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British Rock or Psyche Pop etc...
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WINCHESTER CATHEDRAL WINCHESTER CATHEDRAL / NEW VAUDEVILLE BAND

 1966年に「ウィンチェスターの鐘」をヒットさせたことで知られる、1920/30年代ボードビル音楽の再現企画グループ。これは2007年にRPMから出たCDで、1966年の1ST、1967年の2NDアルバムにシングルのみの曲、デモバージョンを加えたお徳なCD。だが、前述のヒットシングルのB面曲がなかったりと、全曲集ではないのは残念。

 「THERE'S A KIND OF HUSH」などを書いた職業作曲家GEOFF STEPHENSが始め、IVY LEAGUEのJOHN CARTERが絡んだりと、当時の英ポップ界による愛情あるお遊び企画。ノスタルジックが優先して、同時期に出てきたBONZO DOG DOO DAH BANDのような前衛さや毒はまったくないですが、ラス・ヴェガスでも好評だったのも納得のエンターテイメント振りです。

 収録時間が長く、1920/30年代ボードビル風の似たような曲ばかりで、続けて聴くにはちと辛いですが、アルバム音源の数曲や終盤のデモ音源は60年代当時の音のままで、サイケ・ポップ的な面も垣間見れます。(2007/05/06)



THE THOUGHTS OF EMERLIST DAVJACK THE THOUGHTS OF EMERLIST DAVJACK / THE NICE

 P.P.ARNOLDのバックバンド出身のメンバー達による、IMMEDIATEレーベルアーティストの1STに最初の2枚のシングルAB面をプラスした紙ジャケCD。もちろんプログレ的にはKEITH EMERSONのレコードデビュー作として有名。

 そして彼が一番目立っているし、やたら上手い。そのせいかどうしてもプレELPなグループとして語られがち。確かに「RONDO」などはたたみかける曲調でプログレっぽい。ただし後のELPより粗削り。インパクト一発勝負。混沌としている。ミュージカルの挿入曲「AMERICA」を大胆にアレンジしたり、クラシックのフレーズを転用するとこなんか、当時のアートロックやニューロックという言葉がぴったりだと思います。

 ただこの1STは頭の2曲など、サイケポップ寄りな曲もある。デビュー曲でもあるアルバムタイトル曲「THOUGHTS OF EMERLIST DAVJACK」は能天気さが楽しい。その他のKEITH EMERSONが比較的控えめな楽曲、歪み気味のオルガンが印象的な「FLOWER KING OF FLIES」や「DIAMOND HARD BLUE APPLES OF THE MOON」、エンディングでKEITH EMERSONの欲求不満が爆発したような「TANTALISING MAGIE」などはポップ、というかコマーシャルなとこもあって魅力的。

 ギターのDAVID O'LISTはこの作品発表後脱退しますが、確かにちょっと浮いている。KEITH EMERSONに対抗し、奮闘してリードとってますが、向こうを張るには粗くて泥臭すぎ。結果的にKEITH EMERSONのあざといまでのテクニシャン振りがより強調されてしまってます。

 アルバムでの最終曲「CRY OF EUGENE」はPINK FLOYD「ユージン、斧に気をつけろ」からインスパイアされたと何かの本で読んだ覚えがありますが、このNICEの1ST方は1968年1月発表との事だが、PINK FLOYDの方がシングルB面として発表されたのは1968年12月だから後の筈。ライブでは先にやってたかもしれないけど。(2001/01/21)



THE NIGHTMARE OF J B STANISLAS THE NIGHTMARE OF J B STANISLAS / NICK GARRIE

 フランスだけで発売されたいたという英出身シンガーの1969年発表アルバム。2005年にREV-OLAから出たこのCDには、アルバムと同じレーベルから出ていた1968年のシングル曲、アルバム曲の別バージョンを収めています。アルバム本編でプロデュースおよびアレンジを担当したのは、シルビー・バルタンの兄とのこと。

 アルバムは激レアだそうですが、内容もドリーミーかつ繊細な(悪く言えばなよなよした)ボーカル&メロディーにオーケストラが背景を華麗に彩る、まさに隠れた逸品。サイケ・ポップとかフラワーというよりは、線の細いSSWにオーケストラを装飾した作品という印象。

 アルバム収録曲はどれもなかなか瑞々しいメロディーで、正直ボーカルが弱いですが、それも個性と感じさせてしまいます。また、叙情一辺倒ではなく、ラグタイムぽくもある「BUNGLES TOURS」、カントリー風な「QUEEN OF QUEENS」、GEORGE HARRISONを思わせるスライドが入る「INK POT EYES」もアルバム中ではアクセントになっているように思えます。ストリングスが華やかな「WHEEL OF FORTUNE」は聴いたことあるなと思ったら 「CIRCUS DAYS VOL1&2」 にも収録されてました。ライナーによると、そのコンピに収録されたのがもとで斯界で注目されたとの事。

 シングル曲は別のプロデューサーですが、A面曲はビート色強い出だしながらファニーサッドな曲調、B面曲はノン・オーケストラだがアルバム収録曲に近い雰囲気。その後に収録されたトラックはアルバム曲の弾き語りバージョン。(2006/12/24)



THE STORY OF SIMON SIMOPATH THE STORY OF SIMON SIMOPATH/NIRVANA

 レコード屋では(UK)をつけられている、彼らの1ST。このジャケットは賛否があるとこでしょう。否だらけかもしれませんが。裏ジャケには当時の6人のメンバーが写ってますが、チェロやフレンチホルンのメンバーを含んでいるというのは当時としては珍しかったんだと思います。

 2ND「ALL OF US」の方が評価が高いようですが、ロックと室内楽の合体ともいうべき彼らのおサイケな個性は既に確立されてます。大半の曲でボーカルがダブルトラック処理されているので、歌中心で演奏は装飾程度という印象も。後の作品よりシンプルに聞こえます。曲はどれも短くて、一番長い「WINGS OF LOVE」でも3分18秒しかない。そのためか大半の曲で間奏らしきものがないのが特徴。

 シングル曲「PENTECOST HOTEL」や、「WE CAN HELP YOU 」、ロケットに跨って天空に駆け上るような「SATELLITE JOCKEY」が出色の出来ですが、気だるい「I NEVER FOUND A LOVE LIKE THIS」やジャグバンド風な「1999」など、後にはあまり見られないスタイルの曲があるのもファーストアルバムらしい。

 タイトルの通りインナーには曲名を織り込んだ物語が記載されてます。訳を読んだ事が無いのですが、これもロックオペラっていうんでしょうか。しかも1967年の作品だからTHE WHOの「TOMMY」はおろか、PRETTY THINGSの「S.F.SORROW」よりも先んじています。(2000/06/25)



ALL OF US ALL OF US / NIRVANA

 彼らの最高傑作との声も高い2作目。唯一チャートイン(英34位)した「RAINBOW CHASER」などの代表作が詰まった、まさに「美しい曲と優雅なストリングスと穏やかなサイケデリア」という彼らの志向が完成を見た作品集だと思います。

 特に前半は傑作揃い。1曲め「RAINBOW CHASER」は、北欧のある国では1位を記録したらしいと「BLACK FLOWER」のライナーノーツでは記載されてますが、本当かは不明。次はデビュー曲にあたる「TINY GODDESS」、同名映画のタイトル曲「THE TOUCHABLES(ALL OF US)」、個人的には彼らのベスト「MELANIE BLUE」、「TRAPEZE」、インスト「THE SHOW MUST GO ON」と華麗にストリングスで装飾された曲が続く。

 代表曲のひとつ「GIRL IN THE PARK」で始まる後半は、怪奇音楽を思わせるイントロの「MIAMI MASQUERADE」、女性コーラスが入る明るい「FRANKIE THE GREAT」、アルバム前半のようにお耽美な「YOU CAN TRY IT」、ピッチをあげた高い声によるコミカルな「EVERYBODY LOVES THE CLOWN」、とバラエティに富んだ曲調。

 彼こそNIRVANAそのものと言えるメンバーPATRICK CAMBELL LYONSの回顧録も興味深い。(2001/05/13)



BLACK FLOWER BLACK FLOWER (TO MARKOS 3)/ NIRVANA

 3作目。2作目まで所属していたISLANDからリリースを拒否されたため、彼ら自身が原盤権を買い取り、英ではPYEから発売したという因縁のある一枚。またアルバムタイトルも当初は「DEDICATED TO MARKOS III」その後の再発で「TO MARKOS III」になったり「BLACK FLOWER」になったりと、数奇な運命を辿ってます。

 内容は2作めと同傾向ながらも、お耽美なとこは若干後退し、シンプルになった印象。しかしどの曲もメロディーがよく練られており、VANDAが編集した「SOFT ROCK A to Z」でも取り上げられているのは、アレンジよりも、このメロディの良さを強調した作りのためかも知れません。

 1曲目の「THE WORLD IS COLD WITHOUT YOU」からして、きらめくようなストリングスのイントロで始まり、徐々に盛り上がっていきます。ストリングスがリフを奏で、聞き込むほど味がでる「CHRISTOPHER LOCIFER」や、ピアノ弾き語り風で始まる「ALINE CHERIE」、珍しくギターソロのある「BLACK FLOWER」などが良いが、最大のハイライトは最後の2曲。ロリータぽい女性ボーカルとのデュエットで、桃源郷で戯れているような「LOVE SUITE」。そして最もキャッチーな、ラスト曲の「ILLINOIS」。

 私が持っているのは1993年に出た日本盤CDですが、このライナーノーツが誤植だらけのひどい代物。内容自体は妥当で、当時としては彼らのプロフィールを知る貴重な資料でしたが、いきなり「87年(中略)”サマー・オヴ・ラヴ”の年にニルヴァーナは生まれた。」と、出だしから腰砕けにあったような文章です。(2001/05/13)



LOCAL ANAESTHETIC LOCAL ANAESTHETIC / NIRVANA

 VERTIGOレーベルから出た4作目。本作からPATRICK CAMPBELL-LYONS一人のプロジェクトに。キーフによる耽美で不気味なジャケットでプログレ関係にはつとに有名。アナログ片面で1曲ずつというのもプログレなマナー。そして、それまでNIRVANAのサウンドを特徴づけていた、優雅なストリングスやハープの調べはここには跡形もなくなっている。ソフト・ロック関係からこのNIRVANAを聴いてきた人にとっては悪夢のような、拷問に近い音世界でしょう。

 A面にあたる1曲目「MODUS OPERANDI」は当時のVERTIGOらしい、混沌とした内容。フリーキーな管楽器、笑い声、ブルースとジャズが混じったようなバンドサウンド、露骨な編集跡、うなるムーグ、ピアノのみバックとした唱歌(向こうの軍歌?)等が変幻自在にコラージュされており、まさにアシッドな音の万華鏡という印象。

 B面にあたる2曲目「HOME」はアフロなパーカッションから始まるが、1曲目と違ってこちらは肩の力を抜いた歌物の連続という印象。後のソロ作品「ME AND MY FRIEND」にも近い。(2002/09/29)



SONGS OF LOVE AND PRAISE SONGS OF LOVE AND PRAISE / NIRVANA

 PHILIPから出た5作目。問題作であっただろう前作よりは、従来のNIRVANAぽい。旧作のリメイクが2つありますが、ブラス・ロック風になって切れ味が鋭くなった1曲目「RAINBOW CHASER」、聖歌隊のようなコーラスが盛り上げる6曲目「PENTECOST HOTEL」ともに良い出来だと思います。

 その他の曲は大別して2つのタイプがあり、2曲目「PLEASE BELIEVE ME」、3曲目「LORD UP ABOVE」のように泣きがったメロディーをストリングスが盛り上げるもの。もう1つは4曲目「SHE'S LOST IT」、5曲目「NOVA SKETCH」のようにアシッドかつJAZZぽいピアノが大活躍するもの。今までの彼らにはない路線ですが、とてもクールで魅力的です。そしてその2つの路線が統合されたのが9曲目「STADIUM」で、壮大さと陶酔を感じる主旋律の間に前述のようなピアノがフューチャーされている。

 本作は1995年にCD化されてますが、PATRICK CAMPBELL LYONSのソロ「ME AND MY FRIEND」のCDにも、「SONGS OF LOVE AND PRAISE」から先述のリメイク2曲を除いた全曲がボーナストラックとしてつけられている。(2002/09/29)



TRAVELLING ON A CLOUD TRAVELLING ON A CLOUD/NIRVANA

 サイケ・ポップやソフトロックやプログレ界でニルヴァーナといえば、シアトルの方ではなくこちらのUKニルヴァーナ。これは1967〜1969年にかけての、ISLANDレコード時代のベスト盤。私のお気に入りアーティストの一つでもあります。

 ソフトロック界隈では3枚目「TO MARCOS V(BLACK FLOWER)」が気に入られてるらしい。またプログレ界では4枚目「LOCAL ANAESTHETIC」(局所麻酔)の、主にキーフによるジャケットが有名ですが、サイケポップの彼らを聴きたいならLPだと1〜2枚目にあたるこのISLAND時代がベストでしょう。

 「美しい曲と優雅なストリングスと穏やかなサイケデリア」という彼らの志向がまさに具現化された楽曲がズラリ並んでます。腐りかけの甘ったるい果物にブランデーをぶっ掛けたような、おサイケな雰囲気を満喫できます。ポップバンドなニヤけた佇まいもなく、R&Bの影響も希薄なのは当時として大変珍しい。

 英でチャートインしたシングルは「RAINBOW CHASER」のみだそうですが、彼らのメロディメーカーぶりはなかなかのものだと思います。プロデューサーもJIMMY MILLERやCHRIS THOMASやTONY VISCONTIなど一流どころの名前があったりとB級とはいえない出来栄えです。

 バンド形態によるグルーブを出す類の音楽ではありません。最初は6人組みなのにデュオになり、最後はソロのプロジェクトになるのも当然でしょう。

 「OH! WHAT A PERFORMANCE」「DARLING DARLENE」等のこのCDでしか聞けないシングル曲もあり。ただし、レアトラック集も出ているのに、まだCD化されてないシングルB面曲がいくつかあります。(1999/07/04)



ME AND MY FRIEND ME AND MY FRIEND / NIRVANA WITH PATRICK CAMPBELL LYONS

 まぎわらしい表記だが、本来は元NIRVANAのPATRICK CAMPBELL LYONSがソロ名義で1973年に発表したアルバムのCD化。といっても後期NIRVANAはPATRICK CAMPBELL LYONSのソロ・プロジェクトなので、この名義もあながち間違いではないけど。彼のディスコグラフィーを詳細に説明したライナーには好感が持てますが、音は悪く、盤起こしが明白。

 内容は、おそらくPATRICK本人が弾いている、前年のNIRVANA名義「SONGS OF LOVE AND PRAISE」でも大活躍していたピアノを基調とした作品。前作ではジャズぽいというかアンダーグラウンドぽくて怪しかった雰囲気がありましたが、本作では肩の力を抜いた弾き語り風。前作制作後にクルーザーで旅行した彼が、癒されリラックスして、少々アフロなどトロピカル風味を隠し味に作った楽曲集。確かにこれではNIRVANA名義では出せなかったであろう。特にA面はシンプルなシンガー・ソングライター風で、NIRVANAでは欠かせなかったストリングス系がまったく無い。B面ではわりとバラエティ豊かな曲想。最後の「WATCH OUT CASSIUS CLAY」はオーボエ?のフレーズが印象的で、不思議な魅力を持つ曲。

 ボーナストラックとして、シングル曲「ON THE ROAD」と、NIRVANA名義の前作「SONGS OF LOVE AND PRAISE」が収められているが、そこに収録されていた「RAINBOW CHASER」「PENTICOAST HOTEL」のリメイク2曲が外されている。この当時の再解釈によるリメイクも良い出来だと思っているので残念。(2002/01/20)