木目1

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40 国際三人将棋
カピタン第3号より
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国際3人将棋は将棋月報誌昭和8年新年号に谷ヶ崎治助氏によって発表された将棋で、 本格的な3人将棋としては唯一のものでしょう。

数学セミナー誌で最近(1976年8月)桑垣煥氏が紹介しておられるので、 ご覧になった方も多いと思います。 残念ながらルールが概略だけしか説明してないようなので、今一度紹介してみましょう。

盤:
下図のような一辺7の六角形である。 3つの辺の3段目までが各“国”の領域で、中央の目は楽園と呼ばれる。
国際三人将棋盤
駒:
形は将棋駒と同じ。成駒は裏に書いてある。
下表で、六角形は1手で行ける目、矢印は1手で進める方向を示す。

輿論 旭光 輿論(成駒は旭光)
 玉に相当する駒だが、成れる。はじめて動くときに限り自国内の任意の目に動ける。但し王手(輿論取り)を一度でも掛けられた時、又は同盟したときはこの権利を失う。

旭光
 
自己の手番のとき動かないで利き目にある連絡のない相手の駒を取ることができる。これを光化または光殺という。
軍教と竜化 軍教
 軍備と教育の意味。成駒は竜化
外交と魔叉 外交
 成駒は魔叉
金権 金権
 この駒は成らない
税関 税関
 この駒も成らない
殖貿と宝 殖貿
 殖産と貿易の意味。成駒は
宣電と化 宣電
 成駒は
尖占と弗 尖占
 尖端を占領するという意味。成駒は(弗の動きは金権と同じ)

ルール:
  1. 振り駒など適当な方法で先手中手後手を決める。 左廻りに着席し、順に1人が1手ずつ指す。 但し初めより同盟のときは被同盟者が先手。

    2013年6月7日注釈追加 実際の記述は「太陽廻り(即ち左廻り)」となっている。実戦例を見ると時計廻りに進行しているので、「右廻り」とした方がよいかもしれない。

  2. 駒の取り方は将棋と同じ(光殺の例外がある)で、取った駒は持駒として使用できることも同様。

  3. 成駒・・・将棋と同様、相手国(敵陣)に入る、出る、内で動くとき成れる。 また楽園に入る(出る)ときも成ることができる(通過ではダメ)。

  4. 行き所のない駒は打てない。 また移動して行き所がなくなるときは成らなくてはならないことも将棋と同じ。

  5. 勝敗:次の二種がある。

    1)輿論(旭光)が詰んだら敗。
     1人敗者が生じたとき、その敗者の盤上の駒を取払い、残りの2人で決勝戦を行う。 このとき詰めた者は先手となる。 同盟者側が勝ったときも決勝する。

    2)輿論(旭光)が相手国の利きのないとき楽園に入れば勝。
     相手2人は同時に敗となる。

  6. 王手(輿論取り)を放置してはならない。

  7. 打尖占詰は禁手。

  8. 二歩(尖占)はかまわない。

  9. 千日手は仕掛けた方が手を変える。

  10. 同盟:二種あり。

    1)宣言同盟−始めから同盟を宣言する。

    2)突発同盟−次の指手が現れたとき自動的に同盟が成立する。

    i)二者が相次いで他の一者の駒に対し攻手を仕掛けた時、 即ち王手詰めろは勿論、必然的に駒損させる指手をした時。
    駒の損得は次の基準で比較する(成駒は生で評価)。
     a:軍教・外交
     b:税関・金権・殖貿・宣電
     c:尖占
    但し相手方の攻に対する応手は攻に転化しても攻手とは看做さない。

    ii)相次いででなくても一者が他者の駒利きを利用して第三者に対して攻手を仕掛けた時。

    いずれの場合も前者は後者の同盟強要の指手を拒めない。
    同盟が成立した後は中途で脱退することはできない。

  11. 同盟者の権利義務の変化

    1)成る権利を失う。 既に成っている駒はそのまま。

    2)輿論の初めて動く場合の自国内自由移動権を失う。

    3)5−2)の楽園入勝を失う。

    4)同盟者1人負ければ他の同盟者を連帯敗とする。

    5)同盟者間では互いに王手を掛けてはならない。
    輿論が相同盟者の駒の利きに行ってはならない。

    6)王手詰ろに対する防ぎは各自独立(自ら防ぐこと)。

  12. 被同盟者の特典:同盟成立と同時に輿論はその場で旭光となる。

以上は詰将棋古図式鑑賞同好会会報第8号における将棋月報誌からの引用によりました。 同盟に関して少しあいまいな所がありますが、十分実戦可能です。

盤はちょっと作りにくいですが、駒は将棋駒で代用できそうです(2組必要)。

桑垣氏によると将棋の専門棋士による対局が行なわれ、月報誌に棋譜が連載されたとのこと、 ご存じの方がおられましたらお知らせください。

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