chapter15病理診断結果と会社医務室

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7月14日(術後41日)

退院後2回目の外来診察に行きました。今回の目的は病理検査結果が出ていればその内容を聞くことです。術後41日ということもあり、今回は結果が出ていました。

<病理検査結果>

主治医のM先生から次のように説明がありました。

「粘膜内癌(印鑑細胞癌)。
切除した部分の最外周部からは癌の組織は見つからなかった(検査結果はマイナスだった)。
郭清したリンパ節から転移は認められなかった。
なお郭清したリンパ節はI群と7番。幽門輪を温存したために6番のリンパ節は一部を郭清したのみ。」

M先生は縮小手術の可能性を探してくれた先生で、
「結果的にですが、腹腔鏡的な手術でもよかったですね。」
と言う。
「そうですね。でも自分で決めたことですから。それに腹腔鏡ではリンパ節転移までは確認できないんでしたよね、先生。」
「ええ、そうですよ。」
腹腔鏡下の手術ではリンパ節郭清ができません。リンパ節郭清ができないということは、癌のリンパ節転移の確認ができません。この場合、いつまでも転移の不安と背中合わせになるわけです。ですから開腹手術を選んで、転移の可能性を確認したのでした。(印鑑細胞癌でなければ転移の確率はグーンと低いので、腹腔鏡による手術を選択していたと思います。しつこいようですが念の為。)
それにしても転移がなく良かった。これで一安心です。

<次回診察>

次回の診察は約半年後の11月になりました。
M先生によれば「病理の結果が出ていないことが多いので、普通は9月ごろ(術後3ヶ月頃)に来てもらうのですが、もう病理の結果が出ているので、しばらくあいだを開けましょう。半年くらい開けてもいいのですが。12月ではどうですか。」
「次回はどんなことをするのですか」
「胃カメラと血液検査ですね。その検査の前に一度来ていただくことになります。それからカメラですね。」
ということは「事前問診」+「絶食で胃カメラ(と血液検査)」+「結果を聞きに行く」と最低でも3回は通うことになりそうです。胃カメラにはすっかり慣れたつもりでしたがやはり嫌なものです。
「これからは定期的に検査をしなければならないのですが、同じ検査を他の施設と重複して行うのは良くありませんから、こちらで調整もします。12月は年末で慌しいかもしれませんね。それでは11月にしましょう。」とM先生。これで11月に行くことにきまりました。

<医務室への報告>

7月15日(術後42日)

今日から会社へ復帰です(会社生活への復帰については別途報告します)。復帰の挨拶を兼ねて会社の医務室K先生へ病理の結果を報告しました。
「そういうことならば、完全にとれたということだね。」
「そのようですね。どうも先生ありがとうございました。」
「ところでがん保険とかには入っていたのかね。」
「おかげさまで入っていました。」
「そうか。それは良かったね。寿命が延びて大体の人は癌になっているんですよ。これからはガン保険の会社が倒産するのではないかと不安だね。」
「ところで先生、今後どのようにしたらいいのでしょうか。」
「胃がんにはもうあまりならないと思うのだけれど、他の癌になる可能性はありますからね。がんは遺伝子異常で起こるといわれているのですが、たとえば普通の人の場合、遺伝子の一部が4〜5箇所異常になってがん細胞が出来てくるとすると、君の場合ずいぶんと若くからがんが出来ているので、3〜4箇所の異常だけでもガン化する可能性があるのですよ。小腸はがんにならないので、食道がんや大腸がん、この2つに注意する必要がありますね。食道がんは胃の内視鏡検査をする時に検査が出来るからまだいいけれど、大腸は時々検査する必要がありますね。普通の人が3年に一度検査するのであれば、1年に一度検査するくらいのことが必要ですね。」
「ところで食生活とか気にする必要はありませんか。」
「肉食には気をつけたほうがいいですね。日本人には大腸がんは少なかったのだけれど、最近はずいぶん増えてきました。アメリカ人には多いのですよ。肉食と関係があるようで、ハンバーガーショップの数と大腸がんの発生とは比例の関係があるようです(注)」
「そうすると肉類は避けたほうがいいのでしょうか」
「魚からたんぱく質をとるようにした方がいいですね。」
やはり長生きするためには食事に気をつける必要があるそうです。現在は術後で胃が小さく、消化のしやすさを中心に考えていますが、今後は消化だけでなくがんを避ける必要があるようです。また同時に食事以外の面からも、免疫力を高めるなどの見えない健康管理が必要なようです。

注.ハンバーガーショップとの関連については?です。私が見た資料(「がん 治療と予防」)では、大腸(直腸と結腸)がんによる死亡率はアメリカと日本でほとんど差がありませんでした。ただしアメリカでは胃がんでの死亡率は日本の半分ほどなので、胃と大腸がんの相対的な死亡率でいうと日本もアメリカ的になっているようです。K先生は消化器内科の先生なので、このような認識をなさっているのかもしれません。

(このページここまで)

 社会復帰と食生活へ