子どもを育てながら働く

第22回 『職住保隣接』
  職住隣接というのはよく聞きますが、子どもを育てながら働く上では「保育の保」を加えて、職住保隣接ということが成功の鍵を握るポイントの一つにあげられます。結婚して新居を決めるときに、子どもが生まれても仕事を続けていこうと考えていました。同じ職場に子どもを育てながら働いている先輩OLが、出産に伴って会社の近くに転居し、仕事を続けているという事実がありました。彼女は夫の職場が当時群馬県にあったため、埼玉県に住んでいました。しかしながら、通勤に1時間以上かかるため、通勤時間を含めた仕事にかかる時間をみてもらえる預け先を見つけることができませんでした。そこで、夫が長時間通勤をすることにして、会社の近くに転居してきました。それでも、保育園に預けられる時間には限度があるため、チャイムの音とともにやってきてチャイムの音とともに立ち去るというハードな日々を送っていました。そういう姿を毎日見ていた私は住むなら会社の近くと決め、夫の会社の埼玉県内にある(当時)築30年・家賃7000円の社宅は経済的には魅力的ではあったけれども、見向きもしませんでした。こうして、会社から徒歩10分、最寄り駅から徒歩5分という場所に新居が決定しました。(夫は会社まで電車とバスを乗り継いで1時間30分、車なら50分ですが、社宅からでも1時間はかかる場所なので、よいこととしました。)

  また、保育を巡る環境も自治体ごとに大きく異なります。私の職場のある江戸川区は川を渡れば千葉県、車で通勤すれば15分程度と近く、家賃も格段に安いのですが、保育料は自治体ごとに大きくことなっており、かなり安く設定されている江戸川区と比較すると高いため、家賃が安いからといっても、必ずしもプラスにはならないのです。(千葉県内は私たちレベルの収入だと0歳だと7から8万円/月というところもあるらしいし、夫の社宅のある自治体も安くないらしい。)

  こうして、会社の近くに住むという生活が始まったわけですか、それまでバスと電車を乗り継ぎ片道1時間40分から2時間くらいかけて通勤していた私にとってはこれまで通勤に費やしていた莫大なエネルギー消費がなくなり、着々とエネルギーが体に蓄積されていくという悲しい誤算がありました。それでも、通勤に費やす時間を家事諸々に向けることができたわけですから、快適でした。

  この快適な暮らしは子どもが生まれた後にますますパワーアップしていきました。就職を決めるときには知る由もなかったのですが、職場と家がある江戸川区は保育行政がかなり充実していて、職場の近くに預け先も見つけることができました。残業こそできませんでしたが、職場・自宅・保育場所の3カ所間の移動距離が少ない分、育児や家事にマンパワーを向けることができました。子どもが熱を出したといったことで、お迎えを要請されてもすぐに迎えに行くこともできるし、保育園、小学校なで平日に行事が開催された場合でも仕事をぎりぎりまですることができるので、貴重な休暇を節約することもできました。会社や保育園にも長距離通勤をしているワーキングマザーの友達がいますが、通勤電車内で本を読んだりできる自分の時間がもてるというメリットがありますが、通勤時間の長さが仕事や保育園の送り迎え時間などに及ぼす影響というのは、恐るべきものがあります。送り迎えの時間を例に取ってみると朝7時30分に保育園連れて行き、夜の7時に引き取るという生活は、朝は早くから支度をしなければならないし、夜もそこから帰宅した後に食事・入浴など諸々のことをしなければならないというわけで、家でくつろぐというのもままならないようです。

  就職を決めるときに今の会社は自宅から遠かったため、迷いがありましたが、「先輩も多数活躍しているから職場の雰囲気はいいし、2時間までは通勤圏内よ!」という研究室の先生の勧めで決心しました。就職した当初は確かに職場はよい職場であったけれど、通勤はハードで「やられた!」と思ったものでした。でも、学生時代の同期で同業他社に就職し、ワーキングマザーとして頑張っている友達がいますが、職場の周辺の住居費が高いため、長時間通勤しながら頑張っているのをみると、よい場所にある職場に就職できてよかったと感謝の気持ちでいっぱいです。

  この環境を崩したくなかったので、マンションも江戸川区内に購入しました。(莫大な借金を抱えることになり、年中貧乏になってしまいました)結婚当初に住んでいた場所の近くには分譲の物件がなかったため、職場から自転車で15分と少し遠くなってしまいました。保育園は職場の近くのままなので、保育園に連れていくのも大変になってしましましたが、職場の近くだとぎりぎりまで仕事ができるし、子どもが通園している保育園が親子で気に入っているので、保育園は変えませんでした。その後、バブルがはじけて結婚当初住んでいた場所の近くにもたくさんの分譲マンションができ(それに値段も安い)、悔しい思いもしました。でも、そこの学区の小学校は急激な児童の人数増加で、限りなく40人に近いクラス編成しなり、特別教室は潰され、給食後の歯磨きも一斉にすると水道の水圧が下がってしまって給食の食器が洗えないから禁止という話を聞くと、長女の学校は20から25人/クラス、2クラス/1学年の少人数(現在の1年生は37人なので1クラスなので、気の毒)の学校なので、45人学級で育った私にはちょっぴりうれしく思うので、これでよかったと思っています(負け惜しみ?)。

  たまたま、職場の立地条件がよかったので、根性なしの私でも、こうして子どもを育てながら働くことができています。読者のみなさんも職住隣接で自由時間をたくさん作って楽しく暮らしていきましょう。・・・とはいうものの、なかなかそういうオイシイ話はないですが・・・。  それでは、また。


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