次ヘ
次ヘ
 
詰将棋おもちゃ箱記録に挑戦!

記録展示室 No.159 無風凧さん
 「成桂は必然だから許して!」

記録に挑戦!
記録に挑戦!
棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)
出題時のコメント:
角桂二色図式 30手台

記録展示室No.159 無風凧

本作は、角桂二色図式の長手数記録作品(35手)。 一色図式は盤面の趣向ですが、二色図式は使用駒の趣向で、ちょっと間違いやすいので、記録に挑戦!の項目では「使用駒玉と角桂6枚」としています。

使用駒の趣向なので、成生は関係ないのですが、「金でもいいのに成桂にして無理やり二色図式にしている?」と考える方もいるかもしれません。 でも本作では桂合を避けるために桂を使い切る必要があり、成桂配置には必然性があるのです。

初形の構図から、これは馬ノコだ、とわかった方が多いと思います。 初手19馬に対して82歩と合駒するのは、同馬、同角、92歩、81玉、93桂、同角、73桂、71玉、61成桂まで。 ここで82桂合があると詰まないわけですね。 実際に手順を進めて見ましょう。

  19馬、81玉、18馬、91玉、
  28馬、81玉、27馬、91玉、
  37馬、81玉、36馬、91玉、
  46馬、81玉、45馬、91玉、
  55馬、81玉、54馬、91玉、
  64馬、81玉、63馬、91玉、

だいぶ近づいて来て、ここが考え所。 73馬にこれまで同様81玉なら、73まで近づいた効果で、93桂、同角、72成桂、92玉、84桂、同角、82馬まで7手で詰み。 これが正解かというと、最初で説明した82歩合の変化を思い出してください。 この変化は9手かかるので、73馬に対しては82歩(香)合が最長で、これが正解となります。

  73馬、82歩合、同馬、同角、92歩、81玉、
  93桂、同角、73桂、71玉、61成桂 まで35手

84桂捨てがはいって気持ちいい手順だったせいか、これまでの勢いで73馬に81玉と逃げた解答が続出。 長手数記録作でもあるので、この解答は残念ながら不正解にせざるを得ません。

なお、作者はおまけとして、もう一作35手の角桂二色図式をブログで発表されています。

こちらは73馬、82歩合のあと「同成桂、同角、92歩、81玉、82馬、同玉」と「同馬、同角、92歩、81玉、82成桂、同玉」の手順前後が痛いので、タイ記録としては登録せず、ここで紹介するにとどめます。

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。

吉田京平さん:
26手目81玉の変化がよいですね。この順が作意かと思いましたが、実は予習済の82歩合が正解なのは意外でした。
私なら初手は83成桂の開き王手で作りたくなります。
蛇塚の坂本さん:
右下からの1九から左上の8二までの馬鋸まっすぐで気持ち良い
林沢馬さん:
この手数の作品が暗算で解けるのは私としては珍しいことです。
これはこれで一つの発見ですね。
玉方の成桂を1九に配置する必然性はないので、効率化の観点から成桂を5五に、馬を5四に配置して13手詰とする「現実主義的な」短縮案も考えられますが、 このような価値観・思考回路に賛同しないのが詰棋ストという人種でしょうか。

単に解く問題としてみると、繰り返しは省略しても同じかもしれません。 ただ、趣向詰は音楽のように繰り返しを楽しむものなので、繰り返しが多い方が楽しみが大きいわけです。 また本作は長手数記録を狙った作品なので、短縮しては記録にならないですね。

山下誠さん:
角桂のみの初形と言えば馬鋸の出番。
S.Kimuraさん:
馬鋸で引かせて桂馬を取らせれば手数が延びると思ったのですが,成桂にこだわったのでしょうか.

桂2枚持駒にないと、82歩合で困りますね。

中村丈志さん:
ユニークな初形です
松崎一郎さん:
受け方、頭の丸い駒は使えないのがミソ。
小山邦明さん:
82桂合以外ではすぐに馬を切られて詰みだが、その桂馬がない。 結局、馬ノコをさせて延命するしかないとは面白い。
おかもとさん:
馬鋸の基本形だが、使用駒趣向に仕立てたのは作者の腕。
池田俊哉さん:
馬鋸でいったん近づいて往復かと思ったが、19が成桂なのでそれは無理だった。 26手目単に81玉でもキレイにまとまるので(30手台だし)、誤解もありそうだけど、そちらでも良い気もする
川石隆志さん:
いったん尻餅ついてからの馬鋸という流れが楽しい
占魚亭さん:
桂を切らしておかないと桂合されてダメなんですね。
inokosatoshiさん:
確かに凧に見えてきました。

記録展示室No.159 解答:13名 正解7名(下記)

  池田俊哉さん  inokosatoshiさん  おかもとさん  小山邦明さん
  占魚亭さん  山下誠さん  吉田京平さん

当選者は、全題の解答発表のあと、展示室で発表します。