子どもを育てながら働く

第36回 『つかの間のバカンス』

 会社で働きながら、平社員である私は宿泊出張に行くこともなく、平凡な生活を送っています。ところが、会社の命令で研修を受けることになりました。中堅社員として3日間の研修を受けなければなりません。いくつかのコースやスケジュールから希望する研修を選ぶことができ、「創造力開発コース」なる研修を3月8〜10日までの3日間+前日泊の3泊4日のコースでした。

 7日の夕方に職場を出発し、10年ぶりに東海道新幹線に乗り三島まで行き、そこから会社が手配した伊豆箱根鉄道の観光バスに乗ること45分、富士のすそ野の研修所での生活が始まりました。その晩はシャワーを浴びて眠りにつきました。翌8日朝、目覚めるとさわやかな音楽が流れ、7時30分には「朝食の準備が整いました。」との放送が入り、食堂で朝食。食後は8時30分から研修が始まり、昼食、ティータイムを挟み、18時には終了しました。その後は懇親会〜宴会とお気楽な晩でした。翌9日も夜10時まで翌日の資料作成でパソコンルームでの作業以外は同様なスケジュールでした。10日はチームごとにプレゼンテーションして研修を締めくくり、14時30分には研修所を旅立ちました。
 こうして、人が作ってくれる食事を3食食べ、家事もせず、子どものことでガミガミしないという、何ともお気楽な生活でした。おかげで、すっかり命の洗濯ができました。

 子どもが生まれてから泊まりがけの出張に行く機会がなかったので、子どもを家に残して出ることに夫がちゃんとやっていけるかと、一瞬不安がよぎりました。よくよく考えてみると次女・三女の出産時に4〜5泊ほど留守にしたときにも、夫はとりあえず家事をこなし、子どもたちも保育園に無事に通っていたことを思い起こしたら、不安は吹き飛んでしまいました。
 その3泊4日の間、夫は日常の家事はもちろん、保育園の送り迎え、小学校の保護者会への出席、三女の歯医者への通院(口内炎)等、盛りだくさんのスケジュールをこなしていただきました。特に小学校の保護者会はこれまで14回中13回は私が仕事をやりくりして出席している(夫は1回だけ)ので、今回は気合いを入れて出席していただきました。夫はこれで2回保護者会に出席したのですが、いずれも父親の参加は夫だけでした・・・。この辺にまだまだ小学校に関わるのが母親中心ということを感じる事実です。

 子どもたちは私がいなくても特に寂しがることもなく(?)、いつも通りに過ごしていたようです。でも、私が出張から戻ってきた10日に保育園に迎えに行くと、さすがににこにこでした。
 こうして、つかの間のバカンスを過ごすことができたのですが、鬼のようなの見返りが待ちかまえていました。3日間も職場を離れていたら、仕事が山盛り溜まっていて、保育園のお迎えも駆け込みセーフという状況でした。また、夫もやたら出張が多く、3日連続の日帰り出張、計4泊6日の宿泊出張があり、その間はすべての家事・育児が私に覆い被さっていました。仕事をこなすための時間外就業もできないので、鬼のような仕事もなかなかゴールにならず、滅多にしない家でも仕事をしてしまいました。もともと好きでない家事ですが、ためるわけにも行かず、一人でせっせと励んだのでへとへとの日々でした。

 夫は出張の間、最近のマイブームのポケモンのゲームボーイを持参し、新幹線の中や宿泊先での時間を使い、せっせとゲームを進めているという、バカンスな日々を過ごしているので、おあいこ、いや、私の負けなのでした。
 今では体が自然に子どもを育てながら働くモードになっているので気がつかなかったものの、やはりハードなものだと再確認したのでした。

 それでは、また。


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