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うちのピアノは名器かも!?~世界名器探訪~

世界には数多くの名器と言われるピアノがあります。
ご存知 アメリカ(ドイツ)のスタインウェイをはじめ、ドイツのベヒシュタイン、スタインウェイの親戚とも言えるグロトリアン、オーストリアのベーゼンドルファー、イギリスのブロードウッド、フランスのプレイエルやエラールなどが有名ですね。 これらの名器をご購入の際は、知名度はもちろん、価格も国産よりも高額ですから、購入された方も「名器」であることをご存知の場合がほとんどです。

ところが、国産ピアノについてみると、そのピアノの素姓をご存知の方は少ないように思います。 たいていの方の選択理由は、「ピアノの先生や店員の方に勧められた」とか、「一番高いモデルと選んだ」という場合がほとんどで、 逆に名器を入手されてもその価値をご存知ない方も多いのではないでしょうか?
こう書くと、国産にも「名器」がありそうな言い回しですね。

実は、何を隠そう、そうなのです!国産のピアノの中にも隠れた名器(?)が数多く存在しています。 ここでは、そういう名器達の栄光を改めて讃えていくことにしましょう。
もしかすると、あなたがお持ちのピアノも、国産有数の名器かもしれません!

欧州機編に続いて、国産ピアノにおける素晴らしいメーカー、モデルをご紹介しましょう。
海外製を含めて各ピアノメーカーへは、下の一覧からジャンプできます。

では、以下のメーカー名一覧から、お好きなブランドを選んでご覧ください。

国内ピアノメーカー編Domestic Piano Company

YAMAHA(ヤマハ)

日本楽器=ヤマハ(株) (浜松)

まず、圧倒的に所有者の多い、あまりにもメジャーなメーカーから見てみましょう。
沿革等についての情報は、皆さまご存知のことと思いますので、ここでお話しすることでもないですね。
グランドピアノにおいては、コンサート用として世界に名高いCFシリーズを筆頭に、家庭用としてはSシリーズという上級モデルがあり、 これらの名器は既に名器として詠われていますので、あえてここでは割愛します。
ここでは主にアップライトの特徴のある機種をご紹介していきたいと思います。

ヤマハアップライトの型番の法則は、頭にU(=Upright)のつくモデルが基本です。
その後ろに大きさ(高さ)を表す数字がつきます。例えば、U1/U2/U3といった具合です。
原則として数字が大きくなるほど高さが高くなります。
このU1系、U3系は、マイナーチェンジを行う毎に型番の末尾にアルファベットを付けます。(U1D/U3Hなど)
更に新しくなるとU10やU100と数字を増やしたり、YU1やYU3というように前にYを付けたりして拡張していきますが、 いずれにしても、U1系、U3系というベースに変化はありません。
ちなみに、型番末尾にHのつくモデルは、製造年数も一番長く、個人的に最もポテンシャルの安定したモデルであったと思います。

このU3系をベースに、X支柱を採用したUX系が登場します。 このUX系のうち初期の「UX」は、グロトリアン社の設計思想を取り入れたと言われています。 本家グロトリアンは、弦の張力を高く(強く)設計してありますが、UXの張力は高くはありません。 そのためUX独特の音色に仕上がっていますが、潜在能力は格別です。(下右図)

ヤマハU7
U7アクション
ヤマハUX

現在のヤマハピアノは、スタインウェイ社の設計を基にしてあります。 ところが、1900年に量産を始めた当時は、 ドイツベヒシュタイン社から技術者を招いていたため、 おおよそ昭和50年代のモデルまでは、 ベヒシュタインの設計を基にしてあるものが存在しているようです。 両社の音をご存知の方はおわかりかと思いますが、ビロードのような高貴な音のベヒシュタインと、 ダイヤモンドのようなスタインウェイの音…、手を入れていくとそんな設計思想までが 見え隠れしてきます。

以上、ヤマハの基本ラインナップについてみてみましたが、U1~3以外に 5とか7の付くモデルも存在します。 U5やU7(上左図)といわれるモデルが該当します。 高さはU3系と同じですが、中身はまったく別物です。 特に「U7」は、総アグラフ方式(上中図)という技術を取り入れた、ヤマハにおける最高の名器です。
(現在SU7として復活・継承)
アグラフとは、弦を鉄骨に押しつける力を加える部分で、一般的にはプレッシャーバー方式(左下図YUA型参照) という金属のバーによって全弦を一度に押さえつけますが、アグラフ式は一音ずつ独立させた部品とすることで、 均一な力で弦を押さえることができます。

U7の外観は、前期モデルはチーク材に薄いクリア層を塗って艶出しで仕上げてありますが、 後期モデルはチークの木目を直出しとして、七分艶で仕上げてあります。(写真は前期モデルです。) ペダル付近に施された金色の装飾が何とも言えませんね。 非常に貴重なモデルと言えますので、 このモデルをお持ちの方は、是非とも末永く大切にされることをお勧めします。

ヤマハYUA
YUAアクション
ヤマハフレンジコード破損

最後に、ヤマハにおける珍しいモデルをご紹介しましょう。
型番はYUAというモデルですが、外観は何の変哲もない普通の黒いアップライトです。 外観上気付く一般的な黒いタイプとの違いは、いわゆる「グランド型」譜面台や、 中央のペダルがマフラーではなく、低音側のダンパーのみを操作するタイプのソステヌート機能になっていることが挙げられます。 また、すべてのハンマーにアンダーフェルトが入っていることや、中音から高音に至るプレッシャーバーを 途中で分離させていることからも、高級機種としての位置づけにあることがわかります。 しかし、これらは一般的な上位モデルにも共通する要素で、このモデルの特徴とはいえません。 実は、内部のアクション機構に<世界でも類を見ない構造>を持っているのです。

上図左と中央がYUAのアクション、右が一般的なU3型のアクションです。 弦を打弦するハンマーの根本部分を、裏側から見ています。 アップライトアクションの打弦時における重要な動作である、レットオフ(※)をするためスプリングが付いていて、 これをコード(フレンジコード)に引っ掛けてあります。 このコードは本当は白いのですが、写真では経年劣化によって茶色くなって切れています。 写真をよく見ると、スプリングが跳ね上がっているところがあるところがありますね。 YUAでは、この故障を防止するため、もしくはスプリングのテンションを一定にするために(いずれも私の想像ですが…)、 金属のバー状をしたスプリングになっています。

※レットオフ: 鍵盤は通常演奏する早さで押さえると打弦します。しかし、ゆ~っくり押し下げていくと、ハンマーは弦に近づいていきますが、 ある程度近づいたところで、弦には触れず後戻りをするのです。この運動を「レットオフ」といいます。

この動作が不良になると、ハンマーが戻らないため、音量(特にpp)のコントロールが難しくなる、二度打ちを起こすなどの症状が現れます。 また、レットオフの距離(ハンマーが弦に近づく距離)は、音色にかなり影響を及ぼすため、音域ごとに基準値を決め、距離を均一に保つ必要があります。

Copyright 2003 YAMAHA Corporation All rights reserved

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KAWAI(カワイ)

河合楽器製作所 (浜松)

世界第2位の生産台数を誇るカワイ製ピアノのラインナップは、大変種類が多く、型番も多種多様であるため、ここで整理することは割愛します。 ここでは、珍しいメカニズムを搭載したモデルをご紹介しましょう。

カワイUS50

左図はアップライト最高峰のUS系の一部や、普及機BL系の上位モデルに見られる、共鳴専用の弦を追加したアリコートシステムです。 通常ピアノの最低音A(ラ)の左には鍵盤はありませんから、当然弦もありません。 ところが、低域の豊かさを求めるために、最低音Aの左に2本の弦を張ってあります。 ハンマーはAまでしかないので当然発音はしませんが、無発音弦が共鳴することによって豊かな低音が得られています。 (この弦も調律は必要です!)
左の写真はUS50において、最低音A音のハンマーを打弦位置まで近づけています。 更に左にハンマーのない弦があることがおわかりいただけるかと思います。

カワイUS9X_1
カワイUS9X_2
カワイUS9X_3

続いては、同じくUS系の一部やBL系の上位モデルに見られる、グランドの鍵盤から前の部分をアップライトにそのまま移植してしまったという、前代未聞の発想です。 鍵盤ふた(写真上左)はもちろん、鍵盤の構造(鍵盤押さえ=写真上右)までもが、まったくグランドと同じ部品です。結果的に譜面台の高さがグランドと同じになり、 一般的には鍵盤ふたに付いている譜面台と比べて、楽譜を読む視線が上に向きます。(写真はUS-9X)
ヤマハにもW系などにグランド型譜面台がありますが、カワイのこのタイプは完全にグランドと同じ高さなのです。
そのほかの構造も、中低音はしっかりと弦を一本ずつ支えるアグラフ方式ですし、高音部のプレッシャーバーも2本に分割されており、重厚な構造の鍵盤ふたと合わせて、上位モデルならではの音色重視設計になっています。

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OHHASHI(オオハシ)

大橋ピアノ研究所

国産ピアノの中で、最も特筆すべきメーカーでしょう。 大橋幡岩(はたいわ:通称ばんがん氏)という創業者が、設計からすべて自社において手作りされた、国産最高水準のピアノメーカーです。 どの欧州機とも違う独特なその音色は、「これぞ日本のピアノ!」…というとあまりにも抽象的ですが、他の国産メーカーとは路線の異なる、 まさに日本の香りが漂っています。 グランドピアノも少数ではあるものの製造しており、特コンサートグランドは幻と言われている逸品です。 コンサートグランドは、実は私もまだ見たことさえなく、現存しているかどうかも不明です。 情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、商売抜きで是非お知らせいただければ大変うれしく思います。 下中図は、アップライト鉄骨にある「大橋幡岩」の文字です。この刻印からも、幡岩氏のこだわりが伝わってきますね。

なお、オオハシピアノについては、書籍『人技あればこそ、技人ありてこそ - 父子二代のピアノ』に詳しく紹介されています。

オオハシ132
オオハシ鉄骨銘板
オオハシ132ブランドエンブレム

また、DIAPASON(ディアパソン)というメーカーの創始者も、この大橋幡岩氏です。幡岩氏が他界された現在はカワイ系列になっていますので、 現在のディアパソンはカワイと共通部品も多いのですが、初期モデルからしばらくの間は、グランド鉄骨に”OHHASHI DESIGN”と入れてあり、 幡岩氏の思想が伝わってきます。 少し古めのディアパソンをお持ちの方は、調律時にでも覗いて見てはいかがでしょうか。


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BELTON(ベルトーン)

富士楽器製造・ベルトーンピアノ研究所

ベルトーン175

富士楽器の主力ブランドで、名調律師沢山清次郎氏の指導によって、その高品質を得ています。 特にグランドは製造台数も少なく、一説には100台以下とも言われている大変希少なモデルであり、 グランドのメカニズムはブリューツナーモデルであると言われています。
BELTONとは、芸大教授でもあったピアニスト、レオニード・クロイツァー氏によって命名されたもので、 クロイツァー氏はフジコ・ヘミングさんの師匠としても有名ですね。

アップライトには、右下図の位置に、クロイツァー氏命名であることが記載されています。 写真では見にくいですが、お持ちの方は是非中を覗いてみてください。 グランドの音へのこだわりは、下中図からも伝わってきます。鍵盤とハンマーレールが並行でないのが、おわかりいただけるでしょうか?


ベルトーン175_2
ベルトーン175アクション
ベルトーンFU33

これは、例え弦長の短いグランドといえど、最適な低音部の打弦点を求めるための工夫です。 セミコンサートグランドクラスで採用するメカニズムを、175cmのモデルでやってしまうところが素晴らしい。 結果、ズドーンと響く低音が印象的なモデルです。 下位モデルの165は、通常の構造になっています。
※このメカニズムは、ヤマハ製G5系の一部にも採用されていた時期があります。

上・上左・上中の3枚は、貴重なベルトーンのグランド175です。
当方にてホーバーホール後、都内の作曲家氏宅へ納品されました。
このピアノは、2004年TV朝日系「熱闘甲子園」の挿入歌に使われました。 関係者の方々へ、この場を借りて厚く御礼申し上げます。 アーティスト名: tekkanさん 曲名:「祈り」

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SCHWESTER(シュベスター)

エスピー楽器製作所(浜松)

東京蒲田で創業した調律師集団のメーカーです。 初期の アップライトは、大橋、西川と並ぶ日本の名器松本ピアノのデッドコピーをした、大変貴重なモデルです。 松本ピアノは、東ドイツのツインマーマンをコピーしています。
※ベヒシュタインの項参照
1952年からは、名調律師斎藤義孝氏の指導により、ウィーンの名器ベーゼンドルファーの構造を基にしたものに変更され、現在に至ります。 グランドは、スタインウェイD型の設計を基にしてあります。
※出典 旧東京音楽社版 楽器の事典ピアノ

その品質は、最も近代的で品質の優れた楽器として定評があります。その製造方法から、機械的にきちんと揃ったタッチが、Y社にとてもよく似ています。 加えてドイツ製全般の特徴である、しっかりとした造りも兼ね備えていることから、ドイツで一番実用的なピアノであると言えるでしょう。

シュベスター50号
シュベスター50号アクション
シュベスター50号下パネル内

3枚の写真は、比較的新しいモデルNo.50です。
構造上の特徴としては、響板に一般的なスプルースでは、その材質の硬さから音のダイナミックレンジが狭いため、 北海道産のエゾ松を使用していることです。(左図) また、一般のピアノよりも弦の張力が低いのですが、華麗な音作りのためにあえて張力を上げず、 響板など他の要素を工夫した結果、支柱やフレーム、および響板の経年変化が少ないとも言われます。

内部の作りは非常にしっかりとしています。 右図は1990年代のアップライトですが、大手メーカーが次々と新素材を使用していく時代の流れの中、 すべての部品を木で作製し、欧州機にも引けを取らない仕上がりとなっています。 また、外観上の特徴として、クラシックなものが多いこともシュベスターが人気の理由でしょう。 アップライトについては、型番の数字が大きくなるほどグレードが高くなりますが、特に最高峰のNo.59は、そのバロック風デザイン・音色ともに、最高の仕上がりであると思います。

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EASTEIN(イースタイン)

東京ピアノ工業(東京/宇都宮)

イースタイン150

こちらも調律師集団によって、念入りに作られたピアノです。
創業者松尾新一氏が、戦後間もない1949年頃、松本ピアノ系列の技術者を集めたのが始まりと言われています。それ以降第二次ベビーブームにかけて、大量にピアノが生産されていた時代においても、頑固に手作りに徹したピアノ作りを続けながらも、経営陣交代を繰り返し、最後は残った職人達による自主生産という形で、1990年6月まで続きました。詳細は 『響愁のピアノ・イースタインに魅せられて』という書籍に譲り、ここでは主に各モデルの構造的な特徴についてみていきましょう。


イースタインB

イースタインは、大手メーカー以外では技術的に生産することが難しいとされていた、グランドピアノをラインナップに持つ貴重なメーカーです。 150型という158cmの小柄なモデルから、190cmの250型、そして最高峰は195cmの350型という3機種のグランドがあり、最初のグランドである250型は、アップライトのB型完成から2ヶ月遅れて完成しました。

ただ、前述の通りグランドの生産は非常に難しいため、当時は主な部品が寄せ集め状態であった事から、短期間で製造が中止になります。その後、名調律師・杵淵直知の設計により、まったく別のモデルとして同名で復活。
この復活した250型には、様々な特徴的な試みがなされており、ブリュートナー的なくりぬき鉄骨(後述)や、フルコンサートグランドと同じ5分割のチューニング ピンセクションなどが見られます。
※チューニングピンセクションとは、調律時に回す弦を巻いたピンの集まりの事で、通常グランドは4分割です。

イースタイン200

250型の復活後に新たに完成したのが、同じくブリュートナーモデルの350型です。
米国製ピアノをモデルとしたと言われる150型は、全体的に非常にシンプルな構造で、くりぬき鉄骨の採用もありませんが、それでも欧州機をモデルとした他のグランドとは異なり、独特の香りを持つ貴重な 国産グランドであると思います。
そして、イースタインのグランドラインナップは3機種と申し上げましたが、実は知る人ぞ知る173cmの200型というモデルが存在します。これは創業者の一人である金山氏のご自宅に合わせたサイズとして試作され、のちに最後のラインナップとして加わった、幻とも言えるモデルです。
この試作された200型の実物は、長年に渡って金山氏のお弟子さんが管理されてきましたが、ご逝去に伴って現在は当方にて定期メンテナンスを請け負っています。

写真は、右上からグランド150型、アップライト最高峰B型、そして幻のグランド200型です。

続いてイースタインのアップライトについてですが、 ラインナップはU型・C型・N型・E型・T型などとあり、最高峰がB型です。 各モデルの特徴をみてみましょう。

1号機のブランド名はUSTEIN(ユースタイン=宇都宮のスタイン)で、開発に当たって宇都宮の女学校に眠っていたリトミューラー(LITMULER:国産・ドイツ製のRITMULLERとは異なる)をモデルにしたと伝えられています。その後、社名の東京ピアノ工業から、東(=East)を付けてイースタインとなります。この1号機の流れをくむモデルがU型です。
U型の生産が順調に進んでいた1953年、新たなピアノ開発のために、名調律師である福島琢郎氏を訪ね、そこでブリュートナーをモデルとしたY.HIROTTAというピアノに出会います。
各部を詳細に計測・研究し、これがその後のブリュートナーモデル(B型)誕生に繋がります。
B型完成後もアップライト開発の意欲は衰えることなく、B型をモデルとした純オリジナルラインナップとして、C型を完成させます。このC型は、B型の澄んだ音の系譜を受け継ぎながらも、重厚感のある音色を備えており、価格面では中間的存在です。
C型の鉄骨をそのまま使って、外装のデザインを変えたモデルがE型です。
同じくC型の鉄骨で、販売代理店でもある内外ピアノ仕様のデザインとした物がN型です。
そのほかにも少数生産品として、R型や小型のD型の存在もあり、これらはグランド200型と並んで、非常に希少な少数生産モデルとなっています。

時は流れて、瀬島氏が社長に就任された後も、これまで同様に名調律師の提案を受け入れるという手法で、アップライトの精力的な開発は続きます。斎藤孝氏から戦前のベーゼンドルファーを提供された時、これまでの木製部品の選定や加工について、ありとあらゆる注文がつきます。そうして1969年の秋に完成したのが、斎藤孝氏のTを取ったT型となります。


続いて、下の6枚の写真とともにご覧下さい。

イースタインB_アクション
イースタインB_ベース
イースタインB_下パネル内

上段3枚の写真が、イースタンのアップライト最高峰であるB型、下段3枚はドイツの名器ブリュートナーです。これらの写真を比べるとおわかりのように、イースタインのB型はここまで徹底してブリュートナーの再現をしてあります。

左側は鉄骨上部全体の形状、中央はチューニングピンを埋め込んである部分がくり抜かれ、真鍮製の板を埋め込んである、 いわゆるブリュートナー方式。右側は中音部を分離させた独特な駒の形状です。

ブリュートナーアクション
ブリュートナーベース
ブリュートナー下パネル内

これらの事実の検証のために、我が師がわざわざ入手してくださった時の貴重な記録です。

ちなみに、イースタインの製造番号は、先頭にあるアルファベットが製造月を表し、続く上二桁の数字が製造年(西暦)となります。 型番を表すアルファベットは、鉄骨部分に別途小さなレリーフ状として取り付けてあります。


以上、ここまで世界の名器と国産ピアノの貴重なモデルをご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
まだまだ私も知らない名器もたくさんあることと思いますので、日々の業務の中での新しい出会いを楽しみにしながら、 機会あるごとにご紹介していきたいと思います。

なお、記事の中でご紹介させていただきました写真の中には、お客様の貴重なピアノが含まれます。
掲載に当たってご快諾をいただきました皆様に、この場を借りて厚くお礼申し上げます。

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