「三鷹の森ジブリ美術館」レポート
過度の期待は禁物。しかし1,000円なら充分楽しめる新しいタイプの美術館
お薦めHP
三鷹の森ジブリ美術館公式HP
「スタジオジブリ」関連サイトのリンク集:ジブリ★サーチ
(相互リンク)


宮崎駿監督の狙い


2001年10月にオープンした「三鷹の森ジブリ美術館」。館主の宮崎駿監督によるこの美術館のコンセプトは

こんな美術館にしたい!
おもしろくて、心がやわらかくなる美術館
いろんなものを発見できる美術館
キチンとした考えがつらぬかれている美術館
楽しみたい人は楽しめ、考えたい人は考えられ、感じたい人は感じられる美術館
そして、入った時より、出る時ちょっぴり心がゆたかになってしまう美術館!
(中略)
こういう美術館にはしたくない!
すましている美術館
えらそうな美術館
人間より作品を大事にしている美術館
おもしろくないものを意味ありげに並べている美術館

となっています。
素晴らしいコンセプトですが、実際はどうなのでしょうか?
早速管理人が4回行ってきましたのでレポートをお届けします。確かに
「すましている美術館」ではなく「えらそうな美術館」でもありませんでした。
右上の画像は館内のいたるところにあるステンドグラスです。ステンドグラスを通したカラフルな光が館内の床に落ちて美しいです。



場所

まず場所ですが、武蔵野の雑木林のなごりを残した東京都三鷹市の井の頭公園の中に建っていて、周囲の林では秋になるとどんぐりが拾えるような素晴らしい環境です。
交通の便も良く、JR中央線(東京駅から快速で西に32分、新宿駅からは17分)の三鷹駅南口(駅前ロータリーの駅を背にして左の隅)から10分間隔で美術館行きのバスが出ています(黄色いジブリバスと赤紫色のシティバスがあります)。バスは両岸に木立が続く玉川上水沿いに5分位走ると着きます(片道200円、往復300円。徒歩だと玉川上水沿いの「風の散歩道」=進行方向右岸の道沿いに歩いて約15分)。

チケットの購入方法

チケットは前月の10日の10時から翌月分の入場引換券をローソンのみで販売しています(10日が土・日曜日の場合は、翌週月曜日に発売)。料金は大人・大学生が1,000円(中・高生:700円、小学生:400円、4歳以上の幼児:100円)、完全予約制で1日2,400人限定、しかも入館時間が指定されています(10・12・14・16時の4回で、入館は指定時間から30分以内。開館時間は10〜18時、火曜日休館)。

購入方法は3つあります(くわしくはこちら

(1)ローソンの店頭に設置してある「Loppi」で 入場引換券を購入(Lコード:30006)。
(2)電話で予約して「Loppi」で 入場引換券を購入(発売初日の特別電話予約は、1人1回のみ、6枚まで)。発売初日のみ特設電話(発信者が通話料負担のナビダイヤル0570-06-3033、10:00〜24:00、Lコード不要、一部の携帯電話・PHSは使用不可)で予約可能。初日を過ぎると「ローソン チケットインフォメーション」0570-000-403(年中無休10:00〜20:00)で予約可能(Lコード:30006が必要)。
(3)携帯電話のサイト「ローソンチケット」、インターネットのサイト「ローソンチケットドットコム」で予約して「Loppi」で 入場引換券を購入(事前に登録が必要=有料)。

ちなみに、チケットには「必ずご指定の時間内にご利用下さい」と書いてあり、指定時間を過ぎると入口を閉めてしまいますので遅れないように行きましょう。もし遅れそうになったらチケットにプリントされている問い合わせ先電話番号に電話して遅れる事を伝えましょう。連絡無しで行くと、対応は丁寧ですが遅れた理由を聞かれて言い訳をしないといけないので不愉快な思いをします(なぜ遅れた理由を言わせるのか理解できない)。
チケットは払戻し不可、日時変更一切不可、しかも入手困難なので転売目的でチケットを購入したり、行けなくなったチケットをヤフーオークションで売る人が絶えません。2002年1月には33歳の主婦によるダフ屋行為容疑で逮捕事件まで起きて問題になっています。最初から転売目的で買う人は論外としても、チケットの払い戻しに応じるか手数料をとってもいいから日時が変更できるようにしないとネット上での転売は無くならないと思います(美術館の窓口だけでもいいから払い戻し・変更に応じて欲しいです)。

「ふしぎだま」って何?

さて、オープンから2ヶ月間だけ(2001年10月〜12月)、チケットと一緒に「ふしぎだま」の引換券(300円)が買えました。
この「ふしぎだま」は、説明書きによると
「”ふしぎだま”は、ジブリ美術館の”ある場所”にはめこまれています。どうやってはめこまれたのでしょうか?ふしぎな”ふしぎだま”はジブリ美術館のシンボルです。あなたの手にした”ふしぎだま”と同じ色の玉をさがしてみてください」
という物。「ふしぎだま」は曜日によって色が違うビー玉で、土曜日の色はアンバー(褐色)でしたが、拍子抜けする程単なるビー玉でした(下の左の画像は逆光で精一杯綺麗に撮った「ふしぎだま」です。ヤフーオークションでは全色揃えた人が1万円前後で出品していました^^)。ちなみに、各曜日の色は、月曜日:イエロー、火曜日:ネイビー、水曜日:ピンク、木曜日:ペパーミント、金曜日:グリーン、土曜日:アンバー、日曜日:スカイブルー。本来休館日なのに日程の都合で開館することがある火曜日のネイビーがレア物でした。
”ふしぎだま”は館内の吹き抜けに面した「ある部分」に下の右の画像のようにはめこまれています。



 

いよいよ館内へ

美術館の建物はカラフルな地下1階、地上2階建ての建物で、それほど大きくありません(開館当時はカラフルでしたが、最近は全体的にくすんで落ち着いた色合いになっています)。
建設計画は「既存樹林を生かした配置計画を行い,自然素材である土壁,下見板張,羽目板,漆喰,木製建具等により施設の内外装を構成し,施設計画と素材感にスタジオジブリの作品性を反映した計画」だったそうです。
正門付近には大きなトトロが座っている「ニセチケット売り場」があって記念撮影のポイントとして大人気。屋上にある「ラピュタのロボット兵」が外からでも上1/2位が見えました。美術館の周囲の植え込みはほとんど雑草で、意図的に雑草を生やしているようでした。


    



上の画像は左が2001年12月の開館直後の外壁がカラフルな頃のもの、右の画像は2006年9月の画像。冬と夏の違いがありますが、植物が育ち、外壁もすっかり落ち着いた色になって周囲の自然に溶け込んでいます。


天井にジブリ作品をモチーフにした美しいフレスコ画が描かれたエントランスホールに入ると、味気ないローソンのチケットを映画用の35mmフィルムが入った入場券(下の画像)に交換してくれます、どの映画のフィルムになるかはもらってからのお楽しみ。上の画像のチケットはラピュタのフラップターが写ったフィルムです(このチケットは館内の映像展示室「土星座」のチケットを兼ねています)。
エントランスから順路に従って地下一階に降りると中央ホールに入ります、ここは地下1階から地上2階まで吹き抜けになっていて、内部に自然光や自然の風をうまく取り入れる構造になっていました。
内部は1時間半もあれば十分見て回れる位の大きさで、アミューズメント的な要素は子供がネコバスで遊べたり、井戸で水くみができる「手こぎポン
プ」程度で、あとはセル画、絵コンテ、タイムシート等が展示してある純粋な美術館でした。入館者の平均滞在時間は食事の待ち時間、休憩時間を含めて平均3時間〜4時間だと思います


ネコバス発見!

下の画像が子供に大人気のネコバスです。専用の「ネコバスルーム」にあり、幼児(親がだっこ)から小学校6年生までが遊べます。2002年1月から入れ替え制になりました(5分で入れ替え。各入館開始時間の1時間半後位になると乗りたい子は一通り遊び終わっているので、この時間帯が狙い目です=10時入館なら11時半)。ネコバスの周りには毛糸でできた「まっくろくろすけ」(ススワタリ)も一杯転がっています。
ネコバスは上で子供が飛び跳ねるので痛みが激しいのではないかと思いましたが、2002年1月に行った人の証言によると「ネコの頭が禿げ、尻尾の付け根には直径5cm位の穴が開いていました。パーツごとに交換しないと1年も保たないと思います」との事でした。メンテナンスが大変そうですが、実際開館から半年後の2002年4月に補修をしたそうです。
ちなみに、2002年1月から館内で写真撮影とビデオ撮影ができなくなりました。入り口や館内に掲示された「お知らせとお願い」によると
「三鷹の森ジブリ美術館では今年から館内での写 真撮影、ビデオ撮影をご遠慮いただくことにしました。ジブリ美術館は物語の入り口です。物語の主人公になるには、カメラを向けるのではなく、この空間をご自分の目で見て、体で感じてください。そして、思い出は心の中に大切にしまって持ち帰って欲しい、これが私達の願いです。皆様のご協力をお願いします。館主 宮崎
駿
となっていましたが、撮影禁止の原因はこのネコバスルームでのビデオの撮影位置を巡る親同士の争いが原因ではないかと言われています。情けない話です(このHPの館内の画像は全て2001年に撮影したものです^^)。

  




これが見たかった!ラピュタのロボット兵

個人的には1.5mの厚さで土を入れた屋上庭園(雑草がいい感じでした^^)の「ラピュタのロボット兵」を楽しみにしていました。屋上に登って実物を見た時「おー!いたいた!」と思わず言ってしまいました。高さ5.2mもある銅製のロボット兵は実に良くできていて、ずーっと眺めていたくなる程の良い出来でした。屋上には特務将校ムスカ(ラピュタ王族の生き残り)がラピュタを操作するために使った黒い石もあって、ラピュタファンには本当に嬉しい空間です。

  

  

館内の楽しい展示室

常設展示室「映画の生まれる場所(ところ)」は、アニメ映画がどのようにしてできていくのか、5つの小部屋を通ると分かる構成になっていて、机の上にタバコの吸い殻が残る灰皿や短くなって使えなくなった鉛筆を入れた大きな瓶まであって、宮崎監督やスタッフが今までそこで仕事をしていたようなリアリティがある展示スペースです。実に凝っていて宮崎監督のこの美術館へのこだわりが良くわかる展示スペースでした。

映像展示室「土星座」(約80名収容)ではジブリ・オリジナル短編アニメーション映画が観れます。人気がある「めいとこねこバス」もオリジナル作品です。「めいとこねこバス」の舞台はまさにトトロの世界。おばあさんバスやネコ列車、さらにトトロまで登場するのでトトロ好きにはうれしい作品です。


上映スケジュール

2012年1月3日〜1月30日:ちゅうずもう(約13分)
2012年2月1日〜2月29日:やどさがし(約12分)
2012年3月1日〜3月31日:コロの大さんぽ(約15分)





ミュージーアムショップ「マンマユート」は午後は混んでます、外にあるカフェ「麦わらぼうし」(営業時間11:00-19:00)も席数(45名)が少ないのでいつも行列があります。
カフェ「麦わらぼうし」には天窓があって日が入るので明るい店内です。外にあるカフェのテイクアウトショップでホットドックを購入すれば井の頭公園の緑を楽しみながら屋外の休憩デッキで簡単な食事もできます(持ち込みもOK)。
メニューは季節のお薦めメニューがお店の外の黒板に書いてあります。定番メニューでは「くいしんぼうのカツサンド」(950円)の評判が良いです(かなりボリュームがあります)。ドリンクは手作りのストロー=麦の茎を使って飲み
ますが、麦ストローは歯でかむとすぐに割れてしまうので子供には不向きです。

管理人はカフェのオープン時間=11:00の7分前に行ったら46人目(定員45名)でした。お客さんの滞在時間は早くて20〜30分、平均は45分位 なので結構待ちます。10時に入館した場合は12時入館の人が来る前に並ぶ事をお薦めします。少しでも待ち時間を少なくするためにはオープン前の10時45分までに並ぶのがベストです(絵本があって、読みながら待てます。冬に行った時は寒かったので、休憩デッキの中央に60〜70人位
座れそうなストーブ付きの大型ビニールテントが設置され、テントの中で待てるようになっていました)。


2012年1月のおすすめメニュー

屋内カフェ「麦わらぼうし」
実りの山の放牧豚ごはん1,200円
季節の果物とミルクソースのチーズグリル760円
お日さまのクリームソーダ580円

テイクアウトショップ
とまとで煮込んだもつスープ500円
麦茶(温or冷)80円
ジュース(赤いぶどう・みかん)300円
アイスクリーム380円

メニューは変わります。 過去のお薦めメニューをご紹介します。
2006年9月のおすすめメニュー

屋内カフェ「麦わらぼうし」
野菜畑の冷たいパスタ1,000円
豆と野菜のやさしいスープ900円
なめらかチーズタルト550円

テイクアウトショップ
ホットドック500円
風の谷のビール600円
麦茶80円
ひやしレモン。りんごジュース、オレンジジュース各300円
アイスクリーム(全6種類)各380円


2005年6月のおすすめメニュー

屋内カフェ「麦わらぼうし」
よくばりな野菜サンド1,000円(アルプスの少女展記念メニュー)
シュークルート(パン付き)900円(アルプスの少女展記念メニュー)
お日さま色のキラキラゼリー680円
大粒のコーヒーゼリー470円
※シュークルートは、塩をもみ込んだ豚肉や発酵させたキャベツを煮込んだスイスやフランスのアルザス地方の料理

テイクアウトショップ
ホットドック500円
オオツノのホットドック600円
麦茶(温or冷)80円
風の谷のビール600円
りんごジュース、オレンジジュース300円
アイスクリーム380円



2004年5月のおすすめメニュー

さとうさんのハンバーガー1,250円 (ピクサー展記念メニュー)
よくばりな野菜サンド1,000円 (ピクサー展記念メニュー)
3段重ねのチョコ・モカケーキ850円
自家製シンジャエール470円


夏野菜た〜〜っぷり!「赤い丘の冷たいパスタ」1,000円
具沢山のミネストローネ!「大麦入り農家のスープ(パン付)」850円
つめた〜〜い!「畑のポタージュ」400円
ひんやりおいしい「あこがれのフルーツサンド」850円
クランベリーのソーダだよ!「夕焼けのクリームソーダ」550円


2002年10月のおすすめメニュー

くいしんぼうのカツサンド 950円
あこがれのフルーツサンド850円
まるたんぼうのロールケーキ600円
今日のアイス500円
シュワシュワブルースカイゼリー550円
今だけのメニュー ミント水350円


2002年5月のおすすめメニュー(右の画像は屋内カフェ「麦わらぼうし」前)

トリガラ、やさいの「大麦入り農家のスープ」(パン付)850円
ボリュームたっぷり「くいしんぼうのカツサンド」950円
さっぱりおいしい(40食限定)「あこがれのフルーツサンド」850円
いちごたっぷり「ふぞろいいちごのショートケーキ」750円
今日は何かな?「きまぐれヨーグルトシェイク」600円
ミルクがふわふわ「ふわふわミルク入りコーヒー」450円
新メニュー(30食限定)「カスタードプリン」450円 三鷹の玉子を使用した。マジメなプリンです。

2002年1月のおすすめメニュー

くいしんぼうのカツサンド 950円
やせっぽちのカツサンド 950円
あこがれのフルーツサンド 850円
大麦入り農家のスープ (パン付)850円
ふぞろいイチゴのショートケーキ 750円
デザート(PM1:30から)
限定 あこがれのフルーツサンド850円
賀庄 ぜんざいアイス550円

美術館の開館時のメニュー(2001年10月のメニュー)

くいしんぼうのカツサンド 950円
やせっぽちのカツサンド 950円
あこがれのフルーツサンド 850円
大麦入り農家のスープ 850円
畑のポタージュ 400円
ふぞろいイチゴのショートケーキ 500円
気まぐれババロア 400円
シュワシュワブルースカイゼリー 400円
麦わらぼうしのチョコパフェ 700円

シェフのおすすめメニュー
ローストビーフのサラダ 850円
パリブレスト 450円
おかあさんのケーキ 400円

管理人の感想 過度の期待は禁物。でも楽しい^^

ジブリ美術館はジブリファンならお薦めしますが、主な作品(千と千尋、トトロ、ラピュタ、ナウシカ、魔女の宅急便、紅の豚)を見た事がないと楽しめません。特に、千と千尋、トトロ、ラピュタを見た事が無いとジブリ美術館の良さは良く理解できないと思います。逆にこれ以外の作品(おもひでぽろぽろ、耳をすませば、となりの山田君等)関連の展示はほとんどないのです。

ジブリ美術館は1,000円なら十分楽しめますが、過度の期待は禁物です。純粋に美術館(と言うか博物館的ですが)として見るのが良いと思います。ジブリ美術館の正式名称は「三鷹市立アニメーション美術館」(三鷹市が誘致し「財団法人徳間記念アニメーション文化財団」が運営)ですが、営利目的のアミューズメント施設にしなかったのは正解だと思います。


宮崎監督は運営方法と展示方法については、こう言っています。

運営は…
小さな子ども達も一人前にあつかいたい
ハンデをもっている人にできるかぎり配慮したい
道順だの、順路だのと、あまりお客さんを管理したくない
展示物に埃がかぶったり、古びたりしないよういつもアイデア豊かに、新しい挑戦を続けたい
そのために投資を続けるようにしたい
展示物は…
ジブリファンだけがよろこぶ場所にはしたくない
ジブリのいままでの作品の絵が並んでいる「おもいで美術館」にはしたくない
みるだけでも楽しく、つくる人間の心がつたわり、
アニメーションへの新しい見方が生まれてくる場所をつくりたい
美術館独自の作品や絵を描き、発表する、
映像展示室や展示室をつくり、活き活きと動かしたい
(独自の短編作品をつくって公開したい!)
今までの作品については、より掘り下げた形で位置付けて展示したい



今はジブリファンでないと楽しめませんが、「すましていない」新しいタイプの美術館だと思いました。
今後も期待しましょう。 (上の画像はトトロのニセ受付)




ローソンのHPにチケットの販売状況が載っています。これからチケットを買う場合はショップとカフェが空いている10:00入館をお薦めします。

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