ズブさんの
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冥王星と惑星

冥王星が惑星でなくなった。より正確には、「冥王星は惑星というグループに分類されなくなった」と言うべきだろうか。2006年8月24日、国際天文学連合の総会で、太陽系の惑星の定義が決議された結果である。冥王星を惑星としないことに反対する人たちもいるようだが、とりあえず国際天文学連合の総会では決議されたのである。新聞でも1面に掲載され、テレビのニュースでも何度も取り上げられた。惑星の話題とはそんなに世間の関心の高いものだったのだろうかと、かえって驚いたくらいだ。

どうして冥王星が惑星ではなくなったのか、惑星の定義がどうなったのか、その辺りのことはニュースなどでも話されていて今更という気がするので、とりあえず省く。アストロアーツ国立天文台のホームページなどを見てほしい。念のため付け加えておくが、冥王星がなくなったわけでもないし、冥王星という呼び方をやめるわけでもない。

さて、今まで冥王星は惑星と扱われていたが、今回の決議で惑星でなくなった。これは科学と技術の進展により、冥王星や太陽系の様子(特に冥王星のような太陽から遠いところの様子)が分かってきたからである。いろんなことが分かってくると、「どうも冥王星を惑星に分類するのは適切じゃないのでは?」ということになったわけである。このことを考えたとき、私はふと鯨(くじら)のことを思った。漢字を見ると “魚へん” であり、昔の人は鯨を魚の仲間だと考えていたと思われる。(猫や狐、狼などはちゃんと “けものへん” である。)しかし実際には、鯨は哺乳類である。肺呼吸をし、卵ではなく子供を産んで母乳で育てる。鯨のことをよくよく調べてみると「どうも鯨ってのは魚の仲間じゃなくて、獣の仲間なんじゃないか?」ということになったのだろうと思う。科学にはこういうことがよくあって、詳しいことが分かってくると分類のしかたなどが変わることがある。いずれにしても、「冥王星が惑星でなくなった」ことよりも「(冥王星やその周辺の)いろいろなことが分かってきた」ということの方が大切である。テレビなどでは、そういう部分を取り上げることが少ないので残念である。

ちなみに・・・、いるか、鯱(シャチ)も哺乳類、蝙蝠(こうもり)も哺乳類である。ペンギンは鳥類である。お間違えのないよう。

2006.9.5