ズブさんの
アイデア天体
写真館

もくじ

「天体写真を見るための基礎知識1」

星に関するホームページは、それこそ星の数ほどあります。素晴らしい天体写真もいっぱいあります。

でも、天文になじみの少ない人にとって、天体写真って分かりにくい部分も多いですよね。
   「きれいだけど、よく分からない。」
   「この写真ってすごい写真なの?」
という感想を持つ人も多いのでは?

ここでは、「こうやれば天体写真が撮れる」といった“写真の撮り方”ではなく、天体写真を見る上での基礎知識として解説をしたいと思います。もう少し改良したいと思っていますが、あくまで私の経験と知識で書いてますので、おかしい所があるかもしれません。お気づきの点、あるいは分かりにくい点があったらお知らせください。

1.星の光は弱い

普通の写真はシャッターを押すと、パシャッという感じで一瞬で撮影されます。これは、
1/125秒とか、1/250秒といったほんの短い時間だけシャッターを開き、その一瞬だけ光をフィルムに当てて写しているのです。しかし、星の光は大変弱いものです。そのため、一瞬の光では暗くて写りません。
  普通の人物写真などでは、暗いときにはフラッシュを使って撮影できます。シャッターが開く一瞬だけ強い光を当てるのです。でも、フラッシュの光はとても星までは届きません。
  では、どうするのか? 星の写真を撮るためには、時間をかけて光をフィルムに蓄積させなくてはならないのです。つまり、長い時間光をフィルムに当て続けるのです。この「露出時間が長い」というのは、天体写真の大きな特徴の一つでしょう。星の写真では、太陽や月など一部を除いて、通常数分〜数時間かけて露出をします。

2.地球は回る

話はちょっと変わって、当たり前の話を。太陽は朝、東から昇ります。そして、南の空を通って夕方には西に沈みます。翌日にはまた東から昇ります。当たり前ですね。でも、実際には太陽が動いている訳ではありません。地球が自転しているのです。我々は、その地球の上にいるので、まるで太陽が空を動いていくように見えるのです。走っている電車の窓から外の景色を見ると、景色が後ろへ飛んでいくように見えるのと同じです。

3.星も動いて見える

地球が自転している訳ですから、空を動いて行くのは太陽だけではありません。月も星も同じように東から昇って西に沈むはずです。このような、地球の自転によって、天体が一日に空を一周する動きを「日周運動」(にっしゅううんどう)と言います。正確に言えば、北の空の星や、南の空の星の動き方は太陽や月とはちょっと違う点があります。とりあえずここでは東から昇って西に沈む星をイメージしましょう。

4.星の軌跡が写る

さて、最初に「天体写真は露出が長い」という話をしました。ところが、星は空を動いて行きます。例えば三脚にカメラを乗せて数十分の撮影をしたら、その間にも星は動いてしまいます。この時、星はどのように写るのでしょうか? 答えは、星が動いていく「軌跡」が写るのです。

 このような写真を「固定写真」と呼んでいます。カメラを三脚などに“固定”して撮影するからです。この固定写真では、地上の風景を取り入れた構図にできます。夜とは言え、長い時間露出をするので地上風景もそれなりに写ってくれます。風景を取り入れた星の写真を「星景写真」(せいけいしゃしん)と呼ぶこともあります。(固定写真の例

5.星の動き方、東西南北

星の動きが軌跡として写る訳ですが、方角によって「軌跡の形」が違います。 「3.星も動いて見える」で「北の空の星や、南の空の星の動き方は太陽や月とはちょっと違う」と書きました。 その説明は、アニメーションGIFが少々重くなったのでこちらのページへ。 (また戻ってきてください!)

6.点に写っている星

天体写真の中には、星がちゃんと「点」に写っている写真もたくさんあります。星が動いてしまうという話をしたばかりなのに、これらはどうやって撮っているのでしょうか? 数秒程度の露出では暗い星は写りません。答えは、星の動きを追いかけているのです。「赤道儀」(せきどうぎ)と呼ばれる装置を使って星が空を動いていくのを追いかけてカメラを動かすのです。本来点である星をちゃんと点として写せる撮影方法なので、星座や星雲・星団などの写真に向いています。しかし、星の動きを追いかけるので逆に地上の風景を入れた構図にすると、その風景が“流れて”しまいます。このような撮影方法を、「ガイド撮影」と呼び、こうして撮れた写真を「星野写真」(せいやしゃしん)と呼びます。(星野写真の例

この写真では、赤道儀の上に望遠鏡を乗せていますが、カメラを乗せれば「点」に写った星の写真が撮れるのです。 赤道儀の動き方を示すアニメーションGIFをこちらに用意しました。参考までに・・・。

☆補足

地上風景もちゃんと写っていて、星も点に写っている写真もあります。これらの多くは、高感度のフィルムを使っています。高感度のフィルムによって、短い露出時間で多くの星を写しているのです。しかし、高感度のフィルムは感度が良い代わりに画質が犠牲になっています。また、短いと言っても10秒〜2分程度の露出時間をかけているので、点に写っているようでも、よく見ると少しだけ星の軌跡が伸びていることが多いのです。(そういう写真の例


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