ズブさんの
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解説 〜富士山を跳び越えるうさぎと犬〜

富士山の北側から撮った写真です。星の日周運動によって、まるでおおいぬ座とうさぎ座が富士山を跳び越えていくように動きます。もちろん、一晩かけてゆっくりと跳び越えていくのですが。 おおいぬ座もうさぎ座も、星座の形がちょうど飛び跳ねているように見えるので、なおさら面白いかな、と思ってこの作品を考えました。「点」に写した星で星座の形を、「線」に写した星の軌跡で富士山を跳び越えていく様子を表してみました。

この写真は、前半は固定撮影を、後半はガイド撮影を行って撮影しました。撮影方法のポイントは、ガイド撮影を行っているときに、富士山の部分を黒い紙で隠すことです。カメラが星の動きを追いかけていると、星が点に写るかわりに地上の風景は流れてしまいます。富士山の姿は、固定撮影中に流れていない姿で写しこまれているので、ガイド撮影中は黒い紙で隠してやれば、流れていない富士山の姿だけがフィルムに残るのです。では、どうやって富士山を隠したのか。「レンズの前に黒い紙を置く」と口で言うのは簡単ですが、構図を狂わせずに、うまく富士山の部分だけに黒い紙を置かなくてはいけません。そこで、“紙置き装置”のようなものを作り、レンズの直前に紙を置けるようにしたのです。そして、ガイド撮影を行う前にそーっと、紙を置いたのです。

道具の写真1 道具の写真2 道具の写真3 道具の写真4

(注)
  この写真が、雑誌「星ナビ」に掲載されたのですが、掲載された時の編集部のコメントには「(ガイド撮影時の露出時間を)前景の富士山のシルエットにほとんどブレが見られないほどに抑えてあります。」と書かれています。しかし、実際には上記の解説のとおり、黒い紙で富士山を隠したのであって、露出時間を抑えたわけではありません。これらの撮影上の技法は、応募用紙に記載しておいたつもりでしたが、書き方が悪かったため分からなかったようです。