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詰将棋おもちゃ箱記録に挑戦!

記録展示室 No.138 松下拓矢さん「Hurricane」

記録に挑戦!
記録に挑戦!
棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)
出題時のコメント:
受方馬の連続移動 40手台

記録展示室No.138 松下拓矢「Hurricane」

本作は受方馬の連続移動回数の記録作品(18回)です。 これまでの芹田修さんの9回から一挙に倍増しました。 本作の解説は作者による自作解説でお届けします。

記録展No.138 解説  松下拓矢

受方馬連続移動の最多記録更新(9→18)、及び史上初の守備駒5連続ルントラウフ(複数地点を通過して元の位置に戻ること)が狙いです。 実は後者の方が主目的だったりします。

以下、5連続ルントラウフのメカニズム、及び紛れ・変化についてご説明します。

(1) 3点ルントラウフの仕組み

71角のラインを活用します。 まず▲53角成が可能なら余詰が不可避なので双玉の制限で固定します。
▲53X成の瞬間に角筋が止まるため、44が空いていると△44玉で逃れます。 ゆえに▲53X成は馬を44に誘導してから指すべきで、これなら△同馬と応じるしかありません。
続いて53に移動した馬を再度44に呼び戻します。 単に▲44歩打はやはり△同玉で逃れるため、▲54X(金or銀)打△同馬で71の角筋を通してから▲44歩打とします。 これで△同馬を強要でき、44→53→54→44を一周したことになります。

(2) 5連続ルントラウフの仕組み

金銀桂香最大4枚の制限から、手順前後を認めない限り、ルントラウフは4連続が限界だと当初は考えていました。 しかし、45桂の配置によってこの常識を打破しました。
先に少し触れた通り、54には金または銀を打ち捨てますが、

  1. 最後に打つのは金でなければならない。最後が▲54銀打だと△44玉で逃れ。
  2. 45桂が残っている間、54への捨て駒は金に限定される。▲54銀打だと△44玉のときに桂が邪魔で▲45金を打てず詰まない。

という2点より、ルントラウフ軌道上の邪魔駒である54歩に次いで、急ぎ45桂を消去しないと持ち駒の金が枯渇して詰まなくなります。
53への盤上駒の捨て順および54への持ち駒の捨て順はそれぞれ単体で見れば手順前後が発生しそうですが、 これらを組み合わせることで「歩桂香香香香」「金銀銀銀銀金」の1通りに決定されるのです。

(3) 紛れ

初手▲44歩打から作意同様に進めると玉方24とが残り、最終手▲35桂打に△同とで逃れます。 また3手目▲44歩打は△同馬以下、作意より持ち駒が1枚不足して詰みません。

(4) 変化

2手目と4手目の△34同歩の変化は、▲33金打以下作意より早く詰みます。

TETSU補足: 連続ルントラウフの回数は未調査ですが、 金子清志さんの受方角の連続移動の記録作品棋譜ファイル) が連続4回(+スイッチバック1回)で、これまでの記録でしょうか。

  34銀、同と、同と、同、44歩、同
  53歩成、同、54金、同、44歩、同
  53桂成、同、54銀、同、44歩、同
  53香成、同、54銀、同、44歩、同
  53香成、同、54銀、同、44歩、同
  53香成、同、54金、同、44歩、同
  53香成、同、49飛、44香合、35桂 まで41手

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。

加賀孝志さん:
飛を世に出す これは狙いが生きた リズムがあって楽しい
渥美雅之さん:
豊富な持駒で馬を翻弄して詰上がりも見事です。
竹中健一さん:
最終形が見えているので、24とを消すのも分かりやすかった。
小山邦明さん:
初手44歩から考えて、34銀からの手順にはなかなか気付きませんでした。
竹園政秀さん:
馬が18回移動
宮田敦史さん:
初手が見え辛いし、2、4手目34同歩の変化が難解。
山下誠さん:
・・・139と同じ筋で追いかけたが、私の力ではどうしても詰まない。
S.Kimuraさん:
2手目同歩の変化に難儀しました.
小林徹さん:
逆算すると初手は3四銀しかない。 同歩が煩いが何とか詰んだようだ。
おかもとさん:
香を4枚消すとか、持駒が同じとか、次作と合わせて考えるとすごい。
占魚亭さん:
よく出来た受方馬の翻弄。 面白かった。
池田俊哉さん:
71角の効きを生かした香成趣向で、三角形を描く馬の軌道も面白い。 冒頭二手は余分かと思うが、駒取りから始めたくなかったのかな

序でつまずいた方が多く、頭の2手は省いた方がよかったかも。
2手目、4手目の変化は上記の分岐棋譜または棋譜ファイルでご確認ください。


記録展示室No.138 解答:13名 全員正解(下記)

  渥美雅之さん  池田俊哉さん  S.Kimuraさん  おかもとさん
  加賀孝志さん  日下通博さん  小林徹さん  小山邦明さん
  占魚亭さん  竹園政秀さん  竹中健一さん  福村努さん
  宮田敦史さん

当選者は、全題の解答発表のあと、展示室で発表します。