chapter7入院前検査

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入院前検査として行ったものは以下の通りです。この検査のほかに
3月17日に検査結果を聞きに、また3月31日と4月19日に診察を受けています。

時期

区分

検査名

コメント

3月11日

診断

便検査

会社の診療所では、便に細いスティックを突き刺すタイプでしたが、今回は直接便を小指のあたま大とり持って行くタイプ。残念ながら、この病院としてはもっとも原始的な容器を使っていた。

3月11日

診断

尿検査

3月11日

診断

胃カメラ

4月8日

術前

超音波エコー

4月8日

術前

胸部X線

4月8日

術前

便検査

4月8日

術前

尿検査

4月8日

術前

血液検査

心なしか測定するサンプル数が多かったような気がする。

4月15日

術前

胃部X線

人間ドックや成人病検査でおなじみのバリウムを飲む検査よりも、一歩進んだ検査。これも苦しかった。

4月28日

術前

呼吸機能検査

いわゆる肺活量測定。流量と流速の関係を測っているようで、やり方が悪いとやり直しになります。

4月28日

術前

眼科

眼底検査(瞳孔を開く目薬を点眼するため、検査後は非常にまぶしい)

4月30日

術前

心電図

階段昇降前後の負荷心電図測定

<上部内視鏡>

3月11日(木)

胃カメラ検査。内視鏡検査室のところにはかなり多くの患者が居た。今日は妻も一緒に病院へ。内視鏡といっても上部(食道から胃、十二指腸)と下部(大腸)内視鏡の2種類があり、この病院では受付場所は同じで呼び出しされるときに、上部と下部に分けて呼ばれます。

外の待合室から中の方へ呼ばれ、中で壁に張られた注意を読むように指示されます。つい3週間ほど前に経験したばかりなので、書いてあることもよくわかります。あまり嬉しいことではありませんが。

胃の中をきれいにする液を小さなコップで飲み、胃の動きを抑える注射。

しばらくして呼ばれて、奥の診療室へ行き診察台に上る。会社のときのベッドよりも高めか。いずれにせよ、よく考えてみるとこのベッドは高さ調整ができるようになっているので関係ありませんでした。
担当の先生は、月曜日に初診をしていただいたM先生だった。持参したタオルを置き横になる。ここののどの麻酔は会社の医務室と異なりスプレーだった。穴の開いたマウスピースを口にくわえ、胃カメラを入れてもらう。やはりかなり苦みました。

検査は会社で行ったように細胞を採るほかに、染色して何かを調べているようだった。先生はたしか、「インディゴ」と言っていたような気がする。腹に冷たいものが流れるのをわずかに感じ、斜め上に見える画面に青黒い液体が流れるのが見えました。

会社の医務室での組織検査(生検)では、採った組織をすぐ横のスライドグラスに移していましたが、ここの組織検査では針金を持った看護婦さんが別室に組織を運び、戻ってきてまた次の組織を採る。その分いったり来たりの時間がかかります。5つほど組織を採ったようでしたが、今回もまた涙目になるほどゲホゲホとしてしまいました。

検査が終わって妻と帰る。ロビーへ戻る下りのエレベータでは、今胃カメラを飲んだ人と一緒になり、彼は「こんな顔は家族には見せられないですね。」と言っていました。確かに見せられたものではありません。この人も胃がんなのでしょうか。自分と較べてもまだ若そうで、きっと胃カメラの結果はそれほど悪いものではないだろう、いいな、と感じてしまいました。ページtopへ

<検査結果>

3月17日(水)

胃カメラ(内視鏡)検査の結果を聞きにいきました。内科の再診なので初診とは違った部屋で検査結果を聞く。今回も組織を何箇所かとっていますが、やはりV度であるとのこと。陥没した部分にできた癌なので内視鏡的な手術は困難であろうことでした。書籍によると、内視鏡下粘膜切除として「1cm以下のガンを対象とします。平坦な陥凹型病変に対する内視鏡手術です。」(前掲「がん治療と予防」p.113)と書かれており、これでなんとかできないかと期待していただけにがっかりでした。

妻は「こちらから持っていった写真と較べて、進行度合いはどうですか」という質問をし、私からは「進行しやすい、たとえばスキルスのようなものですか」という質問をしました。妻の質問に対しては、「胃の膨らませ方が違うから判断することができない。」私からの質問に対しては「その可能性は否定できない。」ということでした。数年前大変に話題になった、キャスターの逸見正孝氏がスキルス性胃がんでぼろぼろになって死んでいったことを知っていただけに、これはかなりショックでした。
M先生は、「今日の外科外来はなに先生だったかな」ということで看護婦さんを呼び「F先生のところへ行けるか確認してくれますか」と伝えていた。結局内科のM先生のところから外科外来でその日処置室担当だったF先生のところで見てもらえるように急遽手配していただきました。

<外科診察室>

外科の待合室に移り、しばらく待った後、呼び出しを受けました。外科で担当のF先生は、カルテに書かれた健康保険組合名から会社名を推察されたのか「商売柄お持ちでしたら録音してもいいですよ。」と言っていただけました。私は決してF先生の言うような「商売柄」ではないのですが、たまたまテープレコーダを持っていたので録音させていただきました。そして紹介状を見て、紹介状(国立O病院あて)を書いたK先生の名を見て、自分の大学の同級生だということを言っていました。
さてF先生と話しをした要点は
・「スキルスではない。」
・「だが放置はできない。」
とのことで、手術はすることに決意しました。そして手術の仕方としてもちろん切除だが、場合によっては三分の二ではなく二分の一で済むかもしれないということでした。(図入りの説明資料を貰いました。)
そして、最後に直腸の触診をしていただきました。

診察後、看護婦さんから入院手続き等の説明を受けました。会計に行き、予約を取り、入院手配の窓口へ行き、もう一度ここへ戻ってくること。入院前には、いくつかの検査をすることになった。表にまとめたように
・超音波エコー(+採血+便+胸部X線)
・胃部X線
・眼科、呼吸器、心電図。

看護婦さんから、何日はどの順番でまわるようにと細かく指示をいただく。この病院のやり方にもようやく慣れてきました。だが、今日見ていただいたF先生は今月3月末で病院を移ることになっているとのことでした。

<F先生の最後の診断>

3月31日(火)

F先生がこの病院で行う最後の診察日。前回の後特に検査をしたわけではないので、特に話すべき内容はありませんでした。そこで病院を移る際ということで、この後直接話をすることもないであろうと思い、いろいろと聞かせていただくことにしました。

「この病院に来ることにしたのは、内視鏡的手術ができるということを聞いたからなのですが。また本で腹腔鏡的手術とかできると聞いたのですが、どうでしょうか。」
「この病院でもやろうと思えばできます。縮小手術を希望されているのですね。ただし、腹腔鏡的手術は、まだまだという意見もありますのでね。」

「東京のK大学病院では腹腔鏡下手術をだいぶされていると聞いているのですが。(これは前出の「病院えらび事典」参照)
「それはあの病院がそれを売り物にしようと考えているからでしょう。うちの病院でもやろうと思えばできますよ。」

一度手術やむなしとは決めたつもりではいたのですが、腹腔鏡下手術などということを知ったのでできれば、あまり腹を切りたくないな、と思い始めていました。その点で、やはりこの病院ではだめなのかもしれない、と思い、思い切って言ってみました。
「セカンドオピニオンを聞きに行きたいのですが、コピーをいただけませんでしょうか。」
「わかりました。それでは外で待っていてください。」

しばらく外で待つと、封をされた封筒をいただくことができました。(K大学病院へ行こうかなと考えたのですが、結局K大学病院へ行くことはありませんでした。)

次回、予約を取れということであったので、次の先生(H先生)の担当日に予約を入れ病院を後にしました。

<超音波エコー>

4月8日(木)

超音波エコー検査。

指示された通り3枚の洗面タオルを持って行きました。この病院では胃カメラ他の時もそうでしたが、経費節減と感染防止のためか、自分のタオルを使用するということがたびたびありました。朝9時からの予約で、9時半になる前に検査は終わり。医師(技師)の方に聞いたところによると、見る限り転移はないとのことで一安心。

受付から撮影完了まで30分もかからずに胸部X線検査を終え、2日分の便を提出し、採尿・採血を終え今日のコースは終わりとなりました。

なお、採血では妙に試験管が多いような気がしました。ここの検査では、受付時点で採血の試験管をパックにつめ、検査分の試験管がパックに詰められた状態で採血の看護婦さんのところにわたる仕組みになっているようです。自分が持っていたパックにも5本くらい試験管が入っていたと思うのですが、もう一本足していました。数が多かったからなのでしょうか。このなぞは解けていません。ページtopへ

<胃部X線検査>

4月15日(木)

胃部X線検査。

どうせバリウムを飲むだけだろうとタカをくくっていたが大間違いでした。こんなこと他では聞いたこともない検査でした。胃がんであれば皆やっているのかもしれませんが。

まず、着ているものを脱いで撮影用のガウンのようなものに着替えます。これは人間ドックなどでお目にかかるものでしたので抵抗ありません。撮影室の前に行くと、何人か先に来て並んでいる人がいたので、ベンチで待っていました。1グループ目が呼ばれ、次のグループかな、と待っていると、「Hさん」といきなり自分だけが呼ばれました。これは少し早めにやってもらえるのかな、と思っていると、
「Hさんは他の方と少し違いますので、説明します。まず、この液を飲んで下さい。」I(手にはファストフードのドリンクのMサイズより大きく思える紙コップになみなみと液体が入っています。)「その後少し運動してもらってから、チューブを鼻から通して、バリウムを入れます。」
鼻からチューブを通す、という言葉は衝撃でした。それでもまあ仕方がないでしょう。

かた隅の、他の検査患者からは見えないところに移動し、例の液体を飲み干します。味は胃カメラの時に飲む小さなコップの薬品と似た味で、それ程苦痛でもありませんが、量が多く一気に飲むのはかなりつらい量です。飲み終わると、看護婦さんから「はい、それではこのベッドの上で10回ぐるぐると背中・腹を順に見せるように回って下さい。」と言われ、グルグルとまわりました。(身体のたての軸を中心にして、横たわった状態で回転します。)看護婦さんが横について、「いーち、にー、」と数えるので手を抜くわけには行きません。

10回回り終わると、看護婦さんから「こちらに来て下さい」とのことで、X線装置のある部屋へ連れて行かれました。装置の横に置いてある椅子に腰をかけさせられます。中には技師の人が居て、しきりに「前回撮影したのはいつですか」と聞く。「昨年5月です。」「そうですか。最近撮影したばかりだったら申し訳ないので。」どうも被爆間隔が短くなるのを気にしているように思えるのでした。「検査結果を教えてもらえますか」と聞くと「この検査で判ったことだけでなく総合的に判断しないといけないので、私はお教えできないのですよ。一つの検査の結果をばらばらでお伝えすると、もっとも軽いのだけを患者さんは信じてしまいますから。」もっともな話でした。
そうしているうちに、「ではチューブを入れますから」と言われ、オレンジ色の細いゴムチューブが鼻に挿入されました。あれ、っと思っているうちにチューブは口の付近まで来て、そしてのどを通って胃の中へ挿入されて行きます。確かに鼻と口はつながっているんだ、などと思っていると、今度はチューブがのどを通る苦しみが襲ってきます。内視鏡ほど太くないのでそれほどでもありませんが、のどを刺激します。

チューブをつけたままX線装置に上にあがり、いよいよ検査が始まります。普通であれば技師の人はガラス越しに「回ってください」「少し右」などと指示を出すのでしょうが、この検査では部屋に入ったままです。技師はモニターを見ながら、鼻のチューブからバリウムを送り込み、「右」「左」などの指示を出しています。時間も長い。これでは確かに被爆量がおおくなります。そしてそれは技師の人も同じでしょう。
「先生、これじゃ先生も被爆が多いですよね」
「でもこれが仕事ですから。」
大変な仕事を選んでしまったものです。

バリウムを送り込む検査の途中で、空気を胃に送り込んで膨らませて撮影を行っていました。これもゲップをこらえろという指示があり、苦しいものでした。一通り撮影が終わると、鼻のチューブが抜かれます。ほっとしていると、今度はバリウムの入った普通サイズの紙コップが渡され、これを飲んでからいつものような撮影をするということでした。一瞬気が緩んでいたため、少しゲップをしてしまい、「先生、すみません。ゲップが出てしまったのですが」と言うと、急にすごくがっかりとした表情。技師さんは気を取り直してモニターを見る。「これなら大丈夫です。」ほっとした様子で撮影の続きをしてもらえました。

この検査は、9時予約で9時15分くらいに名前が呼ばれ、完了したのが10時少し前でした。ページtopへ

<H先生の診察>

4月19日(月)

F先生が病院を移ってしまった関係で、担当医師はH先生になった。H先生はF先生の患者のほとんどを引き継いでしまったらしく、非常に混雑していた。4時の予約で病院についたのが3時50分。ところが診察が始まったのは7時くらい。3時間も待ったことになる。予約システム上はこの時間帯だとあと何人という数字が表示されるようであったが、オーバーブッキング(予約の過剰受入)を認めるシステムになっているようだった。6時過ぎに他の先生が応援に来たようだったが、せっかくなのでH先生に診て頂くように待っていた。

H先生もお疲れのようであったが、少し話をさせていただいた。
「どうですか、なにか症状とかありますか?」
「特にありません。先生、先日入院前の検査をして頂いたのですがなにか結果は出てませんでしょうか?」
「えーと、ああX線の結果が来てますね。」
「F先生からは内視鏡的や腹腔鏡的手術、縮小手術も可能性はあるとのことだったのですが。どうなんでしょうか。」
「うーん。Hさんあなたの場合、印鑑細胞癌なのでそれは難しいでしょう。」
「インカン細胞癌ですか。どういうものなのでしょう。」
「聞いていませんでしたか。この細胞はリンパ節転移の可能性が高いのです。ですから普通に手術することをお勧めしますね。」

ますます、普通の手術に近づいて行ってしまう。

「鉄欠乏性貧血なので、鉄剤とビタミンCを出しておきます。」
「先生、輸血というのは必要なのでしょうか?」
「輸血しなくて済むように鉄剤を出すのです。」

結局、薬を出してくれることになった。もう7時を過ぎており、本来ならば院内の薬局もしまっているところだが、なんとか出してもらいました。また会計も、この先生のところに患者が溜まっているせいで帰ることができず、7時過ぎまで残っていました。出口も表がふさがり、裏の夜間出入り口から帰ることになりました。一緒に先生に見てもらっていたTさんという方と話しながら帰りました。Tさんは胃の全摘と言われたそうで、少しショックを受けていました。

<その他の検査>

4月28日(水)

◆呼吸機能検査

これは肺活量の測定とほぼ同義です。知らない間に機械も進歩するもので、流速と流量の関係がグラフ表示されます。完全に吐ききらないと検査している人にはわかってしまうようです。この検査で手術の際の麻酔量などを決めるとの事です。肺活量の検査なので、待つ時間も短くあっと言う間に終わってしまいます。

◆眼科検査

視力測定をしたあと瞳孔を開かせる目薬をし、その後30分くら経ってから暗室で眼底の撮影をしました。

通常はこの30分の待ち時間に心電図測定(後述)をするようですが、Flexで出勤前に検査に来ている関係で、予約表上は出勤時間ぎりぎりになっていたので、今日は心電図測定をパスしていました。ところが、皆が心電図に行って帰ってきたくらいに自分も眼底測定をしているので、まるで一日検査に来る日数を増やしただけで損してしまいました。

外に出ると連休前の強い日差しです。本当にまぶしく、確かに瞳孔が開いているのだなと分かります。これはとても車で来てはいけません。

4月30日(木)

◆心電図

負荷心電図をとるとのことです。まずベッドの上で心電図を記録し、次に表彰台のように両側から登れる2段の階段を、階段に埋め込まれたランプに合わせて3分間登り降りをします。そして再びベッドの上で心電図記録をしました。普段から歩くのが好きな私から見たらどうってことはない運動でしたが、お年を召されると辛いのかなとも思いました。ページtopへ

<入院前検査全般>

入院前の検査には手術のため入院する人のための術前検査がありますが、これらの検査は「入院するまでにしておいてくれ」と言われた記憶があります。ところがこんな検査は入院してからでも出来るので、少しくらい検査が残っていてもいいかと思われます。ただし、その分多少は手術日程に影響が出るかもしれません。

(このページはここまで。)
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