ポポフの泳ぎ−2秒47の差 その1


100m自由形の日本記録と世界記録の差を知っているでしょうか?世界記録は48秒21、日本記録は50秒68で、その差は2秒47、距離にすると約5mもの差になります。今回は日本選手と世界記録保持者A.ポポフの映像を比べながらその差について考えていきます。
1,「違い」
(1)姿勢の違い
まず目に付くのは頭の位置(顔の向き)です。 「前方を見る」とよく言われますが、ポポフはほぼ真下を向いています(頭を水平にしている)。真下を見ることにより前方を見るときよりも体がフラットになり、よりストリームラインに近づき、抵抗を少なくしています。

(2)入水の違い

手の入る位置が違います。また同時に肩の位置も違って います。 ポポフは頭の延長線上、体の中心線に向かって入水しています。(画1,2) 肩の位置は上から見れば頭により近く、水中で見れば肩はアゴの下に入ります。(画4)
2,「違い」からくる差

(1)ストローク長の差
図3、画4を見て一目で分かるように入水時には肩が前に出て、フィニッシュの時には後ろから出るのでストローク長が長くなります。

(2)力の入り方の差
ストローク長の差は単純に目で見てすぐに分かりますが、実際にはこちらの差の方がスピードに与える影響は大きく、その差は入水後に手をかき始めると現れます。

(3)「かき出し」の差(方向)
それぞれ下にかき始めたあとは日本選手が図4、画5ポポフが図5、画6のようになります。
日本選手はかき始めた後も手はまっすぐで前から見ると肩のラインからはずれた方向に動き、肩のラインと手かき出す方向の角度は大きくなっています。(図4) これに対しポポフは肩のラインとほぼ同じ方向にかいています。(図5)
「かき出し」の位置では肩のラインに沿って手を動かすのが一番力が入りますのでポポフの方が力を効率的に発揮していることが分かります。 バタフライやその他の泳ぎでもトップスイマーは同様の動きをしています。画7はMマーハーのキャッチの様子ですが、ポポフの手を両方そろえたような形になっていることが分かるでしょう。


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