8月15日(火)


今日はたっぷり歩くかも知れないので、ポリッジも頼んで朝食はたっぷり食べる。

朝食後、宿のお上さんにマックルフルーガを見たいと聞くと、手っ取り早いのはレーダー基地に行くことよ、と言われる。入れるの?と聞くと、多分大丈夫よ、と言われる。


最北端を目指す
まずは、レーダー基地を目指す。が、ここから先は許可された車だけ、との警告。読めないふりをして車を進める


しかし登っていくと、霧が出てくる。途中軍の車とすれ違うが、特に警告等もなく進む。この辺りから見えるはずのゲートの場所に着いたが、間近にあるはずのレーダーサイトも見えない。
この場で待っていれば、霧が晴れて見えるかもしれない、が時間もそうはないし、退去を命じられるかもしれない。



ハーマネス
待つよりは、3時間かけて対岸のハーマネスを歩こう、と山を下りる。
ハーマネスの入り口にはすぐ着いたが、やはり霧が立ち込めている。しかし低いところは晴れているので、おそらく見えるのでは、と希望を持って歩く事に。駐車場には車はまだ1台も停まっていなかった。

小さなリュックサックにパンとビスケット、りんごと水を詰め出発。案の定入り口には食料の持参と、滑りやすい靴、ズボンははかないように、雨具を持っていくように、との注意書き。また鳥の繁殖地には近づかないようにとの注意も。

ともかく登り始める。標識は、ぽつんと立っている木だけ。200〜300メートルおきに立っている。ここは湿原の様で、場所によっては木が敷かれて歩きやすくはなっているが、場所を間違えると水の中に足を突っ込んでしまう。


大きな鳥が多い。近づくと飛んでいくが、すぐ傍にいる。対岸のレーダー基地のある辺りはやはり霧に包まれている。
やがて道が二股に分かれている場所へ。岩礁を早く見たい私は近道に見える山越えの直線ルートを選ぶ。が、なかなか山を越えることが出来ない。



マックルフルーガ
やがて、何か構造物のあった場所に辿り着く。灯台の跡かもしれないが、ここが最高地点の様だ。海に目をやると、あった。海に浮かぶ岩礁の上に白亜の灯台がそびえている。ここがイギリス領最北の地だ。
急に元気になり、海に向かって斜面を下っていくが、残念ながら道は岩礁からは離れていく様に曲がっている。近づけないことはないが、鳥の繁殖地に踏み入ってしまう事になる為、徐々に灯台から離れていくことに。この時ばかりはズームレンズ付きのカメラを持ってくれば良かったと思う。




ここからは元の道を戻っても良いがせっかくなので、崖沿いに戻る道を選んだ。ただし、標識はなく、パンフレットも崖沿いに進むこと、と書いてある。かなりの断崖絶壁であるが、断崖にはたくさんの海鳥達がいて泣き声がこだましている。ここは世界的にも貴重な海鳥の繁殖地である。


道がそのうちに二手に分かれている。何となく近道の様なので、丘を上るコースを取る。


しかし、これは人間の道ではなく、けもの道であった。丘にはあるはずの標識が全くなく、いきなり右も左も沼の湿地帯に入り込んでしまった。そのうちに鳥の繁殖地に近づきすぎたのか、声を上げて威嚇してくる大きな鳥がいる。足を踏み外せば沼の中。

必死になって羊が通った跡を辿る。30分ほど迷って、ようやく行きに通った人間の道まで辿り着いた。

中央に走っている線が羊のけもの道。
これを踏み外すと、水の中に足を突っ込んでしまう。





















と、対岸を見ると霧が晴れて、大きなレーダードームが見えている。やはりあそこで待っていても岩礁を見ることが出来たようではあるが、自分の足で歩いた感動は忘れられない。岩に座って、水とパンの簡単な昼食をとった。

山の上にある突起物が大きなレーダードーム。
あの場所も行ったが、霧に包まれていた訳である。
















帰り道では数人のハイカーとすれ違った。駐車場にも数台の車が停まっていたが、やはりこの最北の地まで来る人は少ないようであった。

またも靴が濡れてしまったが、駆け足の旅行である為、明日の昼にはオークニー行きの船に乗らなければならない。メインランドの南の方も見ておきたい。またしても渡し舟に乗る為、アンスト島の南、ベルモントの港へ。




エル島

船は空いていてすぐに乗ることが出来た。エル島に渡り、今朝ホテルで見つけた観光案内に乗っているウィンドハウスを目指す。ここは石器時代からの遺跡の上に何世紀にも渡って館が作られ、人が住みつづけた場所だが、今は廃虚の様である。


エル島の中の荒涼とした景色。道端では燃料となるピートが掘り出されていた。

ウィンドハウス
案内は全くなく、それらしき建物を見つけ、慌てて車を停める。どうやら牧草地の中に立っているようだったが、私道を上がっていて、そこから牧草地を歩く事にした。

中は崩れ落ちているがかつては、立派だったであろう門構えである。言われてみれば、たしかに最も高台にあり、かつ何やら出てきそうな家ではあった。




再びメインランドへ
エル島の南端のアルスタから再びメインランドのトフトへ。ここから一路、ラーウィックを越え、南のムザのブラッハを目指す。ここは離れ島に浮かぶ塔型のブラッハであるが、スコットランドにある中では最も当時の姿を残しているとのことだ。

フィヨルドの地形が穏やかに続く、メインランドの北の景色。

ムザのブラッハ
期待を胸に車を進める。ムザの標識が出る。高台から望むと島に大きな塔があるのがすぐにわかった。船着き場に着くが、人気が全くない。1時間に1便ぐらい渡し船があるのでは、との考えは甘くて、日に2回ぐらい、ツアーがあるだけの様だった。午後の部は2時発。既に4時近く。残念ながら遠くに望むだけの見学となってしまった。


セントニニアンズ島
気を取り直し、さらに南へ。セントニニアンズ島を目指す。ここには島に12世紀の教会の跡があり、また島は砂州でメインランドと結ばれていて、穏やかな波と共に本当に奇麗な景色を見ることが出来る。
困ったのが駐車場がないこと。民家の脇に停められないことはなかったが、ちょっと無理がある。雑貨屋が一軒あるが、駐車場は買物客向けと書いてある。ちょっとわざとらしいがフィルムとサンドイッチを買って、おばさんにちょっと島まで行ってきたいんだけど、というと、この車?もうすぐ閉店の時間だしいいわよ、と言われる。


島まではプライベートの牧草地の中を通っていく。坂を下りながらだんだん島が近づいてくる。
砂浜に大きな穴を掘っている子供たちがいる。こちらに気が付いたのか、助けてーと大声を上げている、近づいて、助けましょうか?と聞くと笑ってまた掘っている。

こちらも島へ行かねばならないので、バイバイと言って砂浜を進む。

海岸から一段上がったところに教会跡はあった。ここからの眺めは素晴らしく、この場所に教会を造った訳がわかる気がした。もう、土台の跡しか残っていないが、ゆっくりと祈りを捧げられる場所と感じた。ここからは貴重な文化財も発掘されているとのことである。



サンバー岬
島の南端サンバー岬を目指す。途中にイェールホフというオークニーのスカラブレイと同じような遺跡があるとの表示。その前にホテルを捜そうと思ったところ、なんと遺跡はそのホテルの脇にあった。


部屋を確保し、まだ日も高かったので、まずはサンバー岬へ向かう。国道はホテルの先で細くなり、高い場所へ登っていく。灯台の近くは断崖絶壁で、天気はすっかり回復し、眺めは眺めは非常に良かった。周辺は野鳥の繁殖地になっており、数々の海鳥たちが飛んでいた。


この灯台も今では無人であったが、何と灯台を貸出していた。もちろん住居としてだが、一週間単位でも借りられるようだった。



サンバー空港
空港へも行ってみた。平坦な土地のない島の空港である為か、脇を走る国道は滑走路の一部にもなっていて、離着陸のある時には赤信号がついて車は停まらなければならない。

ターミナルによってみる。小さいが立派な空港だった。プロペラ機が主力だが、離島を結ぶ路線にはヘリコプターも使われており、ちょうど轟音を発てて着陸するところだった。



海に挟まれた、狭い土地にある空港。


イェールホフ
ホテルに戻りイェールホフを見学。たしかにオークニーのスカラブレイと同じような遺跡であるが、ここの方が遺跡の中心まで入ることが出来る。オークニーのと同じように脇は海。風も強いが、半地下式の住居に入ると風を完全に防ぐことが出来る造りだった。



サンバーホテル
夕食はパブでとることに。お勧めのサーモンを食べる。パブのおばさんはご機嫌で、楽しい一時を過ごす。デザートはいかが、と聞かれるが、前菜のサバの酢の物の様なものが気になる。この地方の特産とのことで、デザートはいいからギネスのおかわりと、それを頼む。非常においしく、ギネスにもあう。





魚づくしの夕食。本当においしかった。


















またも食べ過ぎてしまい、再び遺跡の中を散歩。波の音が心地よかった。


天候は今朝とは打って変わって、夕焼けが美しい空へ変わっていた。


疲れていたのか、その晩はすぐに寝てしまった。


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