解説・全短評
大道棋9、大道棋10と同じ類型で、この類型では最難問。 「詰んだらプロ」級の問題です。
初手は73角成の一手。 94玉に84馬、同玉は、86飛なら85歩の捨合で逃れ、64飛は83玉で逃れ。
ちょっとひねって、73角成、94玉、95馬、同玉、96飛、84玉、86飛は、単に94玉でも詰みません。
結局、73角成、94玉、64飛、74金合の筋で追うしかないのですが、そこから有力な筋がいろいろあって迷います。
1) 83馬!、85玉(同玉は74馬以下)、74馬右、86玉、75馬!、87玉(同玉は65馬以下)
大駒3枚で持駒には金と超強力で、83馬や75馬の捨駒が入っていかにも正解っぽいせいか、上記の手順2、手順3、手順4のように逃げ方を誤った解答が続出しました。
2) 74同飛、85玉、84飛、76玉、85馬、77玉(87玉でも逃れ)、55馬、68玉、64飛、65歩中合で逃れ
3) 74同飛、85玉、84馬、76玉、75飛、86玉で逃れ
75飛に66玉、67玉、86玉、87玉の4つの逃げ方のうち、一番危なそうな86玉が唯一の逃れ順ということで、ついうっかりしそうです。 手順5のように67玉で詰めた方が数名。
4) 74同飛、85玉、84馬、76玉、75馬、
これは正解順ですが、75馬に77玉と逃げて76馬以下詰めた方(手順1)も。75馬には67玉が正しく、これに76馬なら56玉で逃れ。 67玉には64飛と飛車の方を活用し、58玉と逃げて途中図。
ここは2枚の馬で王手できるので簡単そうですが、36馬に47香合、76馬に67歩捨合、更に同馬、59玉、37馬に48飛合と連続の強防で激しく抵抗します。
48同馬、同玉で一段落。 しかし、この問題はここからが本番、盤面全体におよぶ変化紛れを読み切れるでしょうか。
まずは18飛。 これは限定打で、28飛では、37玉、38金、46玉、66飛、55玉、25飛、54玉、45馬(76馬は65歩合で逃れ)、53玉、56飛以下、作意順と同じように追えますが1歩不足で詰みません。
18飛に38歩合、49金、37玉、38金と進みますが、ここは28歩と中合して同飛、37玉、38金でもほぼ同様です(変化は少し変わります)。
38金への逃げ方は3通り。
- 26玉は、27歩、35玉、15飛、25桂合、34飛、46玉、16飛、55玉、56馬まで
- 36玉は、47金!、同玉、48歩、36玉、37歩、46玉、66飛、55玉、15飛、54玉、76馬以下
- 46玉が最長で正解
46玉には47金では55玉で逃れ。 66飛、55玉、15飛と進みます。 ここで45歩の捨合がポイントで、すぐに54玉では76馬以下55手で早詰。
ただし、54玉には45馬以下作意順の詰もあり、厳密には変化別詰ですが、この順も正解として扱いました(45歩合をしたのはお一人だけ!)。
45歩合、56馬、54玉、45馬、53玉で53歩は消えてしまいますが、それでは53歩配置がなくても詰むかというと、66飛のとき35玉、65飛、24玉と逃げる順で52歩成と金を取る手が必要なので、53歩がないと詰みません。
以下も変化がたくさんあってとても書ききれません。 特に上記解説で変化への62玉。 いろいろな詰め方がありますが、最短でも65手で変同になります。
作意順もAやBの余詰もあり、大筋詰めていると判断できる解答は正解としました。
それでは解答者のみなさんの感想を。
- Aさん: (手順1、27手)
- 7手目、9手目に紛れ有り、この筋でも作れそうですね。
- Bさん: (手順1、29手)
- 難しくは無いが・・・「うさぎと亀との追いくらべ」
大道棋ならではの楽しい内容でした!
- Cさん: (手順2、41手)
- 大道棋の面白さにはまっています。
- Dさん: (手順3、39手)
- 分不相応、誤解でしょうけれどもご送付させてください。
83馬を考え知り、取り組むこころになりました。
- Eさん: (手順4、27手)
- 金合は出て来たが自信なし。
- Fさん: (手順4、41手)
- 駒余りのない収束だと2手短かった。
- Gさん: (手順5、53手)
- 9手目7五飛に8六玉とした場合に不安が残ります
- Hさん: (手順5、45手)
- 関西では客筋もマニアだったそうですから、大道棋屋さんも大変だったでしょうね。
道場で研究してくる客が相手では、これぐらいの難問も必要となりそうです。
- 永島勝利さん:
- 53歩の意味付けが最後に分かるとは・・・脱帽です。
4手目までは一直線でしたが、5手目の飛と角の岐路で悩み(もう1歩あると83馬85玉74馬右86玉75馬で詰む)どうやら飛らしいと悟った後で、48飛の粘りに苦しみました。右辺から下段に逃がすのは、53歩から可能性ありという気がするものの、かなりの英断ですので。
なお、作意としては28手目36玉47金同玉48歩の方かなとも思いましたが、香を入手できると後が楽な面もあるので、こちらにしてみましたが、どうなんでしょうか。
28手目は46玉が作意。読み筋通りです。
- 鈴木彊さん:
- 73角成から64飛で74金を飛で取り強引に馬と飛で追う展開が唯一の詰筋とは恐れ入りました。
48飛合をまた馬で取り18飛からは第二幕 72馬82馬で52飛からは第三幕 二枚龍の追撃でやっと終る。
53手目85歩以下97玉、87龍まで77手解。余詰解なので正解です。
- 今川健一さん:
- 大道棋の大海原へ乗り出す。
次から次に現れる合駒の涛、あちらに漂い、こちらに浮かぶ。
こんなことでは、何時になったら、目的地(詰)に着けやら。
これが解ければ、プロ級?
成る程、読めば読むほど難しい。
こんな時には、得意の一手、ハイ、それは高見の見物で〜す。
- 佐藤司さん:
- さて、本作ですが、流石に難解でした。加えて力不足、その結果は・・・、
見ての通りです。
総評など
- 鈴木彊さん:
- それにしても52金が質駒となっているのには驚きました。
52金の配置の意味がわかっただけでも満足です。
凄い詰将棋でした。
- 佐藤司さん:
- さて今回は、別添のとおり、タイムアウトです。でも、きっと十数名(或いはそれ以上)の方が、正解されるのでしょうね。果して、何人「プロ級」の方が誕生するのでしょうか?
今回「プロ級」の方は5名様でした。 |