術後18ヶ月
6月中旬に1年めの検査の結果を聞きに行きましたが、それから半年・12月に診察を受けることになっていました。ところが診察日と会社の研修のスケジュールがちょうど重なってしまい一度診察日を変更してもらいました。そしてさらに今度は病院の方から電話があり、さらに変えてほしいという連絡が入りました。M先生のご都合だそうです。そうすると、先生の診察を受ける予定の人がみなずれて診察を受けにくるので、きっと混むに違いない、そう思いつつ病院へ行きました。
<待合室>
待合室に着いたのは8時45分。通路になっている内科外来の待合室を通ると相変わらず混んでいました。これは予想通りかなと少し急ぎ足で外科外来に行くと、予想とは裏腹に人がまばらにいるだけでまさに空いてました。『でも本当は沢山待っているに違いない、だっていつもそれは待たされたもの。』
9時になり診察開始。アナウンスで診察室ごとに患者の名前が呼ばれます。『Tさん』私の名がその診察室の2番目に呼ばれました。ラッキーです。今日はすぐに終わりそうです。
<診察室>
半年振りにお会いする先生です。主治医の先生の顔を覚えていることは明らかですが、ちょっとずつその記憶の輪郭がボケて来ています。それとも先生のお顔が少し変わったのでしょうか。
M医師「どうですか。何か変わったことはありますか。」
T「特にありません。ただまだ時々手術した痕が、ちょっと引っ張られるような感じがします。それから夏に体重が少し減り、なかなかもとの体重レベルに戻りません。ちょうど手術直後の体重と同じくらいです。」
「そうですか。」
「多分仕事がきついからだと思いますが。」
「それでは見てみましょうか。」上着を脱ぎ、シャツの前をはだけて、下着はたくし上げた状態で診察台の上に横たわります。M先生の触診、打診、聴診。少しひんやりとした指の感触がありました。途中診察台の上で立てていた膝を伸ばそうとすると、
「膝は曲げておいて下さい。」と声がかかりました。「はい、いいですよ。曲げていてくれた方がいいんですよ。」
「特に問題はないですね。手術痕も大丈夫です。もっと引きつるような手術痕の人もいますけど、これなら・・・」
「そうですね。きれいな痕だと思います。」
「何か他にありますか。」
「先生、雑誌にこんな記事が載ったのですが」と言って、9月に掲載された雑誌のコピーを渡す。この後のやり取りは少しこの診察の本質から外れますので、このすぐ後のところに書きます。「あの献血はしてもいいのですか。」
「何か」
「特に理由はないのですが、癌細胞が血液に乗って流れるとだめなのかな、と思って。」
「積極的に献血することを勧めてはいませんが、できないことはありません。Tさんの場合、癌は切ってしまって、もう身体の中にないことになっていますから。ちょうど、まだ癌が見つかっていない状態と同じですよ。あまり積極的にすることはないと思います。」
「わかりました。」
「前回からの間に会社で健康診断を受けましたか?」
「健康診断はちょうど1年目の検査と重なっていたのでパスしました。」
「そうですか。健診は春なんですね。本当はこの半年の間に健診があるかなと思って、検査をしなかったのですが、それでは少し検査をしましょうか。」
「先生、こちらの病院に来ると少し時間がかかるので、会社の関係で健診を受けますのでそれでもいいですか。会社からも心電図を取って置くように言われているのです。」
「そうですか。それじゃ、とりあえず血液検査だけ今日して帰って下さい。それから半年後の検査予約を入れておきますから。それでは外で待っていてください。」
「ありがとうございました。」<HPへの掲載について>
さて上の<診察室>の続きです。
雑誌のコピーを見て、穏やかなM先生の表情がちょっとだけ曇りました。
「ああ、見ましたよ、というよりも患者さんから教えてもらっています。でも私の書いた書類を載せるのであれば一声かけて欲しかったですね。」
「大変失礼しました。名前の部分は消していますからよいかと思ったのですが。」
「でも筆跡でだれだか判ってしまいますよね。それからどうしてそこまで見せるのですか」
「できるだけリアルにしたかったからです。それに自分で言うのもなんですが、評判もいいのですよ。」
「HPは個人のものだから特にコメントはしませんが、多少誤りがありますね。もちろんネットの世界は受け取る側が責任を持って処理する必要がありますが。ただ患者さんでも考え違いをしてしまう場合があります。きちんと医師に確認してくれればそう言ったこともなくなります。」そう言われるとグーの音も出ません。というわけで、今回、WEBの内容をいくつか見直すことにしました。
- 「誤りがある可能性がある旨、注意書きを入れる。」
- 「筆跡がわかるようなものは掲載しない。」
M先生大変ご迷惑かけました。今回直しますのでご容赦ください。なお診察室を出る際、最後にもう一度M先生に「自筆の書類を載せてはだめか」と確認しましたが、やはり「やめて欲しい」とのことでした。
<待合室>
待合室で半年後の検査について看護婦さんから補足説明を受けました。基本的には今までと同じでしたが、今度は胃カメラの前の食事などに関する資料を渡され説明と注意がありました。
看護婦さん「胃カメラを受ける時に差し支えなければどんな食事をとったのか、この用紙に記入して提出してください。」
「いつも残渣がひどいからですか」
「Tさんに関わらず残渣がある人が多いので、実態を把握するために調べることになりました。強制ではありませんから。食べ物のリストもありますから、消化のいいものを選んでください。」詳細を読むと配布されたのは『看護研究参加のお願い』というタイトルの書類でした。アンケート用紙のようなものが添付されていて、看護部長名で出ているものでした。どうも残渣がある、ということと、ちょっとだけ実験台になる気分と、そして大きな病院ってやはり研究が必要なんだ、研究しないと看護部としても存在意義を問われるのかな、などと、うがった考え方をしてしまいました。
<血液検査>
いつものように血液検査のところには大勢の人がいました。順番が来るまで20分か30分待って、血を抜いてもらってすぐ病院を後にしました。
次は5月。今までのようなエコー・X線・胃カメラの検査が待っています。
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