★  第8回  ★ 

 シーズンオフの話
去年の12月のレースが、久々達成感を満たす結果であったので、ここ2ヶ月バイクに乗っていない。もっぱら2つの板に乗ってばかりいる。
今年は暖冬なので雪が少ない。スキー場に行く途中の景色は真っ白になっているはずなのに、今年は埼玉のそれとほとんど変わらない。ふと、バイクでスキーに行けるんじゃないか?と錯覚してしまうほどだ。
正月早々、冬眠しかかっているバイク達のエンジンをかけてみた。BMWは少々セルが苦しそうに回っていたが、無事かかった。次にゼファーをかけてみた。セルボタンを押すと"キュル、キュル、キュル"と苦しそうな音を出すだけで、エンジンは回りださない。車のバッテリーを使ってみたが、状況は変わらない。「あ〜、駄目かぁ。」それで僕の方が一気にやる気を無くしてしまい、エンジン始動の儀式はあっさり終わってしまった。可哀想なことに、TT250はカバーすら外されないままになってしまった。(キャブの中身が腐ってしまいそうで怖い。)
去年は、年末に立て続けに筑波の自己ベストタイムを更新することができて、とても嬉しかった。しかし、「タイムの向上・イコール・上手くなった」と言いきれないもどかしさがある。だから今年は、バイクをコントロールできるようになったと、もっと実感できるようになりたいと思う。まず手始めに、低速の8の字走行から始めよう。最近は遠ざかってしまっているオフロードも、もっと走りたいと思う。ローンの終わったBMWで、タンデムツーリングにも行かなくてはならない。今年も時間が足らない1年になりそうだ。
 勝つ為に
スーパーバイク選手権でドゥカティ996に勝てないホンダが、ついにドゥカティと同じ2気筒1000ccのVTR1000SPー1を発表した。750cc4気筒を使っていたホンダは、ことあるごとにドゥカティが排気量で有利なことを非難してきた。そのホンダがドゥカティと同じエンジン形態を今シーズンから使うことになった。僕はホンダが今回やったことは、勝てないことに我慢できなくなった単なるダダッ子のように思えた。しかし、メーカの立場で考えると、負けているばかりではお話にならない。メーカにとってレースは勝たなくてはいけないものなのである。
ホンダは今までただ単に勝つこと以外でも、色々と話題を提供していた。スーパーバイクでもV型4気筒でやってきたのは、他のメーカと同じエンジンレイアウトをよしとしないホンダの意地があったように思えてならなかった。
近年、世界的に経済が停滞する中で、レースのエントリーの数が減少しつつある。 その状況を考え少しでもレースを低コストでできるように、ホンダはVTR1000SPー1を110万円で販売することになった。これは、破格の値段といっていい。ライバルであるドカティのレース用の996SPSは300万円、さらに996コルサは500万円である。(厳密に言うと部品のグレードにかなり違いがあるので、一概に996の方が高いとは言えないが。)
ふと、このバイクがアマチュアレースに及ぼす影響を考えると、少々恐ろしくなってしまった。これを買った人が大挙してアマチュアレースに参加してくる。その結果、ますますレベルは高くなってしまうだろう。しかし、競争激化は考えすぎだったようだ。アマチュアレースのレギュレーションでは、VTR1000SPー1は(もちろん996コルサも)、最高峰のエキスパートクラスのみの出場が可能とのこと。僕は直接影響を受けるわけではないが、少々安心したのだった。

■レース日記 第8回

燃料タンクのメッキ

97年の12月のレースの1週間前、バイクの不調から第一へアピンで大転倒をしてしまい、その時に今までほとんど傷をつけていなかった奇麗なタンクを全損にしてしまった。その後、ツキギレーシングの田中さんから新品同様のタンクを手に入れていたのだが、それまでのタンクは特注の奇麗な塗装だったので、同じ色にするにはお金がかかりそうだった。そんな状況だった上、たまたまガレージセールで、今使用している灰色の外装一式を手に入れることができたので、新品同様のタンクは大事に保管されたままになっていた。
昨年、仕事の関係でメッキの工場に打ち合わせに行く機会があった。そこでは、色々な製品がメッキされていた。ふと、タンクをメッキしたら奇麗だろうなと思った。打ち合わせが終わった後、技術部長のHさんに「メッキをしてもらいたいものがあるのですが…」と切り出し事情を説明したところ、「いいですよ、やりますよ。」ということになった。
図々しく頼んだまではよかったが、なかなかタンクを持っていくことができずに年が明けてしまった。シーズンオフの今を逃したらチャンスはない、と思いHさんに電話をしてみた。半年も経ってしまっていたので、忘れられていることを覚悟していたが、幸いにも覚えていてくれたのでホットした。
メッキは塗装と違って、電気を使った化学反応を利用し、金属の表面に被膜をつくる。タンクは塗装されているので、先ず塗装を剥がさなくてはならない。塗装を剥がす作業は、もっとも簡単な剥離剤を使って行った。ドロッとしている剥剥離剤をタンクに塗って待つ事10分、なにやらグツグツという怪しげな音が聞こえてきた。タンクの塗装はあっけなく浮き上がり、ブラシを使って水で洗い流すと、タンクの地肌が剥き出しになった。これで準備完了。後はメッキをお願いするだけだ。

エンジンのオーバーホール

先日、ゼファーのエンジンのオーバーホールをツキギレーシングに頼んだところ、とんでもない話を聞かされた。今まで面倒をみてもらっていた東京の支店が、なくなってしまうという。今年からアメリカに店をだすので、そちらに力を入れるというのだ。ゼファーに乗り始めて以来、ずっとお世話になってきた店がなくなってしまうのは、僕にとって大打撃だ。でも、これからは自分のバイクは自分で面倒をみなければならない。その話を聞いてから、しばらく憂鬱な気分になってしまった。
1月の下旬、ゼファーをツキギレーシングに持ち込んだ。工場が整理されてしまっていて、かなり広く感じる。改めてここがなくなってしまうことを実感して、悲しくなってしまう。
具体的なオーバーホールの項目はエンジンを開けてから、ということになった。ツキギレーシングの田中さんは、場合によっては排気量アップも考えているようで、改めて相談ということになった。しかし、2月末までという制限もあるので、作業内容は早急に決めなくてはならない。

今年のレース計画

筑波サーキットから、今年のスケジュールが届いた。今年は、いつも出ているレース以外にも出れそうなものがあるので、情報を集めている最中。現時点で決まっているのは、以下の通り。
 ▽  5月 7日(日) トランスエコー
 ▽  5月27日(土) テイスト・オブ・フリーランス
 ▽ 11月11日(土) グランドスラム・4
 ▽ 12月 2日(土) テイスト・オブ・フリーランス
毎年のことだが、5月と年末にレースが集中してしまい非常に慌ただしい。仕方がないと言えば仕方がないのだが、何とかして欲しいものである。

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