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アマチュア無線の話

私はアマチュア無線の免許を持っている。一番簡単な『第四級アマチュア無線技士』という免許である。これは学生だったころ、“複数台の車で出かけるときに車同士で連絡を取るのに便利だから”ということで取ったものである。天文のサークル仲間で合宿などに出かけるとき、はぐれてしまって道に迷う車が1台くらいはあったものである。そんなときには「見失ったから待ってて」などと前の車に連絡できてとても便利である。免許無しで使える小型トランシーバーも市販されているが、電波が届く距離が短い。やはり免許が必要なタイプの方が、通信可能な距離は格段に長い。しかし、免許を持っている者同士でないと通信できない。結局、私も含めて免許を取ったのは4人程度だったと思う。

ところでアマチュア無線の免許には、『無線従事者免許証』と『無線局免許状』の2種類がある。無線従事者免許証とは、簡単に言えば「人に与えられる免許」であり、「この人はこういう条件の無線設備を操作できますよ」という免許である。最初に「免許を持っている」と書いたのは無線従事者免許証のことである。一方、無線局免許状というのは無線局に対して与えられるものである。分かりやすく言えば、“無線機に対して与えられる免許”である。「この無線機では、こういう周波数の電波をこの出力まで出してもいいですよ。」といった感じの免許だと思えばよい。私は市販のハンディトランシーバーを使っていたので、その製品の仕様にそって無線局免許状を取得していたが、無線機を自作したり改造したりする場合は、無線局免許状の取得もいろいろ大変なのかもしれない。

さて、『無線従事者免許証』は一度取得すれば生涯有効なのであるが、『無線局免許状』は5年に1度、更新が必要である。私も、無線局免許状の取得後、何度か更新してきた。しかし先日の期限切れを機に更新をやめて廃止することにした。もう使わないからである。免許を取ったころはまだ携帯電話が広く普及する前であったから、移動中の連絡手段としては確かに重宝した。インターチェンジから高速道路に入る時、間違えて反対方向に入ってしまい、「ごめん!、インター、反対向きに乗っちゃった。次のインターで降りて乗りなおすから、○○サービスエリアで待ってて!」と連絡したり、「○○サービスエリアで一度待ち合わせの予定だったけど、入り損ねた。」と連絡したりしていた。

しかし現在は、携帯電話が当たり前になり、無線で通信する必要はなくなった。(まあ、複数の車で出かける機会も少なくなったが。)それに無線では互いの電波が直接届く必要があるため、通信可能な距離が限られており、数十kmも離れれば通信が難しくなってくる。その点、携帯電話は互いに圏内ならばどんなに離れていても問題ないし、メールという手段も取れる。アマチュア無線のメリットを挙げるとしたら、“電話をかける”という操作をせずにいきなり相手を呼べること、通話時間を気にせずに話しができること、ぐらいだろうか。そう言えばアマチュア無線を使っていたとき「お互いに、相手の車に対してクイズの出しっこしよう!」なんてことをやった時もあったが、携帯電話だったら通話時間が気になるところである。(もっとも、『ただとも』などならば、いくらでもしゃべれるが。)

一方、アマチュア無線の最大のデメリットは、“相手もアマチュア無線が使える可能性が低い”ということである。相手も無線の免許と無線機を持っているという可能性はかなり低い。(もちろん、お互いに免許を取ろうということで取ったのは別だが。)これに対して相手が携帯電話を持っている可能性は、現在ではかなり高い。しかも、免許状の更新には数千円の手数料がかかるし、毎年500円の電波使用料もかかる。ということで、めったに使わないであろう無線のためにお金をかけて更新するのも勿体無いと思い、無線局免許状の更新はやめて廃止したのである。

さてもう使わないとなると、無線機をどうするか、が問題である。このまま持っていても、再度申請して免許状を取得するまでは使えない。捨てるのも勿体無いと思いつつインターネットで検索したら、中古の無線機を買い取ってくれるところを見つけた。幸い、箱と取扱説明書は残っていた。査定してもらったところ数千円で売れたのである。

2008.11.6