気が利くおまわりさん
「星のループと道のループ」の写真を撮影したときの話である。この写真は、“ループ橋”を見下ろすことができる別の道から撮影をした。
露出時間の長い撮影であり、当然、三脚にカメラを固定して撮影をした。カメラのシャッターを開きっぱなしにしたまま、車の中で休んでいると、パトカーがやってきた。夜のパトロールだろうか。
「夜中に、こんなところに車を止めて中にいたら、怪しいと思うだろうな」
と思ったら、案の定、パトカーは私の車の方によってきて止まった。2人のおまわりさんが降りてきて、私の車の窓ガラスをたたいた。
「こんばんは。どうしました?」
私は別に悪いことをしている訳ではないので、変に恐れることもない。車から降りて、写真の撮影中であることを説明した。
「へぇ。じゃあ、ああやって走っている車はどういう風に写るんですか?」
「車自体は暗いのでほとんど写らず、ライトだけ通った跡が線になって写るんです。」
「なるほど。」
という感じでちょっと話をしたあと、
「じゃあ、気をつけて。」
と言って、おまわりさんが行こうとした。その時、私は思った。
「このパトカーはカメラの前を通るんだろうな。本当は、(余計な光が入ってしまうかもしれないから)ライトをつけた車に通って欲しくないんだけど、おまわりさんに対して、暗いのに、ライトを付けないでくれとも言えないよな。まあ、車が通るのはカメラの向きと反対だし、多分大丈夫だろうけど・・・。」
ところが、おまわりさんは、
「あ、じゃあ車のライトは付けない方がいいのかな。」
と言ったのである。そして、撮影中のカメラの前を通り過ぎるまで、スモールランプだけで走ってくれた。
さらにである。パトロールに行って、帰ってきたのだろう。しばらくすると、反対側からパトカーが戻ってきた。まだ露出中だったが、今度もちゃんと、カメラの前を通る時にライトを消してくれたのである。
なんとも、気が利く、親切なおまわりさんであった。とても嬉かった。警察関係の不祥事がニュースになることも多いが、このように真面目に仕事をしている親切なおまわりさんもいるのである。
2002.5.14