北へ

翌朝、ツーリストインフォメーションが開くまで港を歩く。8年前に乗ったフェリーが停泊している。当時降り立った駅のホームは何も変っていない。

 

ツーリストインフォメーションの前には何人かの旅行者が開くのを待っている。時間を聞かれる、あと5分だよ、と答える。

早速、セントキルダ島について聞く。さすがに聞く人も多いのか、島へのツアーをやっている会社の一覧を渡される。しかし、島自体のパンフレット関係はない。親切に、ここなら分かるかも、とルイス島のツーリストインフォメーションの電話番号を教えてもらう。

セントキルダ島へのツアーをやっている会社へ片っ端から電話をする。が、自分の旅行の日程を言うと、無理だね、と言われてしまう。オバンからだと6日かかる。(いくつかの島を巡るようだ)。しかも船は金曜日に出てしまったとのこと。

この時点で、ほぼ島へ渡ることは不可能との答えが出てしまった。残念とも思うが、ある程度は予想できていたこと。気を取り直し、残りの旅の日程を考える。

と、先程のツーリストインフォメーションのことを思い出す。ルイス島へ行こう。ルイス島はスコットランドの西に浮かぶアウターヘビリディーズ諸島最大の島で、荒々しい景観が広がっていて、先史時代の遺跡も多いと聞く。

が、島であるからフェリーに乗らなくてはならない。観光シーズンで空きがないかもしれない。フェリー乗り場でもらってきた時刻表を見る。今からならスカイ島にある乗り場までゆっくり観光をしながら、今日中に着けそうである。スカイ島へは橋で渡ることもできるのだが、移動距離のことも考え、マレイグの港からフェリーに乗ることにした。こちらのフェリーは1日に何回も発着しているので、予約を入れず、スカイ島とルイス島の間のフェリーだけ予約を入れた。

 

ともかく、スカイ島の最北端の港町ユーイグ(Uig)を目指して出発した。

 

 

オバンの港から島を望む。右の橋は元は鉄道橋だったものを道路用に転用したもの。

この辺りは入り江が多く、橋がないと大回りをしなくてはならない。

 

入り江の島に浮く古城。船がないと辿り着けない。

 

 

フォートウィリアム(Fort William)

 

街を少し離れたところの13世紀の築城インヴァロッフィ城を見学する。廃虚となってしまっているがかなりの規模。城の東側にはBen Nevisがそびえている。

 

グレンフィナン(Glenfinnan)

スコットランドのスチュワート王朝の最高を目指したチャールズ王子が上陸をした場所に、記念碑が建っている。波の静かな入り江に、上陸する王子の像が頂上にある。登ってみたが、中の階段は狭く、かなりの重労働。しかし、上からの眺めは格別で、国道と並行する鉄道のきれいなカーブを描いた橋も眺められる。

 

 

 

 

マレイグ(Mallaig)

鉄道の終点でもあり、ここからスカイ島へフェリーが出ている。フェリーは小1時間でスカイ島のアーマデイル(Armadale)へ着く。が、フェリーに自分で車を運転して乗るのは始めて。ちょっと緊張する。が、あまりにもあっさりしていて、簡単で拍子抜けしてしまう。船の船首から入り、係員の指示で前の車の後ろに停め、着いたら船尾から前進で上陸して終わり。

欧州のフェリーが以前、船首が跳ね上がる構造の為、そこから水が浸水し沈没して安全性が問題になったことがあるが、この方式なら車の出し入れが楽で、時間の短縮にも非常に有効だと思った。

ロビーに上がると、カフェテリアとお決まりのパブがある。ちょっと休憩とばかりにビールを一杯頂く。なにせ昼食はテイクアウェイで車の中で済ませたので、昼食時にビールを飲んでいませんでしたから。

 

 

フェリーに乗ってスコットランド本土を離れる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スカイ島(Isle of Skye)

のんびりビールを飲んでいたら、あっという間にまもなく到着のアナウンス。あわてて車に戻る。

今度は始めてのフェリーから陸地への上陸であるが、乗船の時と同じく、前進すればいいだけなので、あっけなくスカイ島へ上陸する。

が、時刻は既に5時半。ちょっといろいろな所へ寄り道をしすぎたかもしれないが、今日のところはともかくフェリーの出るユイグの港まで辿り着かなければならないので、一路ユイグの町を目指す。

想像していたより、ずっと道はきれいで、すいすいと進んでいく。が、景色は北へ向かうほど山の斜面から木がなくなり、荒々しい地肌を見せている。

 

 

 

ユイグ(Uig)

ここはグレンフィナンでも登場したチャールズ王子が、王子を助けたフローラマクドナルドと上陸をした地である。フローラのお墓もあるのだが、無理な旅行日程の為、残念ながらお墓参りはできなかった。

港であるから、海の見えるきれいなホテルがあることを想像してきたが、港の傍らにパブとスーパーが一軒ずつ。道を引き返し、ホテルというか、正確にはイン(簡単に言うとパブの上がホテルになっているもの)をみつけ、泊ることにする。

ここで今回の旅行で唯一の日本人旅行者に出会う。3人組みの彼らは、社会人で一組の夫婦とその友人とのこと。ロンドンに住んでいて、休みを利用してスカイ島まで来たが、ここから先へまだ行くというと、かなり驚いた様子。

ともかく、せっかくこんな所で会えたのだから、ということで夕食を一緒に取る事に。こういう出会いはいつも楽しい。

 

王子とフローラが上陸したらしい海岸。

風が強く、日が落ちてくるとものすごく寒い。

 

 

 

 

 

 

 

 

ルイス島へ