7日目 −ザルツブルグ−


今日はとうとうドイツを離れ、オーストリアへ。といっても、ミュンヘンからザルツブルグへはICEで1時間半の近さである。

ザルツブルグにもこれまた半日しかいられないため、早めに出る予定。とはいっても、あまり早く着きすぎてもチェックインできないので、12:00着を目処にミュンヘンを10:30に出る。
出発の準備を終え、チェックアウトを済ませ、駅へと向かう。電車の出発時間を間違えていたため思ってた以上に余裕がなく、かなりドタバタで焦ったのだが、しっかりビールとホットドッグだけは購入。すっかりドイツ人の習慣になれてしまったようである。というか、ドイツ人も朝からビールなど飲んでないのだが…

電車は予定どおり12:00少し前にザルツブルグ駅に到着。
ついて早々まずは両替。余っているドイツマルクをシリングに両替。それから日本円も少し多めに両替する。
駅からホテルまでは少し距離がある。歩いて約20分ってとこなのだが、別にタクシーに乗る距離でもないので、カバンをズルズル引きずって移動する。

特に迷うこともなくホテルに到着。今日泊まるホテルは「AUSTROTEL(オーストロテル)」というヨーロピアンタイプの4つ星ホテル。料金は1泊ツインで10,000円(一人5,000円)。
早速中に入り、フロントへ。少し時間が早いのでチェックインできるかどうか心配だったのだが…
フロントに行き、クーポンを出し名前を言う。フロントはクーポンを受け取り、辺りをゴソゴソ。どうやらチェックインも問題なく出来るらしい。
が、その次の瞬間、早口でなにかをべらべらとしゃべり始めた。
いつもと勝手の違う対応でちょっとしたパニック状態。「一体、何を言ってるんだこいつは?」と思いつつも、悪い癖で分かりもしないのに「Yes、Yes」と答えていると、次は電話を取りどこかと話しをし始める。
ようやくチェックインの話しじゃないなと気付き、もしかして…と嫌な予感。そのフロントに「もしかして、オーバーブッキング?」と聞くと「Yes」という答え。あー、やっぱり…
そうこうしているうちに、というか俺が適当に「Yes、Yes」と空返事をしていたせいもあって、あれよあれよという間に別のホテルへ移動することに。ちょっと待てよ?と思ったりもしたのだが、ここでダダをこねても部屋が用意される訳でもなし、下手な英語で応戦しても通じるわけでもなく、百害あって一利なしなので、まあ、次のホテルが酷かったら代理店に文句言ってやろうという軽い気持ちで、ここはおとなしく言うことを聞くことにした。
ホテル側で呼んだタクシーに乗り(もちろんタクシー代はホテル持ち)、次のホテルへと移動。約5分ほど走った後、着いたのは「ASTRON CITY HOTEL(アストロン シティ ホテル)」という4つ星ホテル。
中に入り、名前を言い、「AUSTROTEL」から来たことを告げる。どうやらちゃんと対応をしてくれていたため、今度はスムーズにチェックインすることができた。
まあ、肝心のホテルはというと、前のホテルよりも外観も内装もキレイに見えるし、ビジネスマンご用達のアメリカンタイプのホテルなので、特段不満はない。むしろ得したような気がする。
とはいえ、不快な思いをしたのは事実。別にクレームを言う訳ではないが、代理店の資料にも「何かあったらご連絡、ご報告ください」と書いてあるので、代表番号にTELして報告。後からその代理店とホテルからお詫びのFAXが届いていた。(原因は単なるミス)
ちなみにホテルの金額だが、代えてもらったほうが高い金額。完全に結果オーライである。

ホテルがあるのは新市街。歴史的街並が広がる旧市街へは歩いて10分ぐらいといったところだろうか?早速、仕度をして外へと出る。まずは、新市街にある“モーツァルトの住居”を見て、その後旧市街へ。
“モーツァルトの住居”はホテルから約5分ほどのところにある。別にこれといった物がある訳でもなく、単なる家だ。現在は美術館?になっているそうだが、別に興味はないので、写真だけ撮ってさっさと次へと向かう。

街の中心を流れる“ザルツァッハー川”を渡ると旧市街に入る。この川に架かる橋の上から眺める景色もすごくキレイだ。
川を渡り、適当にすぐ横の小道をくぐり抜けると、街1番の賑やかな通り“ゲトライテ通り”へと出る。さすがに人通りも多く、特に観光客と見られる人が多い。日本人もちらほらと見かけることができる。
またこの通りに面して、かの有名な“モーツァルトの生家”も建っている。まあ、これも、“モーツァルトの住居”同様、これといって特徴のない単なる家なのだが…

とりあえず、目指すは“ホーエンザルツブルグ城塞”なのだが、まずはぷらぷらと市街を歩きまわる。
旧市街はすごく小さく、1時間もあれば廻れてしまうぐらいの街だ。ただ、ものすごく雰囲気が良く、非常にキレイに感じる。
また、さすが音楽の街だけあって、至るところでストリートパフォーマーが演奏をしている。歌あり、バイオリンあり、ちょっと変わった楽器あり。何でもありという感じだ。しかも、演奏者のレベルが揃いも揃ってみんな高い。日本での下手なコンサートよりレベルは高いんじゃなかろうか?と思う。おそらく、たかがストリートパフォーマーと言えども、プロを目指す者だったり、どこぞの音大の学生だったりと、しっかりとした技術を持っている人、ある程度のレベル以上の人達が集まっているのだろう。
当然、日本のストリートパフォーマーとは比べ物にならない。もちろん、演奏している曲も全然違うから当然と言えば当然なのだが、それ以前にプライドや心構えもまるっきり違うのだろう。
と、偉そうに書いているが、俺は全くの素人。ただ単にそう感じただけ…

どこからともなく聞こえてくる音楽を聞きながら、ふらふらと“ホーエンザルツブルグ城塞”へと向かう。
この城も、今までの城同様、上に登るにはケーブルカー。もちろん、歩いても行けるのだが、あまりお勧めはしない。ここも、行きはケーブルカー、帰りは歩きというのがベストではないか?と思う。
ケーブルカーの時間はものの2、3分。はっきり言って、乗車券を買うのがバカらしくなるぐらい短い。
城塞の中はというと、一応、城内を見て廻れるようになってはいるのだが、特別面白いものがある訳でもなく、むしろこの城塞は眼下に広がるザルツブルグの景色を見て、ボーっとするのが一番の楽しみだと思う。
しかし、さすがに高台だけあって寒い。風が冷たく、十数分景色を見ているだけで、強烈に寒気がして来る。
ということで、30分少々でとっととしてに降りてしまった。城からの眺めは抜群にキレだったので、もう少しゆっくりしたかったのだが…


左がザルツブルグ城からの眺め。右はモーツアルトの生家

オーストリアと言えばケーキ?と、それほど甘い物が好きではない俺でさえ想像してしまうぐらい、本場のケーキは美味いらしい。となれば、食わない手はないので、早速、お茶をすることに。
確かに、オープンカフェではほとんどの人がケーキを食いながらお茶を飲んでいる。これがまた、ザルツブルグの街並によく合う。しかも、時間的にもちょうどいい時間だ。
今回入ったお店は「カフェ・トマゼリ」というオープンカフェ。場所的には大聖堂やレジデンツに近く、非常に分かりやすい。観光客や地元の人にも人気のある店らしく、満席状態である。俺らが行った時も、運良くちょうど一組出たところで席を確保することはできたが、1階、2階ともにオープンエアの席に座ることはできなかった。
席に座り早速注文。俺は紅茶と苺のトルテを注文(確か親父はチョコレートケーキ)。ホントはチョコ系のケーキが良かったのだが、明日はウィーンに移動し、元祖ザッハートルテを食う予定だったので別のにしておいた。
肝心の味の方はというと、はっきり言ってよくわかんない。美味いことには間違いないのだが、家の近くのケーキ屋の方が美味かったような気がしないでもない…
値段もそこそこ。お茶とケーキで1,000円弱。まあ、日本でもこんなもんじゃなかろうか?というか、オーストリアは物価が高い。下手すると日本以上に高いかも?

お茶した後は、“ミラベル庭園”へと向かう。
“ミラベル庭園”といえば、かの有名な「サウンド・オブ・ミュージック」の舞台となった場所。
季節柄、満開の花が咲き乱れという訳にはいかなかったのが残念だが、それでもそれなりにキレイだったし、リラックスできた。天気のいい日にベンチに座って本を読んだりするのにはもってこいの場所だと思う。

この後は、ぶらぶらしながら一旦ホテルへと戻る。さすがにこう毎日毎日歩きまわっていると、ちょっとした距離を歩いただけでも疲れがすぐ溜まるらしい。しかし、あの歳でよく付いてきてるなと親父には少し感心。

1、2時間ほど休憩し、また飯を食いに外に出る。
オーストリアの料理はドイツとほとんど変わらない。基本的には肉中心で、味付けも濃い。なので、特別、店にはこだわらず、英語メニューのある“モーツァルト広場”の前のレストラン(名前失念)に落ち着くことにした。
席についたのは19:00過ぎ。この店、昼間 前を通った時はオープンエアの席までびっしり満席だったのだが、夜になるとガラガラ。なんと、客は自分たちを入れて3組である。この店、不味いのか?と不安に思ったのだが、一概にそうではないらしい。街自体、人が昼間と比べると激減しているのである。もう、馬車も走ってなければ、ストリートパフォーマーもいない。飲食点以外のお店は閉めているところも結構ある。新市街はどうだか分からないが、旧市街に関して言えば、夜は寂しい街になってしまうようである。
とりあえず、酒と飯を注文。俺はビーフステーキを頼んだのだが、これだけ、毎日肉を食ってるわりには、こっちに来て初めての牛肉だった。味の方はごく普通。別に客の入りと比例して不味いというわけでは全然なかった。

閉店時間が近づいてる訳ではないのだが、客があまりにもいないので店員がテーブルのセットを片付け始める。さすがに俺らも段々いずらくなって、酒もそこそこにホテルに戻ることにした。それでも時間は21:00近くだったと思う。
“モーツァルト小橋”を渡り、人のいない暗い道をぷらぷらと歩いてホテルへと戻る。ホントに街灯もない真っ暗な道なのだが、危険性は全く感じない。安心して夜道を歩けるというのはいいことだ。まあ、それでも女性の一人歩きは危ないのだろうが。
ホテルに着き、いつものごとくテレビを見ながら就寝。
明日はいよいよ最後の都市、ウィーンである。



NEXT
HOME