トガグシイヌワラビ(メシダ科メシダ属) 戸隠犬蕨
          Athyrium vidalii f.togakushiense  

(特徴) 夏緑性。根茎は斜上。変異の大きいヤマイヌワラビの種内分類群の一種で、羽軸背面に細毛が密生する。葉柄はやや紅紫色を帯び、下部で暗褐色、基部鱗片は披針形、褐色〜茶色。葉身は標準で卵状楕円形の2回羽状複葉、汚緑色〜緑色のやや硬い草質だが、形には変化が多い。最下部羽片の外側第1小羽片が著しく小さくなる。中軸や羽軸も紅紫色になることが多く、羽軸裏面は有毛。羽片は無柄か短い柄がつき、小羽片はやや鋭頭で前側の耳垂は小さい。羽軸と小羽軸の分岐点表面に刺状突起がつくことがある。胞子嚢群は中肋寄りにつき、包膜は長楕円形、馬蹄形、鉤形が混ざり、辺縁は全縁か細裂する。山地の林床で稀に見られる。オオサトメシダ(ヤマイヌワラビ×サトメシダ)やヘビヤマイヌワラビ(ヤマイヌワラビ×ヘビノネゴザ)は羽軸背面に毛は生えないが、この両種の中に羽軸背面に細毛が密生するものがある。このタイプのものは片親がヤマイヌワラビではなく、トガクシイヌワラビと推定される。
(撮影・2011年6月9日、金山谷)


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