ズブさんの
アイデア天体
写真館

もくじ

てれすこ

“インターネットで調査ネタ”のその4である。一応、天文に関係のある話なので「その他 星のこと」に入れました。

同好会の岡安さんが、「てれすこ」というお店を見つけたそうだ。かにのいなり寿司のお店だということ。“天文屋”が「てれすこ」と聞けば、すぐにも「テレスコープ」、すなわち「望遠鏡」を思い浮かべるだろう。でも、なぜ、かにのいなり寿司のお店の名前が「てれすこ」なのか? それを調べてみた。

はじめに、古典落語に「てれすこ」というのがあるそうだ。そのあらすじは、以下のようなもの。

長崎地方での話。あるとき、見たこともない魚が取れた。誰もその魚の名前を知らない。そこで殿様は、この魚の正体を知っている者に褒美を出す、と高札を出した。するとある男が「それは『てれすこ』です。」と言った。他には誰も知らないのだから反論できる人もなく、男は褒美をもらった。が、殿様は怪しいと思った。そこで、今度はその魚を干して、同じようにな高札を出した。すると同じ男が「それは『すてれんきょ』です。」と言った。殿様は「これはおまえが前に『てれすこ』と言った魚を干したものだ。同じ魚なのに今度は『すてれんきょ』だと。うそを言って、褒美をだまし取ったな。」と、打ち首にしようとした。刑を執行される時になって、男は妻子に対し「『いか』を干したものを『するめ』と言ってはならぬ。」と言ったところ、それを聞いた殿様は、「『いか』を干して『するめ』と言うのだから、『てれすこ』を干して『すてれんきょ』と言ってもおかしくない。」と認めて、男は打ち首を免れた。

さて、まずはお店の名前について。この落語は魚の話。これに由来して、海産物関係のお店に「てれすこ」という名前のものが結構あるようだ。“天文屋”ではなく、魚好きの人や落語好きの人なら、この落語を知っている人も多いかもしれない。そういう人なら、海産物関係のお店の名前が「てれすこ」であっても疑問に思わないであろう。

一方、天体望遠鏡との関係。江戸時代、鎖国をしていた頃、長崎だけが西洋の窓口である。長崎から西洋の珍しいものが色々と入ってきた。望遠鏡は、英語だと“telescope”であり、オランダ語では“steren mirror”というらしい。これらが『てれすこ』、『すてれんきょ』であり、これが落語の中で使われたようだ。望遠鏡と魚は全然関係ないが、“初めて見る珍しい物”、“同じ物なのに(英語とオランダ語で)違う名前”、そんな所から生まれた話なのかな、と思った。

2002.8.19


(注1)上記の話は、インターネット上で調べた内容を自分なりにまとめ、また推測したものです。本当に内容が正しいかどうか分かりませんのでご了承ください。

(注2)オランダ語の“steren mirror”は、本来はそれぞれ、「星」「鏡」という単語だそうです。『すてれんきょ』の『きょ』は『鏡』の『きょう』のようです。