ホヤの発生

教育研究所で行なわれた教員研修で観察したホヤの発生の映像です。ホヤはヒトと同じ「脊索動物門」に属し,発生のしくみや形態形形成過程は,ヒトと多くの点で共通しています。一方,幼生は3000個足らずの細胞からなり,細胞の種類も少ないので,卵割の過程で,どの細胞がどの組織・器官の細胞に分化していくかが,すべて明らかにされています。また,マボヤのゲノムはすべて解析され,現在,細胞が分化する過程でどのような遺伝子が発現し,どのような物質が作られるかなどが解明されています。

最前線でホヤの形態形成の分子生物学をリードしているお二人の生物学者の講議と実習は,大変興味深く意味あるものでした。

ユウレイボヤの大小の個体です。右が取水・入水口,下の個体では,左の方に胃が透けて見えています。この周辺に生殖腺があります。

ユウレイボヤの卵です。周囲は「ろ胞細胞」で包まれています。

精子をかけるとすぐに受精し,そのあと,第1・第2極体が放出されます。2つ重なって見える丸い構造が極体です。

30分ぐらいで第一卵割が完了します。右の細胞の中より下部に,まだ極体が見えます。

8細胞期です。動物極と植物極が前後にずれます。

64細胞期と思われます。このあと110細胞期になり,個々の細胞の予定運命がすべて決定するそうです。

ふ化する前の胚です。脊索が見えます。

ふ化した直後のユウレイボヤの幼生です。よく動きます。脊索の細胞が見えます。頭部には重力を感じる点と眼点(黒い点)が見えます。

マボヤのふ化直前の胚です。およそ3000個の細胞からできており,その細胞1個1個が,卵割でできた割球のどれからできるかが総て明らかにされています。

ホヤは受精後1日でオタマジャクシ幼生になってふ化し,1日泳ぎ回ると翌日には頭部を岩などに付着させ,尾部を吸収して変態し,定着生活に移ります。

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