木目1

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1 衝立将棋と衝立詰将棋
カピタン第1号より
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1.衝立将棋の指し方


衝立将棋では二人の対局者のほかに審判が必要である。 将棋盤を二面使い、まず図のように対局者は自分の駒を並べる。 衝立の為に互いに相手の盤は見ることができない。 審判は両方を見て進行の手助けをする。 将棋と同様、敵玉を詰めれば勝ちであるが、相手がチョンボ(後述)を9回したときも勝ちとなる。 これをチョンボ勝ちという。

審判は指し手ごとに

  1. その手が禁手(敵駒のある所に駒を打つ、王手を放置するetc.)だったら 「チョンボ」 と言って指し直させる。
    (チョンボの回数は記録しておき8回になったら注意し、9回になったら 「チョンボ負け」 を宣言して衝立を取る。)
  2. 駒を取っていたら取った対局者にその駒を渡す。
  3. その手が王手だったら 「王手」 と言う。
  4. その手で詰んでいれば 「詰み」 を宣言して衝立を取る。

をして、まだ終っていなければもう一方の対局者に手番を知らせる。


2.「衝立詰将棋」 とは?

文字通り衝立将棋の詰将棋です。 実戦では相手の陣形がよくわからないことが多いのですが、衝立詰将棋では初形の局面だけはわかっているとします。 ただし「衝立」ですから王手をかけてもどう応手しているかはわかりません。 (駒が消えたりすることによってある程度わかりますが)

例えば下図を見てください。 (本当は双方の駒を別々の盤に書くべきですが、スペースが大変なので一つの図にまとめることにします)

詰将棋なら23銀で簡単。 また23金でも詰みますが、衝立ではどうでしょうか。

初手23銀としてみます。 玉方の応手は11玉、13玉、31玉の3通りあり、どれも駒を取られないので全くわかりません。 そこで次に32金とか12金というような手は、それぞれ13玉、31玉と逃げられていたとき王手にならないので指せません (王手の連続という条件に反する)。 正解は22角です。 これなら11玉(13玉)のときは「詰み」ですから問題なく、31玉のときも王手になります。 これに対し41玉か42玉。 43金などは41玉で王手にならないからダメですが、両方共王手になる手以外にも、 例えば42金のように41玉なら王手になるし42玉なら「チョンボ」になるような手も指すことができます。 もっともこの問題では42金では全然詰みませんが。 今打った角を31角成と捨てるのが妙手です。 次にもし馬が消えれば31同玉としたのがわかりますから32金まで詰み。 もし消えなければ51玉か52玉と逃げたのがわかるので62金まで詰みとなります。

 23銀、31玉、22角、42玉、31角成、同玉、32金まで7手

22角から31角成はバカみたいな手ですが、玉位置を確かめる為に必要なわけです。

もう一題解いてみましょう。 下図は ”衝立名人” 蒲池克弘氏の作品です。

初手43飛では玉が広すぎて詰みそうにないので43金でしょう。 これに対し31玉、41玉、51玉の3通りの逃げ方があります。 ここで41飛!? も面白い手ですが51玉から62玉と逃げられて詰みません。 51飛!が玉位置を限定する妙手です。 51玉のときはもちろんチョンボでわかりますから52金まで。 41玉のときは同玉の一手で飛が消えますからこれも52金まで。 問題は31玉のときで41合、22玉の2つの応手があります。 ここで31飛成!が妙手です。 41合のときはチョンボでわかるので32金まで。 22玉のときは31玉、12玉、13玉、23玉とありますが、31玉は龍が消えるので32金まで。 龍が消えないときは23金!が玉位置限定の例の手です。 チョンボだったら23に玉がいるので33龍、12玉、22金まで。 12玉、13玉のときは23同玉と取る一手で、以下は33龍、12玉、13歩、21玉、32金の追い詰です。

 43金、31玉、51飛、22玉、31飛成、13玉、23金、同玉、
 33龍、12玉、13歩、21玉、32金まで13手

51飛から31飛成が応手を限定する衝立らしい手でした。

本局はそれほどむずかしくありませんが、作者蒲池氏は難解な作風で知られています。 指し衝立将棋の実力者でもあり、最近第1期棋聖位を獲得しました。

詰将棋のときもチョンボは8回までよしとします。 即ち9回以上しなければ詰まない場合、その作品は不詰ということになります。

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柿木義一さんの Kifu for Java を使わせていただいています
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