自宅療養
(6月15日〜7月14日:術後12日〜41日)
自宅に戻ったのは6月15日、術後12日目のことです。
自宅療養といっても、特になにかをしていたわけではありません。家で休養を中心に生活していただけです(実際は、買物などに出歩いていましたが)。いくつかトピックについて書いておきたいと思います。<食事障害>
6月20日(術後17日)に一度だけ食事による障害がありました。オーバーフロー(食べ過ぎ)です。
この日妻は日中出かけていて、あらかじめ作っておいてくれた昼食(12時・3時)を自分で茶碗や皿に盛って食べました。手術する前は茶碗2杯くらい食べていたので、その四分の一に相当するお茶碗半分くらいなら大丈夫だろうと欲張り、米飯を食べ過ぎてしまったようです。食事の直後は少し食べ過ぎたかなと感じた程度でした。妻が帰ってきて夕食を食べていると次第に気持ちが悪くなり、2回めの夕食はやめようと言っていたら、口の中がすっぱくなってきました。
しばらく休んで様子を見ていたのですが、結局トイレに駆け込み吐いてしまいました。吐いた後はすっかり楽になりましたが…。
結局これは幽門輪が残っていることが原因のようです。幽門を切除していると、どんどん十二指腸へ流れていきます。自分の場合幽門輪が残っているので、処理できない分が胃の中に残って、それで気分が悪くなるようです。入院中七分粥のときにも経験した食べ過ぎがもう少し悪くなったような状態とでもいうべきなのでしょう。満腹になって気持ちが悪くなるという症状が出る一方で、下痢やダンピング症状は一切でていません。幽門輪が残っているのは、食べ過ぎたときに胃が小さいことを実感するという面でマイナスですが、ダンピングがおこらないという面では非常に楽です。半年後・一年後に胃が大きくなったには食べ過ぎ状態にはなりにくいでしょうから、そのときにはダンピングが起こらないということがプラスになるものと信じています。
<食事・外食>
食事は次第に増えてきました。分割食(朝・昼・夕食をそれぞれ2回に分けた食事)の仕方を比較的きちんと守っています。ただどうしても食事ができないような状況の時、適当になにか間食する程度でごまかしています。
お粥は退院したその日だけで、退院した翌日から普通のご飯を食べています。お粥よりもご飯の方が噛みやすく時間をかけることができ、また、食べたなという実感があります。最初のうちは30分もかけて食事をするのはとっても大変だったのですが、今は逆に、ちょっと気を許すと30分を軽く超えています。
7月15日(術後42日)から、職場復帰を考えています。そうすると食事をどうするかが問題になります。幸い、間食は摂れる雰囲気なので、10時・3時は食事の時間とさせてもらおうと考えています。そして会社を出て家に帰る前にもう一回間食をします。家に着くと7時半ごろになるでしょうか。そうすると夕食を分割することはとても困難なので、夕食は分割せずに一回ですませようと考えています。会社へ行く準備として7月12日(術後39日)から夕食の分割をやめました。外食
まだ外食は2回しかしていません。
1回目:ミスタードーナッツ(昼)朝から妻と外出していて、時間的に昼までには家に帰れそうもなくやむを得ず入りました。ミスドーは、飲茶メニューも扱っており、余り栄養は無いかもしれませんが、「お粥」が食べられます。この手の店は昼食時はだいぶ混雑するようですが、11時半少し過ぎに入って、混み始める12時少し前まで30分近くをかけて、お粥(の半分)をいただきました。
2回目:デパートの中のとんかつ屋・和幸(夕方)
妻と買い物に行き、どうしても買い物が終わらずに夕方になり、これで帰って夕食の支度をしていては遅くなる、ということで飛び込みました。妻はその日のお薦め定食を注文。私は店員に「医者から脂っこいものはだめと言われている」などと言い訳をしながら、「茶碗蒸し」と「ご飯」だけを注文。ここではさすがに料理(といっても二品)が出てきてから20分かけて食べるのがやっとでした。
寿司・うなぎ
まだ店で食べたことはありません。寿司もうなぎも家で食べています。
寿司:消化のよさそうなマグロを中心にしています。いか・たこは残念ながらまだです。寿司飯もよく噛んで食べればまったく問題ありませんが、意外とご飯の量が多いかもしれません。4カンを30分かけて食べています。さすがに一つを7分もかけて食べるのは大変なので、あらかじめ1個の寿司を2つに切って全部で8個にして食べています。(分割食として食べているので、結局本当に8個は食べるのですが、手術前と較べたらやはりまだ6割程度の量です。)
うなぎ:これもよく噛んで食べて問題は出ていません。ただうなぎも一尾食べるなんてとんでもなく、ごく少し食べるだけになります。幅3センチくらいの短冊型に切って2切れ、3切れといったところです。
いずれにせよ、寿司・うなぎなどだけでは栄養の偏りが出てしまうので、バランスが取れるように他の食品もあわせて食べるような工夫をしています。
<運転・外出>
運転のこと
退院翌日(術後13日目)から家の車の運転をしています。
初日は近場のスーパーへ食料の買出しに付き合わされただけですが、術後16日目の土曜日には、阪神高速道路の環状線から守口線へ移るという過酷な斜線変更を伴うドライブをしました(注)。往復で約4時間ほどでしょうか。
注.阪神高速は環状線と環状線から放射状に伸びる各路線などから構成されます。環状線は時計回りのみの一方通行で、ここから守口線に移るには一気に車線を4つほど移る必要があります。いつも事故が起きないのが不思議なくらいのところです。運転し始めて思ったり感じたりしたことは、
・道路のギャップのところで傷が痛む。特に左右のタイヤが少しタイミングをずらしてギャップを乗り越えたとき、身体がねじれるようになり傷が痛い。
・ハンドルを切ると身体がねじれて傷が痛む。車線変更時の側方確認も、右折・左折のときも痛む。
・一番辛いのはバックするとき。
普段何気なくしていることをあらためて再発見した感じです。ハンドルを切ると身体をねじるとか、左右のギャップで身体がねじられているとかは、健康な生活をしていたときにはまったく気がつきませんでした。7月12日(術後39日目)現在でも、まだ傷の痛みがあります。最初のころよりもだいぶ良くなっては来ていますが、まだ完全ではありません。
外出(鉄道・バス利用)のこと
先に車の運転のことを書いてしまいました。今の自宅は駅から離れており、バスを使わないと駅まで出られません。車を利用してしまうことが多く、手術する前から通勤以外はあまりバス・電車を利用していませんでした。
6月21日(術後18日、退院後6日め)には、朝から街中のパソコンショップへプリンタを買いに出かけていました。ダイレクトメールで「先着○名様に特価で」というのに釣られて出かけたのですが、平日月曜日なのに予想以上の行列が出来ており、とても入手することはできませんでした。このとき朝から少し混んだ電車にのりました。朝の分割食も、このときはトーストと牛乳と「カロリーメイト」のようなもので済ませました。
外出で、気をつけなければならないな、と思ったのは
・混雑した電車やバスはできるだけ避ける
・外出時間に合わせて食事の用意をする
といった当たり前のことです。やはり自分も少しハンディキャップを背負っているのだな、とつくづく感じます。<運動>
散歩
自宅では犬(ビーグル)を飼っているのですが、おかげで手術する前は毎朝少しと、週末小一時間の散歩をしていました。溺愛しすぎてきちんとしたしつけが出来ていない犬なので、散歩中強く引っ張ります。
入院中は妻が散歩してくれていたので、退院後も最初は妻に任せていました。術後14日目(退院後2日目)くらいから、妻がリード(犬の紐)を持ち自分は妻と一緒に歩くという形で散歩をするようになりました。一日2回、合計30分程度です。ただし長い日には合計40分ほど歩くこともあり、万歩計で計ると10,000歩になります。
術後35日目(7月8日)から、自分でリードを持って歩いてみるようにしました。やはり急に引っ張られると抑えきれないので、家内に頼ってしまうこともありますがかなりコントロールできるようになりました。走る・起き上がる
まだ怖くて走ることはできません。6月30日(術後27日)にバスに乗ろうとして、小走りでバス停まで走ったのが初めてです。思ったよりも走ることができました。走ると傷が痛む気がします。服とこすれるのかもしれません。手で押さえてやると、あまり痛みを感じないので少し走りやすくなります。7月11日(術後38日目)に、50メートル程度のほんのわずかの距離ですがジョギングのような走り方をしてみました。
一方、腹筋運動はまだできません。怖くて力が入らないのです。ですから起き上がるには手を使わないわけにはいきません。早く腹筋運動くらいできるようになりたいな、と思っています。ただ、寝るときには、手をつかなくてもゆっくりと上半身を横たえることができるようになってきました。
<一時出社>
6月24日(術後21日目)に会社に行き、医務室のK先生に退院の挨拶をしてきました。K先生は、「病理検査の結果がまだでていないの」「今の薬(整腸剤)は別になくてもいいね」とのことでした。こちらからは「混んでいるのでまだ病理の結果がでていないのです」「整腸剤はまだ不安なので出してもらえませんか」とお願いしました。
会社のオフィスでは、まだ自分の机があり一安心。まあおかげでいきなり首になるようなことはないと思いますが、今の時代ですから会社がまだ必要と考えてくれたということはありがたいことです。<外来診察>
6月30日(術後27日目、退院後15日目)に外来診療をしてもらいました。主治医のM先生は水曜日だけが外来診療日なので今後とも水曜日が外来日となりそうです。
診療は「食事はどの程度ですか?」「便の調子は?」と言った問診と、打診・触診でした。傷口を軽く押して、「まだ硬いですね。しばらくすると直りますから」とのこと。病理検査の結果が残念ながらまだ出ておらず、またしばらくお預けとなりました。次の診療日は「8月末か9月はじめに来てください。」ということでしたが、会社に行く予定を7月15日にしていたので、7月14日にもう一度外来診療をしてもらうことにしました。そのときまでに病理検査の結果が出ていますように。ところでほぼ同時期に退院したTさん(入院前検査のページの<H先生の診察>に登場した患者さん)に待合室に会いました。Tさんは全摘でしたが、私と同じM先生が主治医だそうで、入院中もよく話をしていました。Tさんはスポーツマンタイプで、この日(Tさんの術後34日)になる前にすでにゴルフ練習場で5番アイアンの練習をしたとのことでした。私はまだ傷が痛いなどと言っているのに、Tさんはすごいものです。
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