理数生物授業日誌 2005年9月

9月11日(日) SPP実習

 SPP
微生物バイオテクノロジー

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SPP事業の第3回目は,福井県立大学生物資源学科へお邪魔して,微生物バイオテクノロジーについての講義と実習を受けました。微生物が作る酵素サチラシンの活性,サチライシン遺伝子を組込んだ納豆菌からの遺伝子の抽出PCRによる増幅電気泳動によるPCR産物の確認と,内容は盛り沢山でした。最後には研究室のツアーとTAの大学院生の方たちとの座談会と,大変充実した一日を送ることが出来ました。

応用微生物研究室の高木先生,濱野先生,大学院生の皆さん,大変おせわになりました。ありがとうございました。

9月13日(火) 授業

  個体群
 個体群とその成長

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同所的に生活する同種の生物の個体のまとまりを個体群と言います。個々の個体は寿命が来て死んでも,同じ種の個体が再生産され,生態系の中で生き続けます。生物の生きざまを,長い時間経過の中でとらえる時,また,他種の生物や環境との関係で捕らえる時には,個体群と言う概念が不可欠です。個体群の成長は個体群密度の増加で,それは環境により制限されます。

9月15日(木) 授業

 個体群内の関係

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同種個体群内の個体間には,その種に特有のさまざまな関係が見られます。それらの関係はその種がその環境でより多くの子孫を作れるよう進化してきた結果です。群れは,天敵から身を守ったり,エサを探したりするのに有利ですが,群れることにより争うが増えたり,食物が十分に食べられないなどのコストがかかります。縄張りも,縄張りを持つことによって得られる利益に対して,縄張りを守るのにコストがかかります。群れの大きさや,縄張りを持つか持たないか,また,縄張りの大きさは。その利益とコストのかねあいによって決まります。

9月20日(火) 授業

 個体群間の関係

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多様な生物が集まって成立する生態系では,異種個体群間にさまざまな関係が見られます。同じ生態学的地位(ニッチ)をもつ異種個体間では競争がおこります。競争がおこると一方の個体群はその場からいなくなりますが,多くの場合ニッチ分化が起き利用する資源をお互いに少しずらして,共存します。生物の多様性はこのような仕組みによって成り立っているのです。

生態系内のエネルギーは,食う食われるの関係を通して流れます。共生や寄生は個体群間でお互いを利用し,その損得で関係が続きます。これらの種間関係も進化の原動力となります。

9月27日(火) 授業

生物群集と生態系
  植物群落の遷移

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生態系の基礎を作っているのが,その生態系で唯一すべての生物のエネルギー源となる有機物を生産する植物です。どのような植物個体群が集まって植物群落を作っているかが,その生態系の特徴を決めます。植物群落は相観から森林,草原,荒原などに分けられます。

火山の爆発で流出した溶岩が冷えて固まった土地にも,長い年月の間に森林が成立します。浸入したコケや地位類は徐々に噴火した岩石とともに土壌を作っていき,それに伴って,草本から低木,高木が生育できるようになります。いずれも,はじめに浸入し定着する種はパイオニア種と言い,多くの種子を生産,散布し,成長が早く対乾燥性が強い反面,対陰性に乏しく,他種との競争では弱いものが多いのです。

9月30日(木) 授業

 世界の生物群系

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の地域にどんな生物群系が存在するかは,その場所の年平均気温年間降水量によっt,ほぼ決定されます。平均気温の高い熱帯には,降水量が多いと,熱帯多雨林,雨季乾季の区別がはっきりしていると雨緑樹林,乾季の乾燥が激しいと熱帯草原(サバンナ),雨が降らないと,砂漠となります。砂漠は生物の多様性に乏しいので,そこに生きている生物は,毒や針でみずからのみを守るすべを身に付けています。砂漠のヘビ,サイドワインダーは,コブラよりも強い毒を持っていると言われています。

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