★  第4回  ★ 

 ジェットヘルメットで走ってみたら...
自動車と違って危険と隣り合わせのバイクは、乗る時に身につけるものは安全のことを考えないわけにはいかない。しかし、安全のことを考えすぎると皮ツナギのフル装備しかなくなってしまう。皮ツナギというのはサーキットを走るには必要不可欠であるが、ツーリングで着るのは、かなり恥ずかしい。だから僕はいつもは、肌が露出しないような服装で走っている。肌が露出していると、体温を奪われて疲労の原因になったり飛び石などで怪我をすることもあるから、夏でもTシャツ等では決して走らない。というよりも恐くて走れないのだ。
今までずっと、ヘルメットはレースと同じフルフェイスを被っていた。でも、去年暮れに「街乗りだったらジェットヘルメットがいいぞ」と言われて、今年になってから使うようになった。最初は、顎の部分が守られていないシールド1枚だけのジェットヘルメットは恐かった。何かあったら顔がグシャグシャになりそうな感じがしたが、慣れてしまえばそれも全く気にならなくなった。それどころか、視界のよさに景色を見る余裕がでてきて、走りに行くのが楽しみになった。その上、ヘルメットを脱がなくてもちょっとした飲食ができるし、写真を撮る時にファインダーを覗くのがとても楽になったこともうれしかった。
ジェットヘルメットに慣れてしまった今、フルフェイスを被って走っていた自分の姿を考えると、とても恥ずかしく思う。確かにフルフェイスの方が安全であるが、ジェットヘルメットの開放感は代え難いものがある。今度はどこの風景をジェットヘルメットで楽しみに行こうか。

◆左と右
最近、左コーナが苦手だ。サーキットを走り始めた頃は、左コーナの方が得意だった。初めて膝を擦ったのは筑波の第一へアピン(もちろん左コーナ)だったのに、今では左コーナでは膝をすることはほとんどない。日本のサーキットはほとんどが右回りだ。右回りである以上は右コーナが多いのは当たり前で、右回りの筑波も右コーナ4ヶ所に対して左コーナは2ヶ所だ。最近走り始めた"ツインリンクもてぎ"も右回りで右コーナ7ヶ所に対して左コーナは5ヶ所と少し少ない。
苦手意識をもてば持つほど体は硬直してしまい、走りはギクシャクしたものになってしまう。雑誌では普通右コーナが苦手な人が多い事になっている。理由は「日本は左側通行で右コーナは対向車が来る。」から、そのせいで右が苦手になるというのだ。「利き足が右の人は右コーナが苦手」という話もある。右利きの何人かに聞いてみたがほとんどが右コーナが苦手だった。僕の利き足は右だ。利き手は左であるが、これはあまり関係なさそうだ。
いったい何が原因で、左コーナが苦手になってしまったのだろうか?ただ単に下手なだけというだけなのだろうか。

◆続・左と右
苦手な左コーナの克服するため、ツーリング先でも左コーナを意識して走るようにしている。するとやはり、左は得意な右に比べて気持ちよくアクセルを開けていないことに気づく。ビビってしまいリーンできなかったり、リーンさせてもバイクがフラついたり...。意識すればするほど上手く行かない。まぁ、そう簡単に上手くなるわけないので、気長に練習するしかないのかな。

◆温泉ツーリング
ツーリングに行かなくなって久しい。泊りでは、1年近くも行っていない。8月の終わりに日帰りで600kmを一気に走ったら、「やっぱりツーリングはいいなぁ」と改めて思った。それからツーリングに行きたくてしょうがなくなってしまった。行き先は、温泉があって安く泊まれる所を知っている妙高に決定した。宿を確保すると、なんだかソワソワして落ち着かなくなってしまっていることに気がついた。初めて泊まりでツーリングに行くような感じになっていた。
出発の朝、1泊の荷物と雨具をロードスターのパニアケースに積め込む。BMWは純正のパニアケースがあるので、荷物を簡単に積めるのでとても便利だ。このパニアケースは一度使ってしまうと、手放せない優れものだ。出発が遅くなってしまったので、妙高まで最短距離で行くことにした。途中、工事をしている場所が何ヶ所もあって道は混んでいた。すり抜けでどんどん進んで行くが、かなり時間が無駄になった感じがする。案の定、菅平についた時は、午後1時を過ぎていた。
天気は雲が多いものの晴れていたので、コンビニで弁当を買って菅平のゲレンデの芝生の上で食べることにした。弁当を食べ終わると、急に眠気が襲ってきた。「数ヶ月後にはここは一面の銀世界になるんだろうなぁ」と早くもスキーのことを考えながら、しばらく昼寝をした。
ふと目が覚めると、2時になっていた。R406を長野方面に向かっていくと、途中に「米子瀑布」の看板が目に入った。いつもなら通りすぎているのだが、今日は時間があるので、行ってみることにした。看板に従って行くと、道はどんどん狭くなっていき、山奥の駐車場で行き止まりになっていた。案内板をみると、米子瀑布は3つの滝の総称で、徒歩20分程度で行けるらしい。バイクを降りて行ってみることにした。細い山道を休み休み歩いていくと、途中に滝があった。水の流量は少ないが落差80mの滝は迫力があった。そこから数分行くと、神社があってその奥にも滝があった。ここは古くから信仰があった由緒正しいところらしい。聞こえてくるのは、セミの声と清流の音だけ。駐車場に戻って山を振り返ると、険しい山に雲がかかっている。とても神秘的な場所だった。
再びバイクに跨って走り始める。時計は3時を指していて、日の光がオレンジ色になってきた。R119のワインディングを楽しんだ後、無事宿に着いた。宿に着くと、宿泊客は僕一人とのこと。食事も山菜と魚が山のように用意されていて食べるのが大変だった。その後、温泉にのんびりと入り、その後10時には寝てしまった。
2日目の朝、天気予報を見ると長野・新潟地方は午後から雨の予報だ。雨を避けて福島経由で帰ることも考えたが、どうしても日本海を見たかったので雨を覚悟で長野周りで帰ることにした。夏の日本海は、波が小さくてとても穏やかだ。10月頃に見た荒れた海と同じとはとても思えない。心配した天気も、晴れ間が出ていて雨の降りそうな気配もその時はなかった。しかし、白馬村を通過し長野オリンピックのジャンプ台が視界に入る頃になると、雲行きが怪しくなってきた。今更引き返すわけにも行かずそのまま行くと、ついに大町の辺りで雨が降ってきてしまった。「天気予報通りだ」と思いながらカッパを着る。雨は松本付近で一旦止むものの、R142の和田峠付近で再び強く降ってきた。それから家までの200km、雨はずっと降りっぱなしだった。でも、視界のいいジェット・ヘルメットを被っていたおけげで、それほど苦にはならなかった。やはり、公道はジェット・ヘルメットに限ると実感したのだった。
久しぶりの泊りがけのツーリングだったが、今年中にもう一回どこか(もちろん温泉)へ行きたいと思う。

■レース日記 第4回

プール練習会にて、右筆者 大澤氏
プール練習会にて、右筆者 大澤氏
去年に比べてアクセルの開け方が早く大きくなっているのに、タイムに結びつかないのは、パワーに対してタイヤが完全に負けてしまっているのが原因だと、最近思うようになった。タイヤがパワーに負けないようにするには、タイヤのグリップ力を大きくするしかない。単純に考えればタイヤを太くすればいいのだが、ホイールも変える必要があるので費用が10万以上かかりそうだ。
今年の春にミシュランから発売された"パイロット・レース"の記事を読んだ僕は、その内容に驚いた。レース使用を前提とした"パイロット・レース"は、スリックタイヤなみのグリップを確保しているという。今まで使っていた国産のD社・B社が公道使用を意識してグルーブ(排水用の溝)をタイヤのショルダーまで入れているのに対して、フルバンク時のタイヤの剛性アップに配慮して"パイロット・レース"のグルーブはショルダーまで入っていない。実際にサーキットで"パイロット・レース"を使っている人に話しをきいたところ、フルバンク時のグリップはかなりいいという。早速僕も試してみることにした。

■9月10日 筑波練習走行
"パイロット・レース"で走るのは始めてなので、少々緊張する。タイヤの空気圧は、今までと同じ前2.0kgf/cu・後2.1kgf/cuで走ってみることにした。走り始めると、タイヤが硬い感じがして接地感がつかみにくいが、全体としては、とてもニュートラルな特性で安心して走っていられる。そして驚いたことは、何気なく進入した最終コーナで、簡単にひざを擦ってしまうこと。今までは、ハイペースで進入して一気にリーンさせないと膝を擦ることはなかった。しかし、タイヤの空気圧が高いと感じたので、空気圧を前後共に空気圧を0.1kPa低くしてみることにした。
2回目の走行が始まると、0.1kPa低くした空気圧が的中して、接地感が一気に高まり安心してコーナに進入することができる。コーナ後半をアクセルオフのままクリアしようとしてもチャタリングが起こる気配も全くない。だから、自由自在なラインを走ることができる。コーナの立上りで起きていたリアタイヤのスピンもあまり起きている気配がなかった。2回目の走行はVF友杉さんと一緒に走ったのだが、太いタイヤを履いていてライン取りに苦労している彼を、軽く抜くことができた。走行後に「どこからでも抜いていくねぇ」と感心していたが、"パイロット・レース"はそれを可能にできるタイヤだった。後を走っていた井出君が8秒台走っても全く追いつけなかったと言っていたので、かなりいいタイムが出ていたと思う。計測ができなかったのは残念だった。
"パイロット・レース"はとてもいいタイヤである。しかし、どんなにいいタイヤでも万能ではない。雑誌の記事に、「グリップが優れていても絶対に過信してはならない」と書いてあった。しかし、"パイロット・レース"はグリップだけではなく、過渡特性も非常に優れている。実際に2回目の走行中に1度タイヤを大きく滑らせてしまったが、滑り出しが穏やかだったので大きくバランスを崩すまでには至らなかった。グリップがよくなり限界が高くなればなるほど、そのコントロールはシビアになる。ミシュランの"目指す性能は安全のために"というキャッチフレーズに敬服するばかりだった。この性能をどこまで引き出せるか、今後試していこうと思う。

■9月24日 筑波練習走行
「今年は暑い」という文字を何回使っただろうか?事実、今年は走行中に何回もエンジンがオーバーヒートを起こしてしまい、対策を考える必要が生じていた。しかし、準備の悪い僕は結局、熱問題を放置していた。 とりあえず、油温計を装着し現状を把握することにした。そして、ラップタイムの自動計測器もつけることにした。これは、サーキットに埋め込まれた磁石の上をセンサーが通過すると、ラップタイムとして計測するものである。これでリアルタイムでラップタイムを確認することができるので、効率よく練習ができそうだ。しかし、練習走行開始直前までセンサーの取り付け作業をしていた上、台風接近であらかじめ交換していたレインタイヤをドライのタイヤに交換する作業にも追われてしまい、練習に集中できなかった。しかし、去年から全く雨に降られていない。なんてラッキーなんだろう。

◇ダートトラック体験その2

7月に始めて体験したダートトラック、同じイベントが9月25日(土)に開催された。今回は目一杯走ろうと思い、10時過ぎに会場である桶川スポーツランドに着いた。が、コースの周りは既に人がたくさんいる。前回の様子を"ストリートバイカーズ"誌でカラーで紹介していたせいもあって、参加者が急増してしまったらしい。そのせいで、1回コースに出るのに30分以上待つのは当たり前。そんな状態なので、昼食のバーベQにありつけたのは午後1時、それまでに走れたのはたったの20周だった。
今回は、SR500のダートラ用バイクに乗ってみた。前回はXR100にずっと乗っていたら、安田さんに「SRにも乗ってみなよ、面白いから」と言われた。でも、初めてのダートラで大きいバイクは正直なところ乗るのが恐かった。しかし、このまま引き下がっていては、馬鹿にされるだけである。思い切って乗ってみたら…、これがとても乗り易いのである。XR100に比べてSR500は重いしパワーもある。最初はそれが扱いきれないと思っていたが、重い車体は慣性が大きいのでスピードを高めなくてもズルズル滑り始めるし、大きいパワーは立ち上がりで簡単にスライドさせることができる。特にSRのエンジンのドコドコ感がとても気持ちよく、気持ちよく立ち上がりでカウンターを決めることができた。もっと乗りたかったのだが、参加者がとても多くてほとんど乗ることができなかったのが残念だった。
今回、大きいバイクの方がダートラがし易いことは意外な発見だった。僕は以前にレースで使っていたSRX600を持っているが、このバイクをダートラ用に改造してしまおうと真剣に考えている。


バイク乗りの独り言 インデックスへ酔水新聞トップページへ

ご意見ご感想はこちらまで