8日目 −ウィーン−


今日はとうとう最終目的地ウィーンへ。ザルツブルグからウィーンへは電車で約3時間半。結構な長旅だ。
ウィーンはザルツブルグとは違い非常に大きな都市。観光名所も多く、出きれば3日は腰を据えてゆっくりと廻りたいのだがそうもいかない。でも、とりあえずできるだけ多くの時間を取りたかったので、昼過ぎには到着できるようにザルツブルグを出発することにした。

比較的、朝は時間があったのでまずは朝飯を食いに行く。旅の後半になって気付いたのだが、駅や売店で買っていたホットドッグやサンドイッチ。実はホテルの朝飯で全て調達できる物なのである。なぜ今まで気付かなかったのか自分でも不思議なのだが、自分で作って持って行けば余計な金を払うことはないのだ。せこい!と思われるかもしれないのだが、でも、別に駅で買ったからといって特別何かが付いてくる訳ではない。ソーセージの味も同じならば、パンが冷たいところも同じ。ケチャップやマスタードも袋状なのでいくらでも持って来れる。つまり、ホテルで作っても、駅で買っても大して差はないのである。ならば、タダのほうが断然いい。作って持って行く行為が恥ずかしいというのもあるが、意外とこれをやってる欧米人も見かけたので、別にこれも大したことない。
ということで、ホットドッグとサンドイッチを3個ほど作り、ホテルをチェックアウトした。

駅に着いたのは9:00前。9:00過ぎの電車に乗る。到着は12:30。
ザルツブルグまではジャーマンレイルパスが使えるのだが、その先は使えない。なので、今回は日本でザルツブルグ−ウィーンのチケットを買っておいた。1等で1人7,500円。少し高い気もするが、大体同じ移動時間である東京−大阪間の新幹線と比べればそうでもないだろう。
今回は1等席を買っておいて本当に良かったと思った。ザルツブルグ始発ではないこの電車は駅に着いた時点でかなりの満席。1等車は多少余裕があり個室を確保することが出来たが、2等席は3時間半もの間立っていなければならない客も結構いたようである。
そんな2等席を尻目にこちらはビールを飲みながら持ってきたサンドイッチを食い、本を読み、ダラダラと寝ながらぴったり3時間半後にウィーン西駅に到着。なかなか快適な移動をさせてもらった。

今日泊まるホテルは、“DORINT AM EUROPAPLATZ(ドリント エイエム ヨーロッパプラッツ)”というアメリカンタイプの4つ星ホテル。ウィーン西駅から歩いて3分という近さも魅力だし、外観も内装もキレイ。料金もツインで一人約4,500円とお得。大都市だとこの手の条件のいいホテルが揃っているので、手配がしやすい。まあ、気になる部分といえば、フロントのねーちゃんが無愛想なところぐらいか?

早速、チェックイン。少し休んで、すぐに外に出る。と、その前にフロントで地図を入手。それから、クラシックコンサートのチケットの手配と思ったのだが、スケジュールがわかんないとのことで、駅にあるチケットインフォメーションに行ってくれと言われた。しかも、かなり強い口調で。確かに英語は不得手だけど、そんなにぶっきらぼうに言わなくても…
とりあえず、コンサートのチケットだけは早めに入手しておきたかったので、西駅にあるインフォメーションへ。そこで、いくつかのコンサートのスケジュールとプログラムをGet。まだ席に余裕があるとのことなので、どのコンサートに行くか考えた上でチケットは手配することにし、先に市内観光に行くことにした。

まず、はじめに向かったのは“シェーンブルン宮殿”
“シェーンブルン宮殿”といえば、言わずと知れた、女帝マリア・テレジアなどで有名なハプスブルク家の夏の離宮であり、現在では世界遺産にも指定されているあまりにも有名な宮殿である。
宮殿内はもちろんのこと、整備された仏式バロック庭園、丘の上から見渡すウィーンの景色など見所も多い。少なくとも半日はかけてじっくりと廻りたいところだ。
ウィーンの西駅から宮殿までは地下鉄で約10分ぐらいの距離。でも、地図上で見た限りでは十分歩いて行けそうな距離だったため、徒歩で移動。ただ、これが失敗だった…
途中で道に迷い、通行人に質問。しかし、意外と英語を話せる人が少なく、5,6人目でようやく現在位置と目的地までの行き方を把握。
結局、13:30前にホテルを出て、30分ぐらいで着く予定が1時間近くかかってしまった。かなりのタイムロス…

早速、敷地内に入り、まずは宮殿内から見学。しかし、この宮殿はでかい!宮殿自体はもちろんのこと、庭園もかなりの広さである。やはり、全部をゆっくり見て廻るには半日ぐらいは必要かもしれない。
入場料120シリングを払って中へ入る。それから、電話の受話器型の説明器具を借りる。日本語の器具もおいてあり、これはかなり嬉しい。
肝心の中はというと、ハプスブルク家の遺品やら、所縁の絵画やらが置いてあり非常に興味深い。単なる金持ちの遺品が置いてあった“ノイシュバンシュタイン城”の中とは訳が違う。

ゆっくり50分〜1時間かけて中を廻り、その後は庭園へと向かう。
敷地内には動物園、植物園、巨大迷路などがあり、観光客だけでなく地元の人もくつろげるような大きな公園のようになっている。
とりあえず、動物園や植物園には入らず(時間がない&有料)、適当にぶらぶらしながら丘の上へと上る。敷地内には野生のリスがいたりして、ホント静かで良いところだ。
丘の上へと上ると眼下に宮殿、遠くの方にウィーンの街が見える。あたり一面は整備された芝生なので、寝転がりながら景色を見るのは本当に気持ちが良い。


画像上の左が“シェーンブルン宮殿”

20〜30分ゆっくりした後は、“シェーンブルン宮殿”を後にし、ウィーンの中心部へと向かう。この時点で16:00過ぎ。
さすがに歩いて行く気にはならず、地下鉄を利用。主要交通手段なだけあって、利用客は多い。が、ドイツ同様、それほど危ないとは感じない(夜も同じ)。
切符は自動販売機、もしくは日本でいうところのキオスクで買い、乗車時刻のスタンプを押してホームに入る。チェックは車内で車掌がやるようなのだが、今回の旅でチェックを受けたことは一度もなし。電車には切符を持ってなくても乗れてしまうため、無賃乗車がなんなく出来てしまう。実際、切符を買ってる人は、買ってない人と比べると非常に少ない。一体、どういう仕組みになっているのだろうか?

ウィーンの街は“リンク”(旧城壁跡。現在は大通り)と呼ばれる内側が中心街となっており、そして、その中心を歩行者天国である“オペラ座”から“シュテファン広場”に通じる“ケラントラー通り”が通っている。

まあ、まずはカフェでお茶。由緒ある「カフェ・モーツァルト」でケーキと紅茶を頼む。日本ではカフェに入って、ケーキとお茶で一休みなんてなかなかしないのだが、ウィーンに来るとそれが当たり前のように思えてしまうから、ちょっと不思議。
ケーキ自体はそれほど特別美味いとは感じない。日本でも十分お目にかかれる味である。

一つオーストリアに来て驚いたことがある。まあ、驚いたといっても大したことじゃないのだが、こっちのレストランではレシートというものを出してもらったことがない。チェックをしてもらうと、その場で計算機、もしくは手計算ではじき出した数字をその辺の適当な紙に書いてくれるだけ。一体何を頼んで、それがいくらなのかということは、その紙からは全く読み取れない。紳士そうに見えるウェイターさん達ばかりだから、ボラれてるということはないのだろうが、多少、引っかからないこともなくもない。

ゆっくり休憩した後は“ケラントラー通り”を中心にブラブラと辺りをぶらつく。
本格的な市内観光は明日1日かけてゆっくりやるつもりだったので、今日は雰囲気を楽しむ程度。そうこうしているうちに、空も段々暗くなり始めたので、少し早いがレストランを探すことにした。

今日はまだ時間が早いということもあったので、ウィーンから路線バスで少し奥に入った“グリンツィング”というところに行くことにした。ここは、ワインの新酒を飲ませてくれる“ホイリゲ”という酒場が集まっているところで有名な場所である。
この“ホイリゲ”、中に入ると地元のおっさん達がアコーディオンなどの楽器で演奏をしており、非常に賑やか。飯はカウンターで好きな物を取り、レジでお会計というセルフサービスが多いようである。そして何といっても目玉はワイン。新酒をビールのようにジョッキで飲むのだ。簡単に言えば、日本のビアガーデンみたいなものだろうか?
さすがにこういう場所は団体ツアー客にうってつけの場所なだけあって、どこもかしこも団体客ばかり。もちろん、日本人もたくさんいる。なぜ、いかにも俺が嫌いそうなところに来たか?というと、事前情報で「ちょっとお決まりコースかもしれないが十分楽しめる」と聞いたからなのであるが、どうやらその楽しさは俺には合っていなかったらしい…

路線バスに揺られること20分。そして、目的のホイリゲを探し当てるまでさらに20分。やっとのことで中に入ると、そこはもう完全な宴会場状態。日本人の顔も多く見える。
とりあえず、席に座ろうと空いてる席を探すのだが、これが見つからない。しょうがないので、ぶらぶらと空いてる席を探しながら、ついでにカウンターのショーケースを覗くと、飯もなんだかいまいち美味そうじゃない。しかも、いつまで経っても店員が案内してくれる訳でもない。
まあ、“そういう場所”なのだろうが、疲れた体にはちょっと酷。なんだか拍子抜け。そして段々とどうでもいいやという気持ちに…
とうとう我慢の限界も越え、もったいないと思いつつも中心部へと戻ることにした。まあ、雰囲気だけを確かめに来たと考えれば、いい経験か?いや、そんな訳ないか…

結局、リンク内に戻り、レストランに入ったのは21:00頃。もう、腹が減ったという感覚は通り過ぎて、気持ち悪いという感覚になっている。
今回入った店は“Mullerbeisel(ミューラーバイスル)”というお店。またまた、日本語メニューありという言葉につられて選んでしまった店である… とはいうものの、店内には日本人どころか他の外人も見当たらない。トイレのある地下のフロアは地元民らしき人達で一杯だったのだが。
とりあえず、いつもと同じくビールを注文。それから、スープと肉料理、魚料理をメインで注文した。
味の方はまあ、他の店と変わらずまずまず美味しい。メニューの内容と実際出てきた料理が多少違っているのが気になったが(店員に聞くと「これで合ってる」とのこと)、それ以外はなかなか使える店だろう。

最終的には23:00近くまでゆっくりし、それから地下鉄に乗りホテルへと帰る。さすがに歩きっぱなしだったので、かなり疲れた…
明日はとうとう最終日。ホントに時の経つのは早いもんだと改めて思った。




NEXT
HOME