詰将棋おもちゃ箱ドキドキストリート

ドキドキ展示室 No.130 金少桂さん

ドキドキストリート
ドキドキストリート
棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)
出題時のコメント:
31手駒余り(または29手)
ドキドキストリートは昔懐かし大道詰将棋のコーナー

ドキドキ展示室No.130 金少桂

今では全く見ることができませんが、昭和の頃、縁日や路上で大道詰将棋屋(大道棋屋)が大きな盤と駒を使って詰将棋を出題していました。 正解すればタバコなど賞品がもらえますが、失敗すると研究料を取られます。

たくさん手を出してくれないと商売にならないので、一見簡単に詰みそうな筋(誘い手)がいくつもある問題が作られました。 また、優秀な問題は配置をちょっと変えた新たな問題が次々作られました。 この問題群を類型と呼び、代表的な類型には持駒香歩の香歩問題、持駒銀の銀問題、持駒金の金問題があります。 どんな類型があるか知りたい方は大道棋類型辞典をごらんください。

本作は、坪倉光誠さんが創作した新しい類型(左図)を、大道棋教室の中村宜幹先生が改良した類型(右図)。 坪倉さんの類型を平行移動で形を良くすると共に誘い手も増やしています。

 

飛と銀でほとんど動けない玉。
46に金が落ちているので、46角、同桂、25金までという順が浮かびます。
27飛、14玉、25銀、15玉、18飛までというのもありそうですね。
ちょっと分かる方なら、31香が利いているから46角には35合で困りそう。 25金に33玉と逃げられるな、と考えて、そうだ33飛成と捨てて33を塞いでから46角だ、と思うかも。
はい、全部失敗で、大道棋屋に研究料を奉納することになります。 どう受けたら逃れられるのか、大道棋屋になったつもりで考えてみてください。

正解は46角から入りますが、もちろん同桂とは取ってくれず35歩合。 ここで25金と打っても、33玉、35飛と大駒3枚の攻めとはいえ、42玉でも44玉でも捕まりません。 それではこれで失敗かというと、25金ではなく25銀と捨てる好手がありました。 同玉なら、35飛、同香、同飛、16玉、18香以下詰むので、この銀は取れません。

  46角、35歩合、25銀、33玉、

35飛と追撃。 今度は持駒に金があるので42玉なら31飛成で簡単。 44玉と逃げます。

  35飛、44玉、55角、53玉、64金、52玉、

64金に対して62玉もありそう。 63歩、71玉、31飛成以下27手で、作意の29(31)手より短いのですが、大道棋屋はお客さんを鋭く観察しているので、 この客は正解を知ってるなと判断するとあえて62玉と逃げたりします。

52玉にすぐ32飛成と攻めるのは、同香、同飛成に42金とか強い駒を合駒されてダメ。 53歩と打っておいてから62玉(一段目に落ちるのは31飛成以下)に32飛成と攻めます。

  53歩、62玉、32飛成、同香、同飛成、71玉、73香、81玉、
  72香成、92玉、73成香、93玉、82龍、94玉、83龍、95玉、
  77角、96玉、86龍 まで29手
  (77角、86歩合、同龍、94玉、83(95)龍 まで31手駒余り)

73香と打てばあとは追い手順。 74香以遠から打ってもOKで、この場合はいったん73歩中合が必要になり歩が余ります(31手駒余りまたは33手駒余り)。

77角に、86歩の捨て合があって、同角と取ってくれないかという最後の抵抗ですが、 大道棋屋は、ここまで進めたお客ならそれはないなと判断して、素直に96玉と逃げるかもしれません。 解答としてはどちらも正解。 作意は駒の余らない29手の方でした。

作者 「詰パラ2月号大道棋教室の坪倉さんの新型大道棋の改作で、右に4路平行移動しています。
詰パラ11月号2番、12月号1番で発表の形です。
元々の誘い手の初手46金・33飛成に加えて、2筋に飛を寄る誘い手がこの形の売りです。
本作は、初手33飛成以下しばらく進んだ先にも36歩中合の好防があります。
作意は3手目25銀と13手目32飛成が強手。 以降は自然に左辺に追っての収束ですが、余計な駒を置かずにうまくまとまりました。
キズとしては、以下の2点です。
1)17手目作意73香のところ、74香以遠から打つと、73歩中合、同香の2手挿入。
2)28手目86歩捨合は人によって有効合か無駄合か判定が分かれると思いますので、両方正解としていただけると助かります。」

新類型のおもちゃ箱初登場。 大駒が多い類型は手が作りやすいので、これから発展するかもしれませんね。

それでははみなさんの感想を。 解答到着順です。

蛇塚の坂本さん:
3手目2五銀を取る手と逃げる手と悩んだがヒントの20手台で逃げる方を選らんだ。

73金まで21手解。 10手目62玉のルートかな。 惜しい。

山下誠さん:
玉のかわし方で少し迷うが、全体的には素直な手順。
おかもとさん:
17手め香打ち以降の収束は、大道棋ではOKだけど、あまり気分はよくないかな。

86龍まで31手歩余りの解でもちろんこれも正解。 73中合の歩が必要な収束になればいいんですが、そのために駒を配置しては実戦価値が下がるので仕方なし。

ootanowatasi68さん:
玉の逃げ方、52玉か62玉かで迷う
占魚亭さん:
坪倉新型の右4路平行移動Ver.も奥深い。 初手から大苦戦でした。
小山邦明さん:
玉を左に逃げ出させるように追う手順は抵抗感がすごくありました。
実戦ではすぐにあきらめてしまいそうです。
池田俊哉さん:
あまり類例のない形と思うが、46角から25銀が読みのいる手
収束73香を離して打つと歩中合必須となり駒が余るが、ここは29手駒余らずでも良いと思ってしまう

作者自認のキズで、どちらも正解です。

空貴人さん:
33角成 同香 同飛成 同桂… みたいな流れではうまくないので、
33角成 同香 28飛 14玉として、25銀に、15玉で17飛で詰み。
みたいな間違いをして、罠にハマっているのはわかっているんです。
でもその罠から抜けられません。
(宝箱にかみつかれているフリーレンみたいな状態です…)
大道詰将棋は、いずれ挑んでみたい分野ですが、罠を読み切って、正しく解図できる体力をつけないと、と思っています。

大道詰将棋にも短手数のものもありますが、誘い手はあるので、罠を読み切るのは重要ですね。

S.Kimuraさん:
6筋より向こうに逃がすと解けた気がしません.

大道棋にはけっこう追い出して詰ます問題がありますね。


ドキドキ展示室No.130 解答:10名 正解9名(下記)

  池田俊哉さん  S.Kimuraさん  ootanowatasi68さん
  おかもとさん  金少桂さん  小山邦明さん  占魚亭さん
  たくぼんさん  山下誠さん

当選者は、全題の解答発表のあと、展示室で発表します。