横から横へ


1,基本の姿勢

泳ぎを教わるときに最初に教わるのは姿勢でしょう。
手を組んで上にのばし、体を一直線にして、水面に肩を平行にしたいわゆる「けのび」の姿勢を教えられ、覚えます。
そしてこれが「基本の姿勢」であると習います。
しかし泳ぎの中でこの姿勢(けのびの姿勢)でいること(時間)はほとんどないのです。

2,姿勢の変化

映像は先日200m自由形で世界記録を出したオーストラリアのG.ハケット選手の水中映像です。
1コマは0.1秒ごとになっています。 15コマありますので左右の手をかくのに1.5秒かかっていることが分かります。そしてよく見ると分かりますが肩が水面と平行でいるコマは左手、右手それぞれでわずかに1コマしかありません。(3と9)
右手は体の中心線へ入水後(1)、右肩がアゴの下にはいるようにしながら(2から5)、さらに前方へ伸ばされます。
伸ばしきると共にそのままキャッチ(5から7)になります。
そしてこのとき(キャッチの時)に体は最も傾いています。
その後も傾いたままプルは進行し、胸の前を通過するまで右に傾いています。(9まで)
胸の前を通過し、左手の入水動作と共に右手のフィニッシュの段階にはいると一気に左へ傾き始めます。(10から12)
その後左手も右手と同様な動きをし、体の傾きも同様に左から右へ変化します。
このように体は右から左、左から右、右から左、……と延々と傾きを変えながら泳いでいるのです。

3,いわゆる基本の姿勢

けのびの姿勢に意味が無いかというと、そんなことはなく、やはり重要です。
この姿勢(けのび)は抵抗が最も少なく、水中を進むのに適した姿勢ですのでスタートやターンの後では特に重要ですし、ここから動き出すと考えてもらえば分かりますが非常に重要です。
しかしクロールという泳ぎは肩、背中、腰の角度をたえず変化させながら泳ぐ泳ぎであり、けのびの姿勢を基本の姿勢と強く意識するあまりそれに固執し肩や腰の動きを阻害してしまってはいけません。
変化しないのは頭の位置と頭から足先までの体の中心線、軸だけなのですから。

4,右から左への変化

体が水平でいる時間は短いほうがよいのです。

右傾きから左傾きへと変わるタイミングはフィニッシュに移るときなので、ここで時間がかかるとフィニッシュに移るタイミングを逸してしまします。強力なフィニッシュをする為には水平でいる時間をなるべく短くしなくてはいけません。

5,トレーニング

体の傾きが変わるわけですからそれを意識した練習が必要です。
"傾きを意識しながらの"サイドキック、片手スイム、入水練習、陸上でのイメージトレーニングなどが有効でしょう。


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