すももの里

日々の栄養士雑感;9月

文責;ふー

03年8月

過去ログ


2003.09.26

公民館での「エコクッキング」の料理教室が無事終わった。
人数は少ないとは聞いていたが、当日の欠席者もいて、6名の受講者だった。前回の「血液サラサラ」は20人以上いたので、テーマによって、随分違うものだ。
この人数なら、ひとりひとりの反応を見ながら、話しができる。<エコ>の話しはさらっと流して、実際のムダを出さない料理の工夫について、時間を割いて説明した。残り野菜で作るピクルス、残った牛乳で作るミルクジャム。旬の食材を使うことのお勧め。旬の食材ということで、さんまの利用のしかた(前回のヘルシー料理でやったばかりなので、ネタは豊富だ。)、栗の保存のしかた、冷凍のしかたなど、具体的な話しをするように努める。具体的な話だと、受講者も質問がしやすいようだ。

調理実習は、「キャベツハンバーグ」「鶏皮のスープ」「ところてんの棒棒鶏風サラダ」「ヨーグルト白玉」と、おまけでりんごの皮を使った「アップルティー」のメニューでなかなかボリュームたっぷりだ。6人を2班に分けての調理にかかる。この公民館の調理室は、割と古い。コンロの火力が弱く、前回同様苦労する(前回は揚げ物があったので、なかなか揚がらず大変だった)。他にもペーパータオルがない、テフロン加工のフライパンがないとかあったが、それなりに対応する。そもそも、講師の側もいつも使っているわけじゃないから、物の置き場所からしてわからない。わたわたするのも、日常茶飯事である。回数を踏んでいくと、度胸だけは据わってくる。

大体予定の時間通りに、料理も出来て、試食しながら雑談タイムになる。
このころになると、お互いかなり打解けてくるので、話しも弾む。かぼちゃをたくさんもらって困ってるだとか、正月に昆布だしを沢山取るので、昆布を冷凍して取っておくが、結局捨ててしまうとか、相談もさらに具体的になる。かぼちゃはジャムと、煮カボチャにして残ったら、皮をはずして、クリームスープにするのがお勧めと言う話しをしてきた。昆布については、<冷凍前に細かく切っておくこと>をするだけで、すぐ調理ができるので捨てることがなくなると思いますよ、と説明したら、なるほどと、ひどく感心していただいた。昆布に限らず、ちょっと一手間掛けるだけで、そのまま冷凍するより、捨てる率はずっと少なくなる。

料理教室終了後、公民館の館長さんとお話をする。受講者の方が、細かな説明で良かったとおっしゃってたとお聞きして、うれしく思った。面白かったのが、人気の講座、不人気の講座のお話で、最近募集して予想を裏切る大反響だったのが、話し方教室だったそう。定年後の方が多く詰めかけたという。逆に毎回不人気なのが、就学前のお子さんを持つ、お母さん対象の育て方教室だという。お友達探しは、育児サークルでできるので、そういう意味ではひとは集まって来ないそうだ。毎回テーマを考える、お役所も大変なんだ。

2003.09.23

ばんざーい!終わったー。金曜日の公民館での資料完成。送ったぞー。
本番はこれからなのに、まるで終わったみたい。
講演会や調理の心配はまたあとですればいいや。

前回のヘルシー料理教室は、まずまず成功だった。
寒天はうまく固まったし(時間内に固まらなかったり、水の分量を間違って、いつまでたっても液体のまま、とかよくあること)、ねらいどうり、変わったさんま料理のレシピはウケたし。
特に生春巻き用に作った、辛い味噌(コチュジャンにはちみつとレモン汁を入れたもの)をすごく気に入ってくださった方がいて、おもてなし料理に今度作ってみるからといろいろ質問していただいたので、うれしかった。
献立の説明だけではなく、アレンジの仕方を紹介すると、喜んでいただける。たとえば、スイートポテト羹の場合、カロリーを制限しなくていい方なら、バターを加えると風味が出ていいとか、これからの季節、栗を入れるとおいしいとか・・・
レシピを作るこちらの方も、レパートリーが広がって、とても勉強になります。

2003.09.16

来週、公民館でやる、料理教室についてお電話をいただく。「資料まだ入力してないんですけど、これからやりますんで・・・」といきなり言われて、「ええっ、資料作ってくださったんですか?」とわたし。「?・・・あのう、前回わたしがレシピだったので、今回は、資料作成でしたよね。」(わたし)「ああ〜(絶句する、相手の方)、そうだった。」早めに確認して良かった!予定通りわたしが、資料を担当することで、一件落着。
今回のテーマは、<エコクッキング>である。この<エコクッキング>という言葉は、東京ガスの登録商標なそうである(つまり、勝手に使用してはいけない)。だから、内容がエコクッキング的なことで・・・とうち合わせている。
公民館の方の料理教室は、いつもやっている、生協主催のヘルシー料理教室と違い、市や町で決めたテーマに従い、何回か専門家による講演が行われ、最後に料理教室が開かれて終わり、という構成になる。前の回の講演を聴いているわけではないので、全体像が見えてこないのが難しいところだ。
どうも、今回のテーマ<エコロジー>は申し込みの集まりが悪いらしい。いまのところ、前回のテーマ<血液サラサラ>の半分くらいの人数しか集まっていないという。うん、確かにピンとこないかもしれない。身近に感じてもらうために、保存食の作り方とか、具体的にすぐ使えることを中心に資料を作るつもりでいる。

2003.09.12

インターネットのニュースで、「ニチロは<骨なし魚>の増産に入った。」というのが出ていて、???と思ってくわしくみてみた。すると、今秋から、新商品として販売する<骨なし魚>シリーズの青魚(アジ、サンマ、イワシ)が人気なので、生産量を増やすという記事だった。アジ・サンマは100%、小骨の多いイワシでも95%の骨を抜き取った商品だそうである。スーパーのお総菜、産業給食、外食産業からの受注が多いそうだ。
安い青魚は、もともと外食産業ではよく使われてきた。ただ、加工が大変なので、フィレ(開いた状態のもの)タイプが主だった。それが、これだけ骨抜きができるとなると、メニューの巾も広がるし、へルーシーブームにも乗って、人気がでるのだろう。
せっかくだからこれを、学校給食でも利用してもらえないだろうか。
学校給食は、子供たちが持ってくる献立表を見ても、本当に魚離れが進んでいる。アンケートをとっても、魚の人気は低い。理由は骨がいや(箸をきちんと持参していないと、先割れスプーンでは骨をとって食べれない、という問題もあるが)、形がグロテスク、家で食べたことがないから、などが並ぶ。せめて、骨の問題がなくなれば、少しは食べる子が増えてくれないだろうか。最近は学校給食を出す側の姿勢が、「残るものは出さない」になってきている。魚と同様不人気なので、ピーマンが献立から姿を消した。強制して嫌いなものを食べさせる、というのも問題だが、給食という、家で食べるものとは違う、いろいろなものと出会えるチャンスを活かさないのはもったいないと思う。

2003.09.10

来週のヘルシー料理教室のレシピを、そろそろ上げないといけない。さんまというと、ポピュラーな塩焼・蒲焼きの他にも調理法は豊富だ。けれども、揚げ物はカロリーと揚げ油の処理の都合で、望ましくない。すり身も、器具と時間の都合で、パス。漬け込むのも、時間が足りない。生ものは衛生上心配なので、やっぱりパス。
結局、みそ蒸しと、生春巻きの2種類を採用する。あとは吸い物と黄身酢あえとスイートポテト羹で決定。
今年は、生さんまが安い。TVで見たのだが、今年が特に豊漁というわけではないそうだ。ただ、今年のさんまはどういうわけか、とても油がのっていて、加工品(缶詰・干物など)にはあまり向かないらしく、生のまま売られる割合がとても高いそうである。だから生さんまが、どっさり売られているわけだ。
せっかく安く売っているのだから、いろいろ調理法を覚えて家でも作っていただきたいと思っている。

2003.09.06

太陽が、野菜に濃い色素を身につけさせた。という話を昨日書いたが、太陽の恩恵はそれだけではない。身近なところでは、干しいたけがある(最近干しいたけとして、売っていても、機械で乾燥したものが売っていたりするので、油断できないが。)。
天日干しのしいたけは、ビタミンDがたっぷり入っている。これがどう体にいいかというと、カルシウムの吸収を助けてくれる。昨日のガン予防についても、カルシウムは効果があるらしい。カルシウムがガンを防ぐ体質をつくるのだ。
どういうことかというと、カルシウムが、体内の細胞を結ぶコラーゲンを丈夫にして、ガン細胞が入り込めないようにしてくれる、働きがあるためなのだ。カルシウムもビタミンDも偉いが、それよりもさらに太陽はエライ!(ちなみに機械干しのしいたけでも、家で天日に干せばビタミンDが増えます。)

○○っきりTVのような、健康番組は時々チェックしている。今のはやりが何か知りたいし、どんな根拠でその食品をすすめるのか、知りたいからだ。ただ、「おいしく食事をする」ことにはあまり、注意を払ってないように思われる。
「さんま」にしても、レモンがいいというところで、目安として「レモン1/2個分の絞り汁」と、番組ではいっていたが、実際レモン1/2分の汁をかけたさんまを食べるのはつらいものがあると思う。酸味に弱い男性の場合はなおのことだ。食品の効能を知った上で、実際の食卓でそれをどう活かすかが栄養士の仕事だろう。

前に、ヘルシークッキングで、「血液サラサラ」のテーマを取り上げたことがある。そのとき、「玉ネギを水にさらして・・・」と説明していたら、「玉ネギ1分30秒以上水にさらすと、サラサラ成分がでてしまうんですって!」との声。どこぞの健康番組でやっていたらしい。それは確かにそうなのだが、それでは、食感が損なわれてしまう。そのときは「水にさらすのは、歯触りをよくするためで、そのほうがおいしく食べれますよ。おいしいとたくさん量も食べれますから、充分な栄養成分はとれますからね。」と説明したのだが、納得してもらえたかどうか。

この手の健康番組では、栄養学的な見方の、一部分だけを抜き出して、強調するものだから、全体で見ると歪な見方になってしまう。番組としては、その方が、ショッキングな結果を引っ張り出しやすくて、面白いのだろうが、見ている人は、それをそのままに受け取らされてしまう。××さえ食べていれば、とにかく体にいいと思い込んでしまう。だから、一部の栄養士・専門家にはこの手の健康番組は、非常に評判が悪いのだ。
ただ、家庭の主婦にとっては、こういう番組が、栄養に関する重要な情報源であるのは確かだし、基本的に間違ったことを言っているわけではない。現場の栄養士としては、これをうまく利用させてもらいながら、歪になっている部分をやんわりと正していくような姿勢が必要かもしれない。

2003.09.05

「さんま」について、○○きりTVで、取り上げられていた。なんという、いいタイミングだろう。きっと、教室にくる方の何人かは見ているだろうな。夏が終わったあとの疲労回復にいいということで取り上げられていたのだが、さんま+大根おろしよりも、さんま+レモンの方がいいというのは初めて知った。さらに、かぼすに替えると6倍もよくなるということだが、6倍って...この6倍の根拠がわからないし、語られないのが、この手の番組のうさんくさいところではあるが、料理教室の時のネタふりには使えるので、最近は結構チェックしている。

他には、茄子の味噌炒めに白ゴマの組合わせがガン抑制効果がある、ということもとりあげられていた。もともと、茄子の皮の紫のところには、活性酸素のはたらきを抑えて、癌細胞の発生を抑制する、抗酸化作用があるといわれている。それに味噌の原料に使われる、大豆の中のイソフラボンという成分が(これも抗酸化作用がある)さらに効果を増すということだろう。これにゴマを加えると、健康効果が8倍になるということだ。
例によって、番組内でこの根拠は語られなかったので、自分で調べてみた。ゴマにはやっぱり抗酸化作用があって、とくに肝機能を強めてくれるのだけど、それだけじゃない。細胞膜の脂肪が酸化されて、細胞が癌化するのを防ぐはたらきをしてくれる。(ちなみにゴマは炒って使ったほうがいい。抗酸化作用も増すそうだし、何より香りが出ておいしい!)

活性酸素とか、そのはたらきを抑える抗酸化物質というのは、最近話題になっているのだが、簡単に言えば、色の濃い食物を食べなさい(極言しすぎ?)ということ。茄子にトマト、すいか、ブロッコリー、かぼちゃ、ピーマン、大豆、玉ネギ、鮭、イクラ、キンメダイ、ゴマ、赤ワイン、緑茶、ハーブ類、海藻類などなど。単品ではなく、これらを組み合わせて食べるのが、ポイント。
野菜についていえば、もともと植物が太陽(紫外線)から身を守るために、濃い色素を身につけたらしい。いま、それを人間がちゃっかりいただいているわけだ。自然のメカニズムに感謝して、おいしくいただかなくてはいけませんね。

2003.09.04

次回のヘルシー料理教室のテーマが決まる。「さんま」だ。今度はわたしが、レシピ担当である。素材が決まっていると、かえって楽だ。あとは、前からやろうと思っていた、<黄身酢あえ>を入れて、カロリーを抑えた献立にすればいい。
この教室は、健康指向のおば様方が相手なので、ちょっと変わったメニューが喜ばれる。調理の方は、ベテランばかりなので、説明はするがあとはおまかせ。そのおかげで、時々とんでもない失敗も起こってしまうのだが・・・

こちらが一方的に教えるのではなく、先輩からいろいろ教えていただくことも、たくさんある。話題に困ると、誰かに話しを振ると出るは出るは、面白い話がいっぱい。本人、もしくは親近者が生活習慣病になってしまった、という人も年代的に多い。だから、体験談を話してもらうと、みんな真剣に耳をかたむける。そもそもこの教室自体のねらいが、生活習慣病の予防なので、効果は抜群である。

2003.09.03

外食産業には、実はお世話になっている。最初に就職したのが、委託給食の会社だっったし、今現在、お総菜屋さんで仕事をしている。現在の職場では、カロリー計算・メニュー提案などが主な仕事である。お弁当を、店舗で販売しているのだが、去年あたりから、0Lをターゲットにした、低カロリー弁当を作り、それを、インターネットで予約注文を受ける形で販売している。
今年はそれをさらにすすめて、お弁当の宅配事業を始めるのだ。対象は、店舗に来るのもたいへんなお年寄りとか、時間に余裕のない、生活習慣病予備軍の中高年層を考えている。今日のミーティングも、もっぱらその話題だった。
とにかく、お弁当箱を2種類用意して、普通食とヘルシー弁当を提供することを決めた。将来的に100食注文が取れれば、採算が合うというが・・・なかなか、外食産業界もきびしい。
料金設定や、キャンセルの扱い、販促の進め方など、クリアしなければならない問題は山積みだ。でも、新しいことを始めるというのは、恐さはもちろんあるが、ワクワクするような感覚も味合わせてくれる。このような場に参加できることが、なによりうれしい。ずっと家にこもっていたら、こんな気持ちは味わえなかっただろう。

2003.09.02

最近の外食産業のこと・・・ちょっと前までは、牛丼もハンバーガーも安売り合戦だったのに、近ごろはヘルシー路線・高級路線がはやりらしい。胚芽バンズとか、植物油100%で揚げてますとか、有機栽培野菜を使ってますなど、安かろう・まずかろう・反健康的・・・というイメージを払拭しようとしているらしい。
もともと、ヘルシーブームは何年も前から来ていて、コンビニや店舗にならぶお弁当に、カロリーが表示されているのは、もはやあたり前になってきている。
雑穀米もずっとブームで、発芽玄米あたりが去年あたりから、よく売れている。それでも最近驚いたことが、2つあった。
ひとつは駅弁で、そのものずばりのお弁当が売り出されていたこと。「血液サラサラになる弁当」「肌がきれいになる弁当」「カルシウムたっぷり弁当」「スッキリファイバー弁当」「貧血にならない弁当」・・・こんな感じ。ここまできたのか!と思った。お弁当のごはんは、発芽玄米、ひじきごはん、黒米なんかを使っていて、その辺もこだわっている。見てたら(新宿のJRです)、結構若い女性が買っていた。
もうひとつは、健康をテーマに取り上げる番組のガイド雑誌が発売されたこと。
何月何日、何時から○○テレビの××という番組で、何の食品の効果について取り上げるということが、これを読むと一目瞭然!だれが読むんだろう。八百屋やスーパーの仕入れには役立つだろう。健康オタクのひとがこれをみて、チャンネルを合わせるのかな。朝から晩まで・・・考えると恐ろしいかぎりだ。

2003.09.01

今はやりのこと・・・<ペットボトル症候群>最近はやりのアミノ飲料なんかも、糖分が多いものがあるので、ガボガボ飲むと、肥満・糖尿病に繋がってしまう。
<特定保健用食品>厚生労働省が認可した、「生活習慣病の羅患を回避できるように工夫した食品」のことをいう。メーカーの申告制なので、実際は厚生労働省もどこまでチェックしているのか、全くわからない。でも売る側はそれを宣伝するし、買う側もそれを見て買ったりするんだから、困ったもんだ、という話がこの前の栄養士の集まりで、問題になった。
<牛乳信仰>牛乳といえば、カルシウム。成長期の子供にも、お年寄りにもカルシウムの吸収率がいいからといって、ずーっと勧めてきたのが、最近取りすぎによる問題がわかってきた。そもそも、アメリカ人はよく牛乳を飲む。それなのに、骨粗鬆症が日本人より多かった。何故かと調べたら、カルシウムを摂り過ぎると、からだの中のバランスが崩れて(特にリンとのバランス)、逆にカルシウムが体外に排泄されるというのだ。結局、吸収の効率がいい牛乳より、小魚や海草で、少しづつでも摂っていた日本人はエライ(?!)ということらしい。栄養状態が良くなった今、牛乳の飲み過ぎは、肥満の面からも問題になっている。
とはいっても、戦後世代や給食で「牛乳残しちゃいけませんよ!」といわれてきた世代には、牛乳信仰はなかなか捨てられない。


03年8月

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