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British Rock or Psyche Pop etc...
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MAGNA CARTA MAGNA CARTA

 VERTIGOレーベルからの2NDアルバム「四季」が比較的知られる彼ら。このアルバムは、1969年発表の1STという情報とジャケットでの服装から、サイケ・ポップ色を期待したが、それは残念ながら叶わず。内容はトラッドぽさは無く、フォーク・ロックでもなく、純フォークなマナーに溢れている。ささやくような落ち着いたコーラス、アコギとアコースティック・ベース、かなり控えめなドラム、ストリングスもなにやら上品。濃厚な英フォークの空気が充満し、調和もとれており、場の雰囲気を落ち着いたものにさせる力があります。(2007/04/15)




MAJORITY ONE MAJORITY ONE

 MAJORITYというグループの後身。1971年に出たアルバムだが、英本国では未発売だったとの事。2005年にCD化されましたが、ブート臭い。グループ名と曲名とメンバー名しかない、情報量の少なさは残念。

 「サティスファクション」を華やかにしたような1曲目や、ハードで長い実質最終曲である12曲目は異色だが、その間には1971年作品の割にはサイケ・ポップの残り香がある穏やかめな楽曲が挟まれている。ジャケもサイケぽさを引きずっているが、アレンジは時折ストリングスが入ったり、ファズギターが鳴ったり、ボーカルに処理をしていたりする程度で、サイケな仕掛けは少ない。アシッドぽさや泥臭さとは無縁で、たおやかな歌い方をするそのボーカルはWORLD OF OZ風でもあり、初期BEE GEES風でもある。

 曲としてはややスローで優雅な2曲目「RAINBOW ROCKING CHAIR」とコンピ盤FADING YELLOW VOL.5にも収められた室内楽的な11曲目「I SEE HER EVERYWHERE」がベスト。ボーナストラック「GET BACK HOME」はフリーク・ビート風。サイケ・ポップ好きとしては、前身MAJORITYの作品を集めたCDも待望しています。(2005/09/11)



RAINBOW ROCKIN' CHAIR RAINBOW ROCKIN' CHAIR / MAJORITY ONE

 本年(2005年)唯一のアルバム(但し英本国では未発売)がCD化されました(すぐ上にあります)が、それとは別にRPMからDEFINITIVE COLLECTIONと銘打った本盤が登場。先のCDはライナーが無くてブート臭かったので、やっとまともなCDが出た、という印象です。

 ただし、DEFINITIVE COLLECTIONとジャケに書いてある割には、アルバム曲が何曲か漏れていたり、当時別名義で出した曲も一部だけだったりします。ただ、ライナーを読むと、マスターが見つからなかったとあり、現在出来る範囲でのと「決定盤」とのことです。

 サイケ・ポップとしては美味しいDECCAでのMAJORITY時代の曲が無かったり、「FADING YELLOW」シリーズや先のオリジナルアルバムCD化で既出の曲ばかり。ですが、これから彼らを聴こうという人には、現在のところ本盤がやはりお勧めかと思います。

 個人的には英文ライナーが一番興味深かったです。MAJORITY時代はDECCAとの契約に縛られており、それから解放されるために契約の及ばない、フランスに渡ってMAJORITY ONEとグループ名を変えてヨーロッパ主体で活動したとか。その前にBARRY RYANのバックをしていたとか、パッとしないのでBLACK LABELという別グループ名で有名曲のカバーを出したとか、「BECAUSE I LOVE」がオランダやイタリア、ブラジルで思わぬヒットをしたとか。そのヒット時には解散状態だったが、急遽アルバムを出した(そのため英本国では未発売だった模様)とか、ライナーを斜め読みしただけでも彼らの実像が見えてくる思いです。(2005/12/11)



ASCENT OF MANN THE ASCENT OF MANN/MANFRED MANN

 待望久しかったFONTANA時代(1966年〜1969年)の編集盤の決定盤。

 キャッチーなシングル曲とクールでモンドなインスト曲と未発表曲がバランス良く選曲されています。できれば録音時期、チャート記録などのデータがもっと欲しかった。

 流行に合わせた曲を作るのが上手い職人バンドですが、この時期の例えばMOVEやPINK FLOYDとかと比べると,ドラッグでストーンしているよりはちょっとハイになったという程度でしょうか。「LSDが混ざっているケーキと紅茶を飲んだらこんな曲できました」てな感じでしょうか。お行儀とセンスの良さを感じてしまいます。

 また、彼らの歩みを思うと器用すぎて,どこか営業バンドの臭いがしてしまいます。日本のGSでいうとスパイダースあたりの存在に近いのではないでしょうか。

 オリジナル曲ではドラマのマイク・ハグがメインソングライタなのは意外でした。(1998/06/10)



MIGHTY GARVEY MIGHTY GARVEY / MANFRED MANN

 2003年に入ってMANFRED MANNのオリジナルアルバムが個別にCD化されてますが、そのうちの一枚。本作は英サイケ・ポップの名盤の一つとされていたので、収録曲の大半は編集盤CD「THE ASCENT OF MANN」にも収録されてるとはいえ、待望のCD化。モノとステレオの両方が収録されている。

 「MIGHTY QUINN」と「HA! HA! SAID THE CLOWN」というヒット曲をフューチャーし、「HAPPY FAMILY」という同じ名前ながら実際には異なる曲が最初と最後と中間に出て来るという、ちょっとコンセプトアルバム風の作り。ただ録音時期がバラバラで、実際には「MIGHTY QUINN」の英1位というシングルヒットという事態を迎えて、ストックされていた音源をまとめた急造アルバムらしい。そういえばジャケットもひどく安っぽい。

 ただ、前述のヒット曲以外はすべてオリジナルで、ほとんどMIKE D'ABOとMIKE HUGGが作っている。ノベルティな「HAPPY FAMILY」は、3曲とも必ず副題についているGARVEYの名前がEDDIE "FINGERS" GARVEY→ED. GARVEY→EDWIN O'GARVEYと、微妙に異なるのがおかしい。最初のはビートグループのライブを模しており、中間はジャズクラブのピアノトリオ風、最後はパブでの大合唱という感じ。

 それ以外の曲は、メロトロンを多用し、幻想的なメロディーを持つ曲が多い。それらはMIKE D'ABOのコミカルっぽくもあるボーカルにより、ポップでコマーシャルな出来映えになっている。その中では特に「IT'S SO EASY FALLING 」「EACH AND EVERY DAY」「CUBIST TOWN」がキャッチー。(2003/02/16)



MANFRED MANN CHAPTER THREE MANFRED MANN CHAPTER THREE

 グループとしてのMANFRED MANN解散後にMANFRED MANNとMIKE HUGGが中心になり、ジャズ路線を本格的に推し進めるべく結成したCHAPTER THREEの1作目。

 2作目がキーフのジャケットで有名ですが、FONTANA時代のMANFRED MANNのメイン・ソングライターであるMIKE HUGGがいるので、特に1作目はサイケ・ポップの残滓があるかと思い購入。収録曲中「SOMETIMES」「AIN'T IT SAD」はMANFRED MANNの「UP THE JUNCTION」あたりの影がちらつく。が、素っ気無くあっという間に終わってしまう。「WHERE AM I GOING」も短いながら、軽くジャジーでメランコリック。あと「ONE WAY GLASS」が比較的明るめな展開。

 しかし、このアルバムの大半を占めるのはジャズ・ロック路線で、ブラス・ロック風味も強い。ややねちっこいリフに暗雲垂れ込めるようなホーンセクションの波状攻撃がエグみを感じさせる。MANFRED MANN時代(の一部)にあったクールさやグルーヴ感よりも、VERTIGOレーベルらしく怪しげでアンダーグラウンドな匂いが濃厚。MIKE HUGGによるボーカルもそれらムードに拍車をかけている。コマーシャルなグループとしてMANFRED MANNに親しんだ人には拒否反応があったことと思います。(2004/11/07)



AUTOGRAPH OF TIME AUTOGRAPH OF TIME / MARC BRIERLEY

 1966年〜1970年にディスコグラフィーがあるレアなアシッド・フォーク・シンガーの2枚組全曲集。1枚目に1968年と1969年にCBSから発表された2枚のアルバム全曲。2枚目にシングルのみの曲と1966年にTRANSATLANTICから出たEP収録曲を収録。音質も上々で嬉しいCD化です。

 1枚目前半、1968年の「WELCOME TO THE CITADEL」部分は、気高いホーンや切り込むようなストリングスのアレンジも華やかなサイケ・ポップ調。スウィンギング・ロンドンの強い影響下にある作品集で、オリジナル盤は異常な高値というのも納得の、完成度の高さ。ただ、やはりジャズのミュージシャンをバックにつけたフォークシンガーの作品。ひんやりとした歌い方にクールなバックの演奏には、ロック/ポップ作品としては少々よそよそしさも感じます。でも逸品であることは確かです。そんな中では「HOLD ON, HOLD ON...」は最初のシングルらしく比較的ポピュラリティがある曲。

 1枚目後半、1969年の「HELLO」は前作よりは明るめの曲が多く、ストリングスやフルートのアレンジも自然に。SSW的佇まい且つ、ややレイドバックな感覚もあるが、彼の訥々としてひんやりした歌い方は変わらず。異色にボサな「LOOKIN' AROUND THE ROOM」も印象的。

 2枚目のシングル曲では、まず1970年の「BE MY BROTHER」は「HELLO」路線で、アシッド臭は殆ど抜けている。1969年の「STAY A LITTLE LONGER MERRY ANN」はほんのり室内楽なムード。そのB面にあたる続く「FLAXEN HAIR」は夢幻度がより高い佳作。残りの1966年EP収録曲はシンプルな弾き語りフォーク作品。これだけでも彼自身の個性が充分に味わえる。(2005/04/17)



LOVE IN A MIST LOVE IN A MIST / MARIANNE FAITHFULL

 現在もねばり強く活躍を続ける彼女が、1967年に発表したアイドルシンガー時代最終作。女優業に活動をシフトしていった頃なので、本作品は殆どプロモーションされずに埋もれていた作品。私もCD化されるまで存在を知りませんでした。確かにジャケットも派手なシャツを着ているのに白黒写真という地味さで、裏ジャケも表と同じ写真、情報量も少なく、やる気が感じられない。しかし何故エルビスのネクタイをつけているのか。

 彼女の声は不安定なビブラートが特徴、修道院卒という育ちの良さが一発で判る声です。STONES絡みのスキャンダルに見回れはじめた頃の作品集ですが、お澄まし顔で歌っていそうです。このお上品な声で音質も割とクリアなせいか、スウィンギング・ロンドンの喧噪のまっただ中にいた割には、全体的にはフォーキーな印象。DONOVANのカバーが3曲もあるし。

 収録曲の中では彼女のヒットシングルでもある「THIS LITTLE BIRD」、ライナーを書いた小松崎氏もお気に入りのアシッドフォークな「COUNTING」、TWICE AS MUCHも取り上げた「ウエストサイド物語」の挿入歌「I HAVE A LOVE」、KINKSの「ROSIE WON'T YOU PLEASE COME HOME」のカバー「ROSIE,ROSIE」がお気に入り。(2002/04/07)



I SEE THE RAIN THE CBS YEARS I SEE THE RAIN THE CBS YEARS / THE MARMALADE

 BEATLESの「OB-LA-DI, OB-LA-DA」をカバーして全英1位になったことで知られるグループ。それ以外にもイギリス本国ではポップなヒット曲を多発しており、ソフトロック界からも再評価されている。これは1969年まで在籍したCBS時代の未発表曲も含むコンプリート盤で、以前はSEQUELから出ていたCDをジャケだけ変えてSANCTUARYから2002年に出し直した物。

 発表順に収録されており、1曲目はデビューシングルの「IT'S ALL LEADING UP TO SATURDAY NIGHT」で、まだビートグループの影をひきづっているが、既にコーラスワークは目立つ。5曲目で3枚目のシングル「I SEE THE RAIN」はメンバーによるオリジナルで、STATUS QUOも思わせる鋭角なギター・リフとコーラスが両立している曲。このCDのタイトルになったのも納得の仕上がり。そのB面だった6曲目「LAUGHING MAN」も同傾向。次のシングルでもある7曲目「MAN IN THE SHOP」もオリジナルで、テープの逆回転、ささやくようなボーカル、ホーンやストリングス類のアレンジが実にサイケ・ポップな仕上がり。そのB面だった8曲目「CRY(THE SHOOB DORORIE SONG)」は途中オールディーズ風のコーラスが入るがこれも佳作。

 サイケなオリジナル曲のシングル2枚が売れなかったせいか、これ以降はカバーや職業作曲家の書き下ろしが中心になる。それまではガレージぽさを残していたが、ポップな楽曲と演奏が多くなり、なんだか芸能界臭いバンドになってしまう。9曲目の「LOVIN' THINGS」は5枚目のシングルで、LOVE AFFAIRの「THE EVERLASTING LOVE」によく似たメロディアスかつ軽快な曲で、彼らの初ヒット曲。次のシングルでもある11曲目「WAIT FOR ME MARY-ANNE」も同傾向。シングルのヒットにあわせて急造したというアルバムの収録曲では「SUMMER IN THE CITY」「I SHALL BE RELEASED」といったされていた有名曲のカバーはいかにもやっつけ仕事な印象。メンバーのオリジナルである「CHAINS」「MR LION」はまあまあの出来。

 その後は件の「OB-LA-DI, OB-LA-DA」、TONY MACAULAY作品「BABY MAKE IT SOON」といったヒット曲が続く。23曲目「BUTTERFLY」はBEE GEESがオーストラリア時代に録音した曲のカバーだが、これは瑞々しくも美しく素晴らしい出来。「OB-LA-DI, OB-LA-DA」は1位になったのに、この「BUTTERFLY」がヒットしなかったなんて、信じがたい。(2003/01/05)



REFLECTIONS OF THE MARMALADE REFLECTIONS OF THE MARMALADE / THE MARMALADE

 1970年発表のDECCA移籍第一弾アルバム。これは2006年に出た紙ジャケCDでヒット曲「REFLECTIONS OF MY LIFE」をフューチャーしたアルバム本体と、シングル曲など9曲のボートラから構成。

 これ以前にCBSでBEATLESの「OB-LA-DI, OB-LA-DA」をカバーヒット(英1位)させてましたが、DECCAとの契約では自らの作品に関する決定権を握ったとのこと。しかもその体制でカバーでも職業作曲家の書き下ろしでもない彼らオリジナルの「REFLECTIONS OF MY LIFE」「RAINBOW」といったヒット曲を連発するなど、まさに面目躍如。ここではメンバーのJUNIOR CAMPBELLが殆んどの作曲、アレンジ、プロデュースと大活躍しています。もっとも彼はこのアルバムの後脱退してますが。

 で、内容はというと、基調はHONEYBUS一派のような、ポップかつ叙情的なメロディをウエストコースト的コーラスたっぷりに、時に土臭く、時にフォーキーに演奏するスタイル。70年代前半ぐらいの、アメリカ音楽に憧憬するイギリスのグループやアーティストが好きな人なら必聴でしょう。あとはJUNIOR CAMPBELLによる、野心的なストリングスアレンジがやや目立ちます。ストリングスが厚めなBAD FINGERに聴こえる場面も。唯一ジャケットの雰囲気に合う、アシッドなサイケ・ポップである「KALEIDOSCOPE」が浮いて聴こえます。(2006/09/03)



POST CARD POST CARD / MARY HOPKIN

 BEATLESの作ったAPPLEレーベルの歌姫、「悲しき天使」の世界的ヒットで有名な彼女の1969年発表になるファースト。これは1991年に出たCDですが、TONY VISCONTIプロデュースのセカンドともども現在は入手難かもしれません。中古盤屋やネットオークションで高値をつけられていると思いますが、ほんとAPPLEレーベルの作品には困った物です。

 収録曲は大まかに言って、彼女を見いだしたPAUL McCARTNEYの趣味と思われるスタンダードな曲と、フォーキーな曲の2つの路線があります。フォーク路線では、彼女のルーツであるウェールズ語で歌うトラディショナルの5曲目「Y BLODYN GWYN」が白眉。ハープの調べと彼女のウェールズ語の響きが、まるで当地の森で朝もやに包まれているような気分にさせられます。DONOVANが提供した3曲も良い。その他14曲目「THE GAME」は珍しいGEORGE MARTIN御大による書き下ろし。3拍子で奇妙なコード進行だけど、リコーダの響きが美しい曲。

 スタンダード路線は映画音楽ものが多いけどあまり印象に残らない。ジャジーな曲は、折り目正しい歌い方をする彼女には合わない気もします。その中では4曲目「LOVE IS THE SWEETEST THING」はオールド・タイミーなアレンジがまるでBEATLESの「HONEY PIE」を思わせる雰囲気。なんとなくトロピカルな6曲目「THE HONEYMOON SONG」やNILSSON作の7曲目「THE PUPPY SONG」あたりは純粋なポップス。シャンソン風の13曲目「PRINCE EN AVIGNON」も悪くない。11曲目「YOUNG LOVE」はマイク・コットン・バンドがバックを務めたとのことですが、後にKINKSのバックをやるマイク・コットンと同一人物なのでしょうか。

 ボーナストラックで「THOSE WERE THE DAYS」のイタリア語、スペイン語バージョンが入ってますが、残りのドイツ語、フランス語、ヘブライ語バージョンも一緒に収録して欲しかった。(2002/12/01)



EARTH SONG/OCEAN SONG EARTH SONG/OCEAN SONG / MARY HOPKIN

 彼女のアップル・レコード2作目。1992年にCD化され、最近は見かけなかったのですが、いつの間にか再プレスされていたようです。前作はPAUL McCARTNEY庇護下のもと、DONOVANの書き下ろしフォークもあれば古いポピュラー・ミュージックのカバーやミュージカル挿入歌もあり、いかにも雑然としていたのですが、本作は彼女本来の嗜好によるフォーキーなアルバム。前作に比べればやはり地味ですが、ブリティッシュ・フォーク好きな人に受けそうな作品集。

 1971年発表ということは、ヒットチャート上での活躍にはもう一区切りついていて、アップルはBEATLES解散後ですっかり主体性をなくしていた頃だったので、彼女にとっては制約なく好きな事ができた、という事でしょうか。TONY VISCONTIプロデュースで、お得意のエフェクトかけたようなやや不自然なストリングスも随所にありますが、MARYの歌声をけして邪魔はせず、曲に彩りを添えています。VISCONTI人脈と思われるDAVE COUSINSやDANNY THOMPSONといったトラッド系人脈も参加。

 1曲目「INTERNATIONAL」はGALLAGHER&LYLE作品で、彼らが在籍したMcGUINNESS FLINTのファーストでもやっていた、地味だがゆったりと美しい作品。次の「THERE'S GOT TO BE MORE」DANNY THOMPSONのうなるベースが盛り上げる、珍しくエモーショナルな曲。同じ作者による「MARTHA」もアコギとベースとストリングスがせめぎあう。一転して穏やかな「STREET OF LONDON」、CAT STEVENS作品で折り目正しい室内楽風「THE WIND」と続く。彼女にとってアップル最後のシングルとなった「WATER,PAPER & CLAY」は合唱歌のようだ。アルバムタイトルになった「EARTH SONG」「OCEAN SONG」はしんみりとした曲。最終曲「OCEAN SONG」のコーダ部分のコーラスが印象的。(2004/02/01)



MIKE D'ABO COLLECTION VOL.1 MIKE D'ABO COLLECTION VOL.1 - 'HANDBAGS & GLADRAGS' / MIKE D'ABO

 MANFRED MANNの2代目ボーカルとして知られる彼の、RPMレコードから出たコレクション第一巻。これは同レコードから出ていたPAUL JONESコレクションと同様のシリーズらしい。内容はファーストソロアルバム「D'ABO」と、その頭にMANFRED MANN以前に在籍していたBAND OF ANGELSの公式音源(コンプリートではない)、1969-1970年のソロで出したシングル盤をプラスした形のCD。

 BAND OF ANGELSでは彼はキーボード、サイドボーカル担当で、メインボーカリストではなかったのは意外。デビュー曲「ME」から彼の作曲によるもので、その後の秀逸なソングライターの最初にレコード化されたこの曲は、LITTLE RICHARDの「LUCILLE」のコピーもどき。最初の2枚のシングルは007等で有名なJOHN BARRYがプロデュースですが、音を聴く限りまさに1964年らしいビートグループ。レコードではメンバー中彼だけ演奏し、あとはスタジオ・ミュージシャンだったそうで、バックコーラスでたまに彼らしい声が聞こえます。

 その後のPICCADILLY時代は2枚のシングルを発表し、ともにB面だったMIKE D'ABO作曲の2曲が収録されていますが、中では「(ACCEPT MY)IMAGINATION」はR&Bな中にも彼らしいブリッジのメロディーが映える佳作。

 IMMEDIATEから出た「SEE THE LITTLE PEOPLE」、BELLから出た「MISS ME IN THE MORNING」ともに彼の声質にぴったりで、小粋なポップソング。未発表曲「BECAUSE YOU ARE」はゆったりとしたシャッフル調の弾き語り風。

 ファーストソロアルバム「D'ABO」では、MANFRED MANNの延長ともいえるポップスター路線と彼本来の資質と思われるシンガー・ソングライター路線の両方のスタイルを試しているようです。それはBELLから出た「MISS ME IN THE MORNING」のシングルのカップリングにもいえますが。

 A面にあたる曲ではでは女声コーラスも交えてファンキーな「LET IT ROAR」「WALK A MILLION MILES」、ソウルバラード風な「AS LONG AS I HAVE LOVING」と、いきなり黒っぽいのが3連発で少々驚きます。このあたりはポップスターを装ったのかもしれませんが、その後は彼らしいメロディーの曲が続く。COLIN BLUNSTONEが歌った「MARY,WARM MY BED」もここではアップテンポなカッティングが印象的。LONG JOHN BALDRYに送った「THE LADDER」も彼らしいメロディーでFOUR SEASONばりに盛り上がる曲。

 B面にあたる部分では一転して弾き語りスタイル。その後のソロ作品が好きな人にはこちらの方が気に入ると思います。内省的な「MARIA,MARIA」で始まり、TONY MACAULAYとの共作「WOMAN IN MY LIFE」(出来はいまいち凡庸)、カントリー風味な「CLANCY」、ともに後半盛り上がる「CALIFORNIA LINE」「OH! WHAT A DAY」、彼の代表曲「HANDBAGS AND GLADRAGS」で〆。

 バックにはCHRIS SPEDDINGやROY BABBINGTONやJOHN MARSHALLなどジャズロック系の人もいるのは意外。(2002/01/14)



DOWN AT RACHEL'S PLACE DOWN AT RACHEL'S PLACE / MIKE D'ABO

 MANFRED MANNの2代目ボーカリストにして、秀逸なメロディ・メーカーでもある彼のセカンド・ソロ。彼のピアノ弾き語りをベースに、彼らしい穏やかでまろやかなメロディの曲が続く。

 AFFINITYのメンバーがバックをつけているが、アレンジは出しゃばらずに適度。A&Mからのリリースも納得の、聴きやすいシンガー・ソングライター然な作品。夜中に自室でコーヒーを啜りながらリラックスしているときに合う一枚。ジャケットのイラストも良い。当時、MANFRED MANNはEARTH BANDでプログレ/ハードロック的な展開をしていたのとは対照的です。

 収録曲では1曲目「RACHEL'S PLACE」が最もポップでシングル向きな曲。ROD STEWARTに送った曲のセルフ・カバー、6曲目「LITTLE MISS UNDERSTOOD」も本盤のハイライトの一つ。その他は、ディキシー調の7曲目「SALVATION SONG」や珍しくアレンジに凝った8曲目「BATTLE FIELD」以外はシンガー・ソングライター風。特に2曲目「BELINDA」の後半のストリングスは当時のELTON JOHNを思わせるし、3曲目「POOR MAN'S SON」や5曲目「MY LIFE(IS STARTING FROM TODAY)」の出だしあたりはJAMES TAYLORのようです。(2001/12/31)



WITH WOMAN IN MIND WITH WOMAN IN MIND / THE MINDBENDERS

 「A GROOVY KIND OF LOVE」のヒットや10ccのERIC STEWARTがいた事で知られるグループ。これは1967年4月に出たセカンドにして最終アルバムに末期のシングル曲10曲をプラスし、2009年に出たSHM-CD。10ccが好きな人には研究対象として外せなさそうな1枚ですが、私はアルバム末期のシングル曲はサイケ・ポップだという評判を聞いて購入。

 アルバム本編の方は弦楽器管楽器や余計なエフェクトが入らない、すっぴんなビート・バンドの音。SHM-CDのせいかクリアな音質で、彼らのコンパクトながら良くまとまった演奏が結構楽しめます。GRAHAM GOULDMAN提供の「SCHOOLGIRL」、ZOMBIESのROD ARGENTが提供した「I WANT HER SHE WANT ME」、ERIC STEWART作の「THE MORNING AFTER」あたりが聴きどころでしょうが、「SHOTGUN」「MYSTERY TRAIN」「COOL JERK」といったR&B寄りカバーの演奏もそれなりに興味深い。

 ボーナストラック部分は最後の5枚のシングル曲を発表順に収録なので、サイケ・ポップに寄り道しながらの10ccへの過程が見えて来て面白い。

 最初は「A GROOVY KIND OF LOVE」と同じ作者の曲や、その後脱退するBOB LANGのマージー・ビート風曲があったりしますが、ドラマーが交代しJOHN PAUL JONESをアレンジに迎えた「THE LETTER」(BOXTOPSのカバー)から弦のアレンジやボーカルのエフェクトというサイケ要素が登場。そのB面にしてERIC作の「MY NEW DAY AND AGE」も一気にサイケ・モード。シングル用として再録「SCHOOLGIRL」は若干ペースを落とし切り込む弦楽器とフィードバックするギターを入れたサイケ・バージョン。そのB面曲「COMING BACK」は曲名通りフェードアウトしそうで終わらない冗談のようなアレンジが時代の気分を感じさせます。

 次の最後から2番目のシングル「BLESSED ARE THE LONELY」からBASSの音色がRICKENBACKERぽくなり、GRAHAM GOULDMANはラストシングルからMINDBENDERSに参加したとありますが、その前のシングルから演奏に参加しているように思えます。そのラストシングルはA面GRAHAM作、B面ERIC作という、10ccな組み合わせ。A面は「UNCLE JOE, THE ICE CREAM MAN」というタイトルからしてサイケ・ポップな逸品。B面「THE MAN WHO LOVED TREES」は若干レイド・バックな作風で少々意外。(2009/04/19)



MEN FROM THE MINISTRY/MIDSUMMER NIGHTS DREAMING MEN FROM THE MINISTRY/MIDSUMMER NIGHTS DREAMING / THE MINISTRY OF SOUND

 THE IVY LEAGUE〜THE FLOWER POT MENのJOHN CARTERが絡んだスタジオ・プロジェクト的なグループ。1966年と1968年にそれぞれ発表したLP+ボーナストラックからなる2枚組、という体裁で、ライナーの出だしもそんなことが書いてあります。2NDの方はインナーにストーリーが書かれたコンセプト風アルバムだとも。ですが、こんなアルバムが出てたなんて、どの文献やサイトにも情報が無いし、LPジャケットも「現在の視点から見た」当時風のデザインぽいし、怪しいと思ったら、アルバムの存在については、作り話だよとライナーの途中でバラしています。ご丁寧にライナーには「裏ジャケ」の写真まであります。

 実際にこの名義で発売されたレコードはシングル1枚のみ。あとは発売されなかったシングル1枚や別名義のシングル、残されたスタジオ音源からこのCDは構成されています。恐らく1966〜1967年にかけての録音と思われます。何曲かは他のコンピ盤で紹介済み。

 1枚目は架空のファースト「MEN FROM THE MINISTRY」とボーナス・トラック。こちらの方はTHE IVY LEAGUEぽい、ハーモニー・ポップonビート・バンドな楽曲が集められている。BEACH BOYSやFOUR SEASONSの影もちらつきます。何曲かはR&B/ブルースぽいがバリエーションの範囲。JOHN CARTER以外のメンバーが作った楽曲も多いですが、どれも水準をクリアした出来。

 2枚目「MIDSUMMER NIGHTS DREAMING」の方は、1枚目がTHE IVY LEAGUEぽいのに対してTHE FLOWER POT MEN風というか、サイケ・ポップ作品集という趣きです。こちらは中期BEATLESの影か。2枚目も充分に水準クリアの楽曲が並ぶが、実際にリリースされたシングル曲「WHITE COLLAR WORKER」「BACK SEAT DRIVER」がやはり印象的。キャンセルになったセカンド・シングル曲「TIME AND MOTION MAN」はEPIDODE SIXが取り上げてましたが、メロディはだいぶ後のDURAN DURANの「HUNGRY LIKE THE WOLF」と少し似てます。

 売り方にジョークが過ぎるとも思いますが、内容は結構楽しめました。ちなみに私が購入した盤はCDラベル面の記述と実際の内容が1枚目と2枚目で入れ替わってました。(2005/10/23)



YOU CAN'T BE SERIOUS YOU CAN'T BE SERIOUS / THE MIRAGE

 1965年から1969年にかけての音源集。全シングル曲が収録されていないのは残念だが、アセテート盤からの曲やデモ、BBCでのライブの他、後身のPORTOBELLO EXPLOSIONの曲もあり、アルバムを出さなかったグループなのに24曲も収録されている。

 1曲目の「THE WEDDING OF RAMONA BLAIR」は冒頭のアコーディオンが印象的で、なよっとしてるが浮遊感あるメロディーはIDLE RACEを思わせる。テープ逆回転も効果的。これが彼等の代表曲なのでしょうか。「LAZY MAN」はデモバージョンの方がBEATLESの「RAIN」をモロに意識したような演奏で魅力的。そのBEATLESのカバー4曲目「TOMMOROW NEVER KNOWS」はまあ原曲のイメージを損なわない程度のカバーですが、コーダ部分のコーラスがサイケ。

 1965年の曲はマージービートの香りがするし、R&B風の曲もあり、いまいち特徴がつかめないが、全体的にコーラスにも熱心。その他印象に残るのは9曲目「CAN YOU HEAR ME」。唯一のDEE MURRAY作でBEACH BOYSの影も感じる素直なバラード。18曲目「THE WORLD GOES ON AROUND YOU」、21曲目「SEE THE RAIN」もキャッチー。19曲目「LONELY HIGHWAY」は珍しくウィズ・ストリングスな曲。

 PORTOBELLO EXPLOSIONの「WE CAN FLY」は約30年後にコンピ盤のタイトルになるとは想像つかなかったであろう。これも浮遊感ある曲。B面の「HOT SMOKE & SASAFRASS」はTHE MOOCHEのバージョンが同名のコンピ盤に入ってましたが、PORTOBELLO EXPLOSIONのはTHE MOOCHEほどブルージーじゃないが、そつない演奏で、他の曲に比べれば極端にハードな曲。

 バンド内のメインソングライターはドラムのDAVID HYNESですが、メンバーの中で一番出世したのはDEE MURRAY。どこかで聞いたことがある名前だなと思ったら、その後SPENCER DAVIS GROUPを経て全盛期のELTON JOHN BANDのベーシストになるのでした。あのAL KOOPERもDEE MURRAYとバンド組みたくて一時期イギリスに渡った事もあります。(2003/04/27)



TOMORROW NEVER KNOWS - SINGLES & LOST SESSIONS 1966-1968 TOMORROW NEVER KNOWS - SINGLES & LOST SESSIONS 1966-1968 / THE MIRAGE

 上のCDはブートだが、こちらはRPMから2006年に出た正規盤。1966年から1968年にかけての音源集だが1曲だけ1965年のデモがある。残念なのは、未発表音源を多く含みながらも、1965年にCBSから出たシングル盤2枚分と、1968-1969年にPAGE ONEから出たシングル盤2枚分の音源が未収録なこと。これもいつかは聴いてみたい所です。

 詳細は上のレビューを見て欲しいのですが、このCDでもややアトランダムですが、ビートバンドから、このCDのタイトルにもなっているように、1966-1967年ごろのBEATLESのフォロワー的な(ジョンに似せた声がご愛嬌)楽曲を含みつつ、ハーモニー・コーラスを生かしたやや儚げなサイケ・ポップを完成させるに至る様子がうかがい知れます。何曲かで聴けるふにゃっとしたオルガンが良い。今回はじめて聴いた中ではシャッフル調の「HOW'S YOUR PA」が好み。結構良いメロディーを書ける人達です。(2006/10/29)



LIVE AT THE BBC 1967-1970 LIVE AT THE BBC 1967-1970 / THE MOODY BLUES

 2007年に出た彼らのBBCライブ集。著名グループですが、ライブ・バンドのイメージが無いので、遅めの発表となったのでしょうか。1967-1970とありますが、2枚組全41曲のうち1970年のは1曲のみ。JUSTIN HAYWARD、JOHN LODGE加入後の60年代放送分を集めたということですね。

 基本的にレコードをなぞった演奏で、オケにあわせているのも多いと思います。曲目のダブりも多く、例の「サテンの夜」など、特にシングルになった曲は大体複数回収録されてます。

 とはいえ、実際に演奏している曲では思ったよりしっかりしているし、JUSTIN HAYWARDのジェントリーな声にMIKE PINDERのメロトロンをじっくり味わうことが出来ます。

 サイケ・ポップ的には「サテンの夜」直前のシングル曲「FLY ME HIGH」「LOVE AND BEAUTY」「LEAVE THIS MAN ALONE」が冒頭に収められているのは嬉しい。「DAYS OF FUTURE PASSED」収録曲のオーケストラ抜き演奏も興味深い。

 個人的には10代後半の頃大好きだったグループで、「THE PRESENT」までのアルバムはすべてLPで持っていたりなんかします。本盤で「サテンの夜」以降の曲を聴くと懐かしさと恥ずかしさが入り混じった気持ちになってきます。なんでだかです。 (2007/09/23)



MORTIMER MORTIMER

 米出身ながらもAPPLEと契約し、録音を残すグループ。このCDはAPPLE契約前の1967年にPHILIPSから出ていたアルバムと当時のシングル曲、未発表曲2つを収録したもの。

 内容は、当時メンバー全員が十代だったのも納得の瑞々しさに溢れています。ひんやりとしたコーラスとアコギ中心の演奏。APPLE契約アーティストに特有な?青く暗くメランコリックな雰囲気に、CURT BOETTCHER関連作品のような抒情性も感じます。

 1968年に出たシングル曲もA面曲は同路線。2つある未発表曲は1967-1968年録音とクレジットされてますが、もっと後に録られたようにも聴こえます。1つめはちょっとTRADER HORNE風。2つめはエスニックで荘厳なコーラスが異色。

 これを聴くにつけ、未発表のままであるAPPLEでのレコーディング分をますます聴きたくなる、罪作りな一枚。PAULから贈られたという「TWO OF US」の原曲「ON OUR WAY HOME」を含むというそのAPPLEでのアルバム、是非CD化してほしいところです。 「AN APPLE A DAY MORE POP PSYCH SOUNDS FROM THE APPLE ERA 1967-1969」 に収録されていた1曲「PEOPLE WHO ARE DIFFERENT」はそのときの録音と思われます。(2007/01/28)



THE MOVE THE MOVE

 ROY WOOD率いるMOVEの1ST。才能がありすぎる為に結果としてとっ散らかった仕事ばかりしているROY WOODが、最も職業的に仕事をこなしていたのがこの頃でしょう。

 「SGT.PEPPER'S」の影響を受けた作品の一つとして有名ですが、それよりもROY WOODの多才さが感じられる作品です。疾走感あふれるソフトロックファンにも受け入れられそうなメロディアスな曲をAB面の冒頭に持ってきたかと思えば、粗野なロカビリー調の曲あり、お上品なストリングスを配した室内楽的な曲あり、既発のシングル曲もあり、「MAGICAL MYSTERY TOUR」を後のELO風に料理したラスト曲まで、ゴッタ煮な構成。お腹一杯堪能できます。

 「FIRE BRIGADE」の上質なメロディーに覆い被さってくるベタなギターリフなど、いくつかの曲で感じられる下世話さは後のソロ時代を想起させます。キャリア上最初のアルバムで既に強烈な個性を見せてくれるのはさすがです。

 B面頭だった「USELESS INFORMATION」の出だしは、ASSOCIATIONの「GOODBYE COLOMBUS」を思い出させます。また、ロカビリー調の「ZING WENT HE STRING OF MY HEART」はもともとミュージカル映画の挿入曲らしく、オムニバス映画「ザッツ・エンターテイメント」で子役時代のジュディ・ガーランドがこの曲をまったく異なるアレンジで歌ってます。

 私の持っているCDはリマスタリング盤です。でも、よく言えばスペクターサウンドばりに音圧の高い、悪く言えば音の分離の悪い、まるでAMラジオを聴いているような音質は相変わらずです。

 MOVEの編集盤はやたらありましたが、1990年頃に初CD化されるまでこのジャケットにはなかなかお目にかかれませんでした。最初見たとき編集盤がいかにおざなりなジャケットだったかを思い知ることになりました。BEATLESの設立したAPPLE社のデザインで有名なTHE FOOLが、MOVEのアルバムジャケットも担当したとのことですが、それが多分この1STだと思います。(1999/08/22)



SHAZAM "SHAZAM" / MOVE

 1970年に発表された彼ら2枚目のアルバム。私が持っているのは1998年に出た紙ジャケCD。ボーナス・トラックとしてEP「SOMETHING ELSE」として発表された分を含む、9曲のライブバージョンあり。

 アルバム本編ではA面部分ではロイ・ウッドのオリジナルでB面はカバーでまとめてますが、いずれもキャッチーなメロを、荒っぽくもハード・ロックな演奏に乗っけてます。力一杯のドラム、ゴリゴリなベース、むやみに長尺で変幻自在なアレンジ。ロイ・ウッドらしい過剰さに溢れた、とっ散らかったアルバムですが、部分部分としては才能のひらめきも随所に感じさせる作品。パワー・ポップの元祖としての評価もあるようですが、コミカルなジャケを含めチープでラウドなところは、スレイドなどのグラム・ロックも想起させます。

 その中では、「BEAUTIFUL DAUGHTER」のみは1STアルバムやシングル曲に近い、短くコンパクトな曲。1STアルバム最終曲をリアレンジした「CHERRY BLOSSOM CLINIC REVISITED」も前半部分は、サイケ・ポップとして聴ける。

 ライブのコーナーでは、フリークビート風でもある演奏を堪能できます。BYRDSやLOVEのカバーが意外。(2006/03/26)