遺跡巡り

ポスターを頂く
昨晩ホテルに帰るまでに散歩をしていたら、Scottish Natural Heritageの事務所があり、そこにセントキルダのポスターが何枚も貼られていた。事務所の開館の時間を調べる。
翌朝訪れる。島のことをいろいろ聞く。やはり行くのはもっと時間が必要とのこと。
帰り際にポスターは欲しいか、と言われる。もちろんと言うと、奥から6枚も出してくれて、しかもお金は要らないとのこと。すっかり上機嫌で遺跡巡りへと向かう。

様々な時代の遺跡
ストーンサークルやスタンディングストーンが本当に多い島。
中でも最大のものは、カラニッシュ(Callanish)にあり、大小様々な石が立っている。有名なストーンヘンジの様な大きな石組みはないが、それでもかなりの大きさの石が並んでいる。

大小様々な石が立っている。どうやって立てたのか、何故倒れないのか、不思議である。

 

カラニッシュの近くにあったスタンディングストーン。

こちらは人の背丈よりも高さの低いものばかり。

 

 

 

 

 

 

 

 

この近くには確認できただけで他にも二つのストーンサークルがあり、その一つまで歩いて行ったが、サークルのある位置は少し高台になっていて、見渡しが良いのが共通しているようだ。

 

他にも砦と住居に使われたブラッハ(Broch)や、前世紀まで住まいに使用されていたブラックハウス(Black House)と呼ばれる独特の住宅等、見所には事欠かない。それにしても感じるのは、現代でさえ住むのが容易とは言えないこの島に何千年も前から人が住み、このような遺跡を残したことの不思議である。

ブラッハの高さは10メートル以上はある。本来は円筒形をしていた。

途中まで上がれるが、相当の規模であったのが想像できる。

 

下の左はブラックハウス。右は水車小屋である。

こちらは19世紀まではよく見られた住居。

 

 

 

 

 

 

 

 

島の中央部の景色

 

湖なのか入り江なのか区別のできないきれいなロッホ(Loch)が見渡せるかと思うと、頂が雲に隠れる高山現れたりする。

北緯50度より遥かに北にある島では、山の植生はすぐに高山である。

 

 

 

ヨーロッパ一きれいな海岸
前日の反省から、宿は早めに予約することにした。前日の上陸地ターバートのインフォメーションで海の見えるところ、とリクエストし老夫婦の経営するB&B(民宿)に泊ることに。
着いてみてびっくり。言葉にはできないほどきれいな砂浜が目の前に広がっている。B&Bの主人が2年くらい前の旅行雑誌を出してくれる。そこには写真入でここがヨーロッパ一きれいな砂浜と書いてある。アイルランドのドニゴールの海岸に似ている、いわば人間の手の入っていない海岸だ。翌朝も早起きをして、砂浜をたっぷり散歩した。

 

 

残念ながら写真ではとらえきれない美しさである。有史以来人間の手は入っていないのでは、と思える海岸である。

海と陸の境界が穏やかに交わっていて、風の音以外なにもしない。

 

ハリス島の最南端へ
まだ日も高かったので、懲りずに今度は島の最南端を目指す。ここにも集落の表示があるので、ホテルはなくてもどこかで夕食はとられると考えた。(B&Bは基本的に朝食のみ)しかし、二日続けて考えの甘いことに気づく。やはりレストランどころかパブもない。

海に向かって一本だけのスタンディングストーン。

平らな面を南北に向けているようだった。

地図を見ると、この石の先の海上にセントキルダ島があるはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

セントクレメント教会(St. Clement’s Church)

最南端には独特の形をした教会があったが、修理中で外観が完全でないのが残念。その近くには現エリザベス女王がヨットで上陸した港の表示がある。

 

夜も7時を過ぎていた頃なので辺りに人影はない。女王が来たことのある港はかなり古くからあったような造り。

 

フェリー乗り場

フェリーの表示があったので、せっかくだからよってみるか、と思い行くと、休憩所兼食堂があるではないか。実は先程の教会で修理の寄付をしていた。ここで夕食にありつけるのは正に神の思し召しと、にわかクリスチャンになってしまった。

ここは南にある北ユーイスト島(North Uist)へ渡るフェリー乗り場だった。大した物はなかったが、穏やかな海を見ながらの食事はおいしかった。
本当にちいさなフェリーがやってきて、大部分のレストランの客を吸い上げて出港していった。

 

小さなフェリーの待合所兼食堂。フェリーの運航時間中は営業しているようで助かった。

岸壁はなく、船の先端が上陸して、タラップの様なものが下りてくるフェリー。のんびり出港していった。

 

 

C国道
イギリスの国道はA(一級)とB(二級)の後に番号がつく形で体系化されていて、数字の頭、桁数で方面や主要道か田舎道か解るようになっている。ところが、ここから今晩のお宿まで来た道と別の道はC79と書いてある。地図にもそんな表示はない。
ま、ともかくCなのである。景色も大きな岩がごろごろするような、まるで違う惑星に来たような感覚である。しかしこんな所にも家があり、人が住んでいる。一種の感動を味わう。さらに電話ボックスから日本に電話ができると、不思議な感じになる。

 

岩盤がそのまま露出しているのではと思える景色。大きな岩の隙間に家が張り付いている感じを受けた。

偉大な生命体地球に比べると人間は本当にちっぽけだ。しかし、ここにも確実な人の営みがある。

 

 

帰宅

ほとんど辺りが暗闇に包まれる寸前にお宿に辿り着き、老夫婦との会話を少し楽しんだ後、多分以前は娘の部屋だったと思われる部屋で眠りについた。

 

 

BBの庭からの眺め。目の前にヨーロッパ一きれいな海岸が広がる。

 

 

再びスカイ島、そしてスコットランドメインランドへ