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British Rock or Psyche Pop etc...
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SINGING THE SONG OF PAUL RYAN 1968-1969 SINGING THE SONG OF PAUL RYAN 1968-1969 / BARRY RYAN

 2005年にREV-OLAから出たCDだが、1968年のアルバム「BARRY RYAN SINGS PAUL RYAN」と1969年のアルバム「BARRY RYAN」の2in1に2曲のボーナストラック(未発表曲?)を足したもの。同時期のアルバム未収シングル曲が収録されていない。そのあたりのA面曲は 「THE BEST OF / PAUL AND BARRY RYAN」 に収録されています。

 PAUL AND BARRY RYANとして活躍した後に、兄PAULの書いた曲を歌う形で、BARRY RYANとしてソロになった最初の2枚のアルバムですが、ヒットした「ELOISE」と同路線の、ゴージャスなストリングス、ホーン類、女声コーラスを付けて、熱唱する曲が多い。正直どれも同じような曲に聴こえますが、R&Bをベースとした、シアトリカルでドラマチックな「分厚い」ポップ・ロックは70年代のQUEEN、SPARKS、COCKNEY REBELあたりの先駆けのようです。1968-1969年にしては新しいアプローチに思えます。

 また、コマーシャルというよりは汎ヨーロッパ的な暗さと憂いに満ちた楽曲は、ライナーでもよく引用されているようにSCOTT WALKER風でもあり、そこが、米ソフト・ロック/ハーモニー・ポップやAORと一線を画していると思います。(2007/01/07)



YELLOW SUBMARINE SONGTRACK YELLOW SUBMARINE SONGTRACK/THE BEATLES

 全曲リミックス&ディジタルリマスターが売りの、サウンドトラックならぬソングトラック盤。BBCライブやアンソロジーと同じように、初心者向けではなく、海賊盤以外にもう聴くものがない人のための救済盤とも言えます。

 アニメ映画「イエロー・サブマリン」ビデオ再発売に伴う関連商品でもありますが、あのサイケデリックを象徴するようなカラフルでピースフルな名作のビデオが長らく廃盤状態だったとは意外。BEATLESものの、複雑な権利関係を物語る一例だと思います。

 さて、本作の収録曲は映画で使用された曲という事で既存の「YELLOW SUBMARINE」よりもかなり曲数が増えてますが、オリジナルアルバム単位で聴いてきた私のような人間にとってはなんだか違和感があります。ラバーソウルの曲とサージェントの曲が混在しているとやっぱり変。彼らが急激に変化していった時期の前と後の作品が交互に出てくるからでしょう。でも実際には2年以内の時差しかないというのも驚きです。

 今回のリミックス&ディジタルリマスターで、全般的に左右に偏りがちだったボーカルが中央に来るようになって、SEも立体的になったと思います。その一方で既存バージョンも当時のありのままの音で、あれはあれでよかったんじゃないかとなんて思います。収録時間の問題がありますが、リミックスでの変化を確認するためにも既存バージョンを併録して欲しかったとこです。

 でも、ミックスの違い(リフの回数が違うとか、一節早くコーラスが入るとか、左右の位相が逆だとか)を探すとか、そういう楽しみ方しかできないのも何だか悲しいですね。ファン以外の人からみると滑稽にも見えるかもしれません。

 ジャケットは主役の潜水艦だけでなく、映画に出てくるカラフルでユニークなキャラクター達も登場させて欲しいとこです。メンバーやキャラクターをサージェントのジャケットのように並ばせるのも面白いと思います。(1999/09/26)



BEE GEES' 1ST BEE GEES' 1ST / BEE GEES

 その後息の長い活動をする有名グループの全世界デビュー盤。本作は、色んなアーティストからカバーされた「TO LOVE SOMEBODY」や「HOLIDAY」、「NEW YORK MINING DISASTER 1941」などのヒット曲が入ったアルバムで、「JIVE TALKIN'」でソウルフルに変身する以前の、「MELODY FAIR」や「MASSACHUSETTS」に代表される彼らのパブリック・イメージは本作で確立されてます。その一方で、当時のブリティッシュ・サイケの薫りがするアルバムとしても聴くことができます。

 ハープシコードに導かれる「TURN OF THE CENTURY」はアルバム先頭にふさわしい端正でキャッチーな曲。間奏でノイズが入りますが、ホーンセクションにストリングスなど、音を重ねすぎたせいかも知れません。「RED CHAIR,FADE AWAY」はMAGICAL MYSTERY TOURの頃のBEATLESを思わせます。「EVERY CHRISTIAN LION HEARTED MAN WILL SHOW YOU」はメロトロン入りの怪奇音楽風、「CRAISE FINTON KIRK ROYAL ACADEMY OF ARTS」は後のGIRBERD O'SULLIVANを思わせます。その他の曲でも「CUCUMBER CASTLE」や「I CLOSE MY EYES」など、管楽器の使い方に当時のイギリスらしさがあります。

 また、KLAUS VOORMANによる、MOODY BLUESの「DAYS OF FUTURE PASSED」やBEACH BOYSの「SMILY SMILE」を思わせるジャケットも愉しませてくれます。

 この当時は3兄弟だけでなく他人も含んだ5人組でしたが、モッズ風な「IN MY OWN TIME」は数少ないバンドを感じさせる曲。80年代にTHREE O'CLOCKがホーンセクションを入れてカバーしてました。

 次作からはサイケぽさは消えてます。まあ、流行りの音作りをしてみましたというとこでしょうか。本来彼らの本領は、当時の日本のGSにも悪影響を与えたといわれるほどの、泣きのメロディー作りの天才的な上手さにあると思います。本作でも「I CAN SEE NOBODY」などは大泣きしてます。メロディーとハーモニーを売り物にしているのに、ソフトロック界からあまり語られないのは、有名すぎるとか、芸能界臭いとか、そういう理由だけでなく、このあまりにもの湿っぽさが原因だと思います。

 蛇足ながら、私は本作をLPでも持っているのですが、80年代に地元のレコード屋で何故か売れ残っていたものでした。十代の頃は初期のBEE GEESやMOODY BLUESを好んで聴いていたので、現在本作をCDで聴くとその頃を思い出して赤面してしまうという、私のトラウマ盤でもあります。(2000/07/23)



NICOLA NICOLA / BERT JANSCH

 英トラッド/フォーク界の逸材にて、ギタリスツ・ギタリストである彼が、PENTANGLE結成前の1967年に発表したアルバム。基本的に彼の資質に忠実な弾き語りの曲が多い。しかし、これは本作のみの事らしいが、数曲ほどサイケ・ポップ風な曲があります。

 そのうちの1つ、「WOE IS LOVE MY DEAR」はKOOBASによるカバーが傑作コンピ「FADING YELLOW VOL.1」に収録されていましたが、オリジナルもフルートやピッコロ・トランペット(BEATLES「PENNY LANE」で使用されている甲高いあれ)をフューチャーした荘厳な作り。それに比較すると「LIFE DEPENDS ON LOVE」はちょっと俗っぽいが、これもオーケストラレイテッドされており、どちらもあの彼がギターを弾いていないという異色作。珍しくドラムとホーンが入る「A LITTLE SWEET SUNSHINE」はビックバンド風の、なかなかグルーヴィーな曲。それと同路線なのが「WISH MY BABY WAS HERE」で、若干ジャズ風のギターも聴かせる。

 それ以外は、インストでギターと弦楽器とフルートが絡むトラッド風「NICHOLA」以外は弾き語り。ANN BRIGGSと共作した「GO YOUR WAY MY LOVE」あたりが本来の聴きどころなのでしょうが、他の曲では割とブルース風な歌と演奏が多いのが個人的には意外でした。(2003/07/21)



FROM THE BOTTOM OF AN OLDFATHER CLOCK FROM THE BOTTOM OF AN OLDFATHER CLOCK / BILL FAY

 70年代初頭のDERAMレーベルに数枚のアルバムを残すシンガー・ソング・ライター。このCDは1966年から1970年にかけてのデモとアウトテイク集。1967年にもシングル1枚を発表しており、両面曲とも「PSYCHEDALIA」というコンピに収録されているが、ここには未収録。だが本作はデモと未発表曲集ながらもクオリティは高く、はっきり言って印象の薄い先のシングル曲よりこのCDの収録曲群の方が出来が良いように思える。

 フォーキーで、陰を感じる曲調、DENNY LANEにもひけをとらない?ひ弱なボーカルが特徴。その一方で端正なメロディーも随所にあり、「THE ROOM」「KATIE & ME」といったPAUL McCARTNEY風の曲も幾つかある。イギリスものが好きな人のツボを控えめながらついてくる作品集。また、ライナーによると「WARWICK TOWN」「MAXINE'S PARLOUR」「DORIS COMES TODAY」「JUST ANOTHER SONG」はHONEYBUSがバックをつとめているとのこと。(2004/05/22)



WOULD YOU BELIEVE WOULD YOU BELIEVE/BILLY NICHOLLS

 IMMEDIATEレーベルより1968年に発表が予定されていながらお蔵入りになっていた「幻のLP」のCD化。ごくわずかなプロモーション盤だけが市場に出回ったとかで、それはえらく高い値がつけられてるとの事です。

WOULD YOU BELIEVEの裏ジャケ  LPでジャケット裏に載るはずだった白黒の写真、公園で昼寝から目覚めたばかりのような眩しそうな彼のポートレートが本作をよく象徴していると思います。

 デビュー作らしい瑞々しいメロディーに、眠そうなボーカル、エコー感満載のコーラス、のっぺりとした音像と、実に「まったり」した音です。現在のソフトロック界から好評なのも頷けます。本来はこのコーナーでなく、ソフトロックで紹介しようと思ったほどです。ただレーベルからこちらにしてしまいました。

 ただし、タイトル曲はそのイメージから少し逸脱してると思います。プロデュースしたSMALL FACES色を感じます。唯一のオリジナル曲ではないし、STEVE MALLIOTのシャウトなコーラスも聞けます。

 シングル曲でもある「DAYTIME GIRL」は同じレーベルであるTWICE AS MUCHの「NIGHT TIME GIRL」のアンサー・ソングなのかもしれません。また、アルバムバージョンの「DAYTIME GIRL」のコーダなど、ビーチ・ボーイズの「SMILY SMILE」のようです。

 「GIRL FROM NEW YORK」のねちっこいギターはおそらくジミー・ペイジだと思います。そういえば、前述のTWICE AS MUCHの「NIGHT TIME GIRL」にも彼が参加しているようです。

 LPでは最終曲の予定だった「IT BRING ME DOWN」は「CAROLINE NO」の影を感じずにはいられない美しい小品。コーダは「CAROLINE NO」のようなSEではないが、「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」やPINK FLOYDの「BIKE」のようです。(1999/06/14)



CONTRASTS CONTRASTS / BLONDE ON BLONDE

 ディランの名盤から名前を取った、ウェールズ出身グループの1ST。ワイト島のフェスに出演したり、DOORSやJEFFERSON AIRPLANEの前座をしていたらしい。これは2001年にSANCTUARYから出たCDで、ジャケットは見開いた形のものに変更されている。

 1曲目は動静の”コントラスト”があるハードロック、2曲目はデビューシングルA面曲と同路線のシタール入り、その後はINCREDIBLE STRING BANDのカバー、チェンバロが印象的でかなりコマーシャルなサイケ・ポップ「GOOD BYE」、アコギとペットによるBEATLESの「ELEANOR RIGBY」もあったりして、バラけているようにも思えますが、アーシーで泥臭くもメロディアスでドラマチックな曲をやろうとしているのではと思われます。アート・ロック、ニュー・ロックといったタームも聴いていると頭をよぎります。

 などと思っていると、途中よりイメージが一変。PINK FLOYDの「グランチェスターの牧場」みたいな9曲目「REGENCY」以降のアルバム後半は、牧歌的かつフォーキーな路線。これもなかなかの出来です。「ISLAND ON AN ISLAND」のフルートが美しい。

 ボートラとしてデビューシングルAB面曲。シタールとタブラがたっぷり聴けるA面曲「ALL DAY, ALL NIGHT」も良いが、アシッドフォークなイントロから一転コマーシャルなメロディーが出てくるB面曲「COUNTRY LIFE」もサイケ・ポップとしては佳作。この曲は彼らのプロデューサーBURRY MURRAYと後にMUNGO JERRYのメンバーになるJOHN GODFREYの作で、アルバム曲の「GOOD BYE」も同コンビによる作品。(2006/11/19)



WE ARE EVER SO CLEAN WE ARE EVER SO CLEAN/BLOSSOM TOES

 YARDBIRDSも手がけたGIORGIO GOMELSKYが創設したマーマレードレーベル(ポリドール傘下)に2枚のアルバムを残しているグループ。これはファースト。セカンドの「IF ONLY FOR A MOMENT」とも日本盤CDが92年に発売されていたが最近は見かけません。セカンドは未聴ですが、このファーストは良質なブリティッシュサイケの傑作。

 1968年の作品ですがまず音質が良好でクリアなのには驚きます。のっけからテープの逆回転で始まり、どの曲もメロディー、ホーンアレンジとも良く練られてます。BEATLESでいうとSGT PEPPERS...よりもMAGICAL MISTERY TOURに近い印象。最終曲は収録曲のテープコラージュ。

 曲間に芝居調の小曲や台詞を入れてたり、コミカルな曲も多かったり、「テレグラム・チューズディ」「マーフィー夫人のセキセイインコ」なんていう曲名のつけ方にイギリス流のユーモアが感じられます。

 この傑作はプロデューサーであるGIORGIO GOMELSKYの力量によるところが多いと思われますが、メンバーの演奏力や作曲能力も確か。メインソングライタでもあるBRIAN GODDINGは素晴らしいメロディメイカーでもあると思います。彼はその後主にジャズロック関係を渡り歩く人ですが、本作でもブルース色の薄い乾いた音色のギタープレイが聴けます。

 JIM CREGANはLINDA LEWISと結婚して(後に離婚)長らくROD STEWARTのバックでギタリストを勤めてました。そのほか、RONIE LANE & SLIM CHANCEのメンバーになる人もいたそうです。(1999/07/31)



IF ONLY FOR A MOMENT IF ONLY FOR A MOMENT / BLOSSOM TOES

 1969年に発表された2作目のアルバム。1992年にも日本盤CDが出ていましたが、その時は評判を聞いてパスし、2006年に出た日本盤紙ジャケCDを購入しチャレンジしてみました。

 ファーストは、サイケ・ポップの金字塔とも言える作品でしたが、この2作目は同じレーベル、プロデューサーながらも一気に仕様変更。1969年当時は新しかったハード・ロック/プログレな方法論を徹底させた、堂々たるブリティッシュ・ロック、という印象です。

 まあ、覚悟して聴いたのですが、まずお見舞いされる1曲目冒頭のオドロオドロしさは、ファーストを期待する向きを一気に粉砕するに充分な衝撃です。ファーストにあったホーンやストリングスの装飾が無く、バンド自体による骨太な演奏。ティニー・ポッパー的なコマーシャルさもコミカルさもキレイに消えています。ボーカルも、コーラスワークがぐっと減り、搾り出すような歌い方。

 ハード・ロック的なリフ、持ち味の違う2人のギタリストによる絡み合いやツインリードがあったり、プログレのように畳み掛けるドラマチックな展開や長めの演奏時間が特徴的です。メロディー自体ははっきりしており、その為かさほどアンダーグラウンド臭が無いような気もします。

 最後の2曲、リッチー・ヘイブンスのカバー「JUST ABOVE MY HOBBY HOME HEAD」とオリジナル「WAIT A MINUTE」は渋くアーシーで、仕掛けの少ないストレートなアレンジなので、この部分が最も安心して聴くことが出来ました。

 「ストレインジ・デイズ」誌に載ったメンバーのインタビューでは、ファーストはスタジオのスタッフにいじくられた作品であり、本作こそが本来の自分達による作品との認識があるようです。(2006/03/05)



MOTHERLIGHT MOTHERLIGHT / BOBAK,JONS,MALONE

 ORANGE BICYCLE在籍中のWIL MALONEが、行きつけのスタジオMORGAN BLUE TOWNのスタッフ2人ANDY JONS(JOHNSが本来の綴りとのこと)MIKE BOBAKと組んで1970年(ライナーノーツによると1969年だが、裏ジャケでは1970年)に発表したアルバム。レア盤だったそうですが、CD化されました。

 ライブはやらずに、深夜とかのスタジオの空き時間を利用して録音したと思われるプロジェクト。3人ともその後長く業界に関わり続け、WIL MALONEはIRON MAIDENの1STをプロデュースし、ANDY JONSはTELEVISIONの1STをTOM VERLAINEと共同プロデュースしたそうな。

 「ユリシーズ」の一節からタイトルを取ったそうですが、音は割とポップなメロディーも転がっているが、ダウナーで、内向的で暗い抒情を感じます。

 頭の「MOTHERLIGHT」、それに続く「ON A MEADOW-LEA」でズブズブとインナートリップしているよう。一転して性急な「MONA LOSE」、ローリングするピアノが印象的な「WANNA MAKE A STAR,SAM」をはさみ、割とポップなメロディーから始まるがピアノとパイプオルガンの絡み合いが瞑想的な「HOUSE OF MANY WINDOWS」、轟音ギターと単調なコーラスがこれまた瞑想的な「CHANT」、少々レイドバックしたような「BURNING THE WEED」、それまでの曲がフラッシュバックする「LENS」でしめている。

 ジャケットも独特の雰囲気を表していて、音と符合していると思います。アーティスティックであるが絶対に売れなかったであろう作品。THE ORANGE BICYCLEがいかに売れ線狙いだったかが判ります。風邪でぼうっとしているときに本盤をかけたのでが、なかなか気持ち良く聴けました。(2001/11/03)



SPECTRAL NETHER STREET SPECTRAL NETHER STREET / BODAST

 YESのSTEVE HOWEとDEEP PURPLEの母体になったグループ出身のリズムセクション達によって結成されたグループ。結局活動中はレコードを残さずに1年余りほどで解散した彼らの(たぶん)全音源集。STEVE HOWEとはTOMORROW時代の僚友KEITH WESTがプロデュースしたLP用の録音(1969年)と、一時期CANTOと名前を変えてた頃の録音(1968年)から構成されてます。

 KEITH WESTやTOMORROWのイメージからサイケ・ポップを期待するとちょっと落胆します。サイケ度はゼロ。コンパクトでソリッドなリズムセクションにSTEVE HOWEの金属的で細かいギターフレーズが乗っかる。ボーカリストの声質から見てもハードロックに分類した方が良いかもしれません。TOMORROWでは少々浮いていて、つんのめり気味だったSTEVE HOWEのギターもこちらの方がすわりが良さそうです。なんとなくJIMMY PAGEを思わせるリフも随所に出てきます。

 ではDEEPなSTEVE HOWEファン、ハードロック好きにしか価値が無いかというとそうでもなくて、艶やかな歌メロとHOWEの弾きまくりギターソロが交互に繰り返される「NETHER STREET」、サイケ・ポップ好きにも許容されそうな「MR JONES」、TOMORROWの叙情的なとこを引き継いだような「BEYOND WINTER」、CANTO分ではアセテート盤から収録された「COME OVER STRANGER」がヤケクソなポップさと後半のSTEVEのギターによる盛り上がりが聴きもの。

 ライナーノーツでも「DO YOU REMEMBER」は1969年じゃなくて1977年の音のように聞こえるとありますが、キーボードレスでストレートな音は精悍でスピーディな感じもします。やってた事は当時としては先進だったかもしれません。(2000/09/17)



GORILLA GORILLA / BONZO DOG DOO DAH BAND

 BEATLESのMAGICAL MYSTERY TOURへの出演、BEATLESのPAULがプロデュースした「I'M THE URBAN SPACEMAN」のヒット、モンティ・パイソンとの関連で有名な、60年代イギリスが生んだ異端グループの1ST。このあとバンド名から「DOO DAH」が抜けるが、これは「ダダ」イズムのことだったそうで、2ND以降に比べるとこのアルバムではトラッド・ジャズ、ミュージックホール、冗談音楽ぽい要素が自由自在に切り貼りされてます。この編集感覚はSOFT MACHINEの1STにも似ています。(もちろんSOFT MACHINEはここまでトラディショナルでないですが)

 このグループをサイケ・ポップとして扱うには、いろんな意味で厄介なのですが、端正なハープシコードや後半のBEATLES的なペットが印象的な「THE EQUESTRIAN STATUE」、メロディアスな「PIGGY BANK LOVE」の2曲はたいへん魅力的な作品。それ以外の曲も、非常に好き嫌いが分かれそうですが、スウィンギング・ロンドン的喧騒の雰囲気が伝わる1967年らしい作品。(2006/11/05)



PATTERN PEOPLE PATTERN PEOPLE / THE BYSTANDERS

 MANの前身でもあるウェールズ出身のグループ。コンピ盤RIPPLESのシリーズで常連だった、ハーモニー・ポップ色の強いグループで、この2001年にSANCTUARYから出たCDも「RIPPLES presents」と銘打っている。このCDでは全8枚のシングル曲を発表順に収録し、1966年頃録られたと思われる7曲の未発表曲をプラスしている。

 シングル曲は有名曲のカバー曲が多いが聴き所は多い。初期はドゥー・アップ色が強いが、その中では「MY LOVE - COME HOME」がいい出来。この曲もカバーかと思いきや、彼らのための書き下ろしとのこと。唯一チャート入りしたKEITHのカバー「98.6」あたりからソフト・ロック/ハーモニー・ポップのグループらしくなってくる。イギリス臭みのあるサマー・ソング「ROYAL BLUE SUMMER SUNSHINE DAY」も良いが、ファルセットも爽快なLOS BRINCOSのカバー「MAKE UP YOUR MIND」と5TH DIMENTIONのカバーで本CDのタイトルともなった「PATTERN PEOPLE」の連打は実にソフト・ロック的興奮とスリルを呼び起こさせてくれます。その後もGARY LEWIS&THE PLAYBOYSがヒットさせた「GREEN GRASS」を経て、CASUALSが「JESAMINE」としてヒットさせた「WHEN JEZAMINE GOES」も演ってますが、彼らのバージョンはCASUALSに比べると地味な出来あい。最後のシングルA面は「THIS WORLD IS MY WORLD」はBEE GEESを意識したと思しき泣き節ぶり。

 前述の楽曲群と比較すると異色なのが、最後2枚のシングルB面曲。まずはアシッドでサイケで中近東風な「CAVE OF CLEAR LIGHT」。そしてカントリー風ながらDONOVAN風で、ブリッジ部分がなんとも夢見心地な「PAINTING THE TIME」。このCDをソフト・ロックのコーナーに置かなかったのは、この2曲が個人的に気に入っているからです。未発表曲はコーラスを生かしたティニー・ポッパーな曲が多い。その中では勢いのある「MY WAY OF THINKING」がベストかと思う。(2005/01/09)