きとしてはボリュームたっぷりですが、形もすっきりしていて、手順も論理的に明快で、お楽しみいただけたのではないでしょうか。

密室型協力詰など、フェアリー詰将棋で活躍されている小林さんから、改良案が届きました。

小林看空さん:
天津さんのばか詰、もったいない。
次のような図にすればだいぶ手数が延びますね。
はがす駒もふえて200手超え。 初形も成銀が消えて更にすっきり、収束もシンプルになって、申し分のない改良案。 さすがは看空さんです。 みなさまも是非合わせてご鑑賞ください。

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
躑躅さん:
初めて10手より長い協力詰解きました。
13歩成、同玉、14歩、同玉と最初やってて、歩が足りなくて少し悩みました。
真Tさん:
これは文句なしに面白いですね。
ぐるぐる楽しめました。
たくぼんさん
これは素晴らしい。目的によって右と左の回転を使い分けるなんて・・・傑作
鈴木康夫さん:
(と)金と玉でこんな左右回転趣向が成立するとは思いませんでした。
最初は歩の節約、詰んだ後は手数の節約に苦労しました。
北川仁士さん:
最初 1三歩成、同玉、1四歩、同玉 だと思い、1歩足らなくて苦労しました。
S.Kimuraさん:
最初の方で手を誤ったため,一歩不足になり,成銀が取れずに苦労しました.
収束もつまづきましたが,何とか173手詰になる手が見つかりホッとしています.
隅の老人Bさん:
寝苦しい夜に追い回す、暑い暑い。
解けてヤレヤレ、漸く就寝。
次の日に解答を書こうとしたら、どちらに回ったか忘れてる。
思い出すのに、また一汗。
こんなに長いのは、猛暑の月には不向きだよ。
小峰耕希さん:
剥し趣向や何度も逆回転する辺りは見ればすぐわかるのですが、最後の20手で途端に難しくなる。昨晩までいくら考えても駄目で、やっと解けたのはたった今(このメールを書いている最中)です。
18成銀を29銀にして呼び出す手順を長くしようとすると、27に生銀を持ってくる筋で潰れるみたいですね。惜しい。

カピタン展示室No.16 解答:8名 全員正解(下記)

 S.Kimuraさん  北川仁士さん  小峰耕希さん  鈴木康夫さん  隅の老人Bさん
 たくぼんさん  躑躅さん  真Tさん

当選者は、展示室で発表しています。